私が学生時代の頃までは、どこの町にも「昔ながらの喫茶店」の「純喫茶」がたくさんありました。
1.「純喫茶」
「純喫茶」というのは、「酒類を扱わない純粋な喫茶店」のことです。大正時代から昭和初期に隆盛を見た、酒類を扱い女給(ホステス)による接客のあった「特殊喫茶(カフェー)」に対する呼び方です。
現代では「特殊喫茶」に当たる業態は「バー」や「クラブ」と呼ばれるようになりましたので、「純喫茶」という呼び方は「昭和レトロ」な感じがします。
サラリーマン生活の最初の職場が心斎橋にありましたので、「心斎橋筋商店街」の中にある「MJB」という喫茶店にはよく通いました。アイスコーヒーを頼むと、店員が私の席にやって来て、氷の塊の入ったグラスに、口細のコーヒーポットから熱いコーヒーを注ぎました。一瞬にしてアイスコーヒーが出来上がるのには驚きました。
このMJBは心斎橋と淀屋橋に店がありましたが、心斎橋店はかなり前に閉店し、淀屋橋店も2019年2月で閉店してしまいました。1946年の創業ですから73年の老舗で、店内は昭和レトロの純喫茶の雰囲気があり、日替わりの「七色のコーヒー」が名物でした。私はここで「ウィンナーコーヒー」を飲んだ時、感動したことを覚えています。
ちなみに「ウィンナーコーヒー」というのは、上の写真のように「コーヒーの上にホイップクリームを浮かべたもの」です。「ウインナーソーセージ」を入れるものではありません。
20代のサラリーマンの頃、東京に出張した時宿泊した国鉄「信濃町駅」の近くにあった「ルノアール」という純喫茶にもよく行きました。
高槻には、現在でも「雅苑(がえん)」「壱番館」「秀辺留豆(シューベルト)」「白樺」という純喫茶があります。
「雅苑」という喫茶店はウルフルズのトータス松本さんがお気に入りの店で、高槻に来た時はよく立ち寄るそうです。
2.「歌声喫茶」
「歌声喫茶」とは、「ピアノやアコーディオンの伴奏に合わせて、ロシア民謡や童謡、労働歌、反戦歌などを、店内の客が一緒になって歌うことが主目的の喫茶店」です。
戦後間もないころはたくさんあったそうですが、私が知る限りではほとんどありませんでした。しかし、店の名前は忘れました(「白馬車」だったか?)が、駆け出しのサラリーマンの頃に一度だけ梅田の「歌声喫茶」に行ったことがあります。歌詞カードが配られ、アコーディオンの伴奏に合わせて「トロイカ」や「ともしび」「カチューシャ」を歌った記憶があります。
3.「名曲喫茶」
「名曲喫茶」とは、「コーヒーや食事と一緒にクラシック音楽が楽しめるクラシック音楽好きにはたまらない喫茶店」です。梅田にあった「田園」は名曲喫茶だったように記憶しています。
この「名曲喫茶」も、クラシックファンが減少したからか、それとも価値観の多様化の結果でしょうか最近はほとんど見かけません。
高槻にある「純喫茶」にあげた「秀辺留豆」には、シューベルトなどのクラシック曲がいつも流れていましたので、「名曲喫茶」と言えるかもしれません。
私が中学生か高校生の頃、テレビで「シャープさんフラットさん」というクラシックの曲名あてクイズ番組がありました。「クイズドレミファドン」のクラシック版といった感じです。ただ「早押し」を競うのではなく、一定時間演奏をゆっくり聞かせてから答えを出す形式でしたので、一種の「クラシック音楽番組」でもありました。
4.「コーヒーチェーン店」
「コーヒーチェーン店」も最初にあげた「純喫茶」の一形態ですが、全国規模(一部は全世界規模)のチェーン展開をしている喫茶店です。
大手には、スターバックス、ドトール、タリーズコーヒー、サンマルクカフェ、コメダ珈琲、プロント、珈琲館、星野珈琲、カフェ・ド・クリエ、ヴェローチェなどがあります。
私は、勤務先の近くにある「ドトールコーヒーショップ」を昼休みによく利用しました。
最近は、阪急高槻市駅の近くに出来た「コメダ珈琲店」をよく利用します。私はモーニングセットを食べながら、新聞を何紙か読むのが楽しみです。
私も最近は、「コーヒーチェーン店」を利用することが多いのですが、「昔ながらの純喫茶」の「落ち着いた居心地の良い雰囲気」は貴重で懐かしく思います。