「虎が雨」「身に入む」「畳替」「香水」「端居」などの面白い季語

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曽我兄弟

1.虎が雨

虎が雨大磯の虎御前

「虎が雨」は「夏」の季語です。「虎が涙雨」「虎が涙」「曾我の雨」とも言います。

陰暦五月二十八日に降る雨のことです。富士の裾野での仇討ちで有名な曾我兄弟の兄、十郎が新田忠常に斬り殺されたことを愛人の虎御前が悲しみ、その涙が雨になったという言い伝えに由来します。

「曾我兄弟の仇討ち」とは、1193年に源頼朝が富士の裾野で行った巻狩りの際に、曾我祐成と曾我時致の兄弟が父の仇である工藤祐経を討った事件です。

例句としては、次のようなものがあります。

・しんみりと虎が雨夜の咄かな 八十村路通

・藻汐草焼けば降るなり虎が雨 高浜虚子

・寝白粉(ねおしろい)香(か)にたちにけり虎が雨 日野草城

・恋もなき草刈共や虎が雨 石井露月

2.身に入む

身に入む

「身に入む」は「秋」の季語です。「身に沁む」とも書きます。

秋の冷気やもの寂しさが、身に深く沁みるように感じることです。秋もようやく深まり始める頃から冷たさは身に沁みます。深秋ともなれば一層その感は深くなります。心境的な響きがこの言葉にはあります。

例句としては、次のようなものがあります。

・野ざらしを心に風のしむ身かな 松尾芭蕉

・身にしむや宵暁の舟じめり 宝井其角

・身にしむや亡き妻の櫛を閨(ねや)に踏む 与謝蕪村

・身に入むや一揆の頭みな若き 佐藤いく子

3.畳替

畳替え後畳替え

「畳替(たたみがえ)」は「冬」の季語です。

正月が近づくと汚れ傷んだ畳表を取り替えます。近頃は部屋いっぱいに敷く表だけを取り替える家や、全く畳替をしない家もあるようです。

畳の改まった塵一つない部屋は、新しい畳の香気に満ちて、新年を迎えるにふさわしい部屋となります。

例句としては、次のようなものがあります。

・古家の畳替して目出度けれ 高浜虚子

・女将わが憩ひの部屋の畳替ふ 鈴木真砂女

・青桐は柱のごとし畳替 阿波野青畝

・又人の住みかはるらし畳替 高浜虚子

4.香水

シャネルNo5ココ・シャネル

「香水」は「夏」の季語です。「子季語」に「オーデコロン」があります。

「香水」の使用は夏に限ったことではないと思いますが、特に夏になると汗をかき、体臭が気になるのでよく使われます。

外国人は体臭が強いためか男女を問わず香水を使います。最近は日本でも女性のみならず、男性も使うようになりました。

「シャネルの5番」は有名なハリウッド女優のマリリン・モンローが愛用した香水として知られています。「女性そのものを感じさせる、女性のための香水を作りたい」というココ・シャネルのこだわりからできたのが「シャネルNo5」と言われています。

例句としては、次のようなものがあります。

・香水の香ぞ鉄壁をなせりける 中村草田男

・香水の風紐育五番街 平田笙子

・香水の壜の愁を愛しけり 後藤夜半

・香水の正札瓶を透きとほり 星野立子

5.端居(はしい)

端居広縁端居縁側

「端居」は「夏」の季語です。「子季語」には「夕端居」「縁台」があります。

夏、室内の暑さを避けて、縁先その他端近に座を占め、庭の木々や草花などを眺め、涼を求めることをいいます。

「端」とは「家屋の端」という意味で縁側のようなところです。夜分とは限りませんが、夕方や夜に風呂から上がって浴衣に着替え、涼しい風に当たってホッとするひとときです。

「納涼」は、外に出て涼を求めることですが、「端居」は、家に居て涼を得ることです。

前に「風光る」の例句に高浜虚子の「装束をつけて端居や風光る」を挙げましたが、「端居」と「風光る」の「季重なり(きがさなり)」になっていますが、この句では「風光る」がメインの季語です。

例句としては、次のようなものがあります。

・端居して旅にさそはれゐたりけり 水原秋櫻子

・耳遠く端居を好む母となれり 大野林火

・ふけわたる草木の風に端居かな 日野草城

・いふまじき言葉を胸に端居かな 星野立子



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