「相撲」「帰省」「海苔」「鯛焼」「鯨」「鮪」などの面白い季語

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相撲季語

1.相撲(すもう/すまふ)

大鵬

「相撲」は「秋」の季語です。「角力」とも書きます。「子季語」に「宮相撲」「草相撲」などがあります。

大相撲は現在、1月(初場所)、3月(大阪場所)、5月(夏場所)、7月(名古屋場所)、9月(秋場所)、11月(九州場所)の6場所行われていますが、季語の上では「秋場所」を指します。

相撲はもと武技の一つで国技とされてきましたが、後に興行化されました。古くから宮中では陰暦七月に行われてきたため、俳句では「秋」の季語と定められたものです。

青少年が神社の境内その他に土俵を設けて相撲を取るのを「宮相撲」「草相撲」と言いますが、これも多くは9月に行われます。

私は子供の頃、ラジオの実況で「(初代)若乃花」と「栃錦」の熱戦に手に汗を握り、テレビの相撲中継を見て「大鵬」と「柏戸」の力強い相撲に熱狂しました。今の白鵬や鶴竜と違って品格・風格があり、横綱らしからぬ不遜で傲慢な言動はなく謙虚で、かちあげや変化のような横綱相撲にあるまじき取り口もほとんどなかったと思います。

例句には、次のようなものがあります。

・秋場所や稽古の甲斐をかくは見せ 久保田万太郎

・宿の子をかりのひいきや草相撲 久保より江

・老角力負けて戻って小鳥飼ふ 岡本松濱

・飛入りの力者あやしき角力かな 与謝蕪村

2.帰省(きせい)

帰省帰省写真

「帰省」は「夏」の季語です。「子季語」に「帰省子(きせいし)」があります。

「帰省」とは「父母の元を離れて都会に来ている学生や会社員が、休暇を利用して懐かしい故郷に帰ること」です。多くは夏休みを利用することから、俳句では夏の季語とされています。

余談ですが、今では「帰省」は「帰郷」とほぼ同じ意味で使われていますが、本来は「故郷に帰って親の安否を伺う(親を見舞う)」という意味です。「省」は「かえりみる」で、人のことを気にかけ、心を配るということを表しています。

例句には、次のようなものがあります。

・桑の葉の照るに堪へゆく帰省かな 水原秋櫻子

・果樹の幹苔厚かりし帰省かな 中村草田男

・帰省子にその夜の故園花幽き 飯田蛇笏

・水打って暮れゐる街に帰省かな 高野素十

3.海苔(のり)

海苔有明海苔

「海苔」は「春」の季語です。

「海苔」は、水の中の岩などに育つ苔状の食用藻類の総称ですが、一般には全国各地で養殖されている「浅草海苔」を指します。

海苔の採取は、9月の頃に竹で作った海苔篊(ひび)や、楢や樫の枝を用いた海苔粗朶(そだ)を真水と海水の混じり合う汽水域に仕込み、海苔の付着を待ちます。

「子季語」には、「浅草海苔」「甘海苔」「葛西海苔」「すさび海苔」「十六島(うっぷるい)海苔」「青海苔」「川海苔」「乾海苔」「焼海苔」などがあります。

なお「十六島(うっぷるい)海苔」というのは、ご存じない方も多いと思いますが、島根県出雲市の十六島名産の「岩海苔」です。

例句としては、次のようなものがあります。

・海苔掬ふ水の一重や宵の雨 与謝蕪村

・春風や海は海苔取蚫(あわび)取 正岡子規

・日をのせて波たゆたへり海苔の海 高浜虚子

・海苔粗朶の暮るゝ方よりひとひとり 山口誓子

4.鯛焼(たいやき)

鯛焼き

「鯛焼」は「冬」の季語です。「子季語」には「鯛焼屋」があります。

鯛の形をした鉄板に生地を流し込み、小倉餡を包んで焼いたお菓子です。最近は一年中売られていますが、寒い中で食べる鯛焼は格別に美味しいものです。

例句としては、次のようなものがあります。

・前へすすむ眼して鯛焼三尾並ぶ 中村草田男

・鯛焼や命なけれど温かく 長谷川櫂

・釣銭で鯛焼買ふも年の市 下村ひろし

・鯛焼を人には告げず好みけり 富安風生

5.鯨(くじら)

鯨水中の鯨

「鯨」は「冬」の季語です。

「鯨」は日本の海域を餌を追って回遊します。昔から捕獲され、食用にされて来ました。特に番となる冬季は活動が活発になりますし、鯨肉と水菜を用いた鍋料理の「はりはり鍋」も美味しい季節です。

私が子供の頃は、日本の捕鯨が盛んで、鯨肉が安価で手に入ったため、給食に鯨の唐揚げがよく出ました。しかし「IWCの横槍」で長年にわたって商業捕鯨が出来なくなったため、鯨料理は小学校時代以来ほとんど食べていません。

「子季語」には、「鯨売(くじらうり)」「背美鯨(せみくじら)」「抹香鯨(まっこうくじら)」「座頭鯨(ざとうくじら)」「鰯鯨(いわしくじら)」「小鯨(こくじら)」「長須鯨(ながすくじら)」「白長須鯨(しろながすくじら)」「勇魚(いさな)」などがあります。

例句としては、次のようなものがあります。

・日をうけて鯨の汐の二たところ 野村五松

・鯨売市に刀を皷(なら)しけり 与謝蕪村

・凩(こがらし)に鯨潮吹く平戸かな 夏目漱石

・鯨よる浜とよ人もただならず 尾崎紅葉

6.鮪(まぐろ)

鮪季語マグロ

「鮪」は「冬」の季語です。「子季語」には「鮪船」「鮪釣」「鮪網」「しび」「鰭長(びんなが)」「黒鮪」「本鮪」などがあります。

サバ科のマグロには、クロマグロ・キハダ・ビンナガ・メバチなどの種類があり、それぞれにも地域や生育程度によりさまざまな名前があります。

最大のものはクロマグロで、体長3m、体重400kgに達し、泳ぎも時速160kmと非常に速いです。腹部の身は脂肪が多く、溶ける食感なので中トロ、大トロなどと呼ばれます。

例句としては、次のようなものがあります。

・鮪揚ぐ沖曼荼羅に茜雲 水見悠々子

・敬老の日の給食の鮪鮨 巌谷小波

・転がされ氷塊吐きぬ大鮪 白石三郎

・鮪の船水平線を突き上ぐる 山口誓子



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