「消せるボールペン」はなぜ欧州で人気商品になったのか?

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消せるボールペンの例

皆さんは「消せる(消える)ボールペン」というのをご存知でしょうか?一時話題になったのでご存知の方も多いと思いますが、使った経験のある人は少ないのではないかと思います。

1.消せるボールペン

そもそも、消せるボールペンの存在意義は何でしょうか?消すことを想定しているなら、シャープペンシルを使えばよい話で、ボールペンで書いたものを消せるのなら、ボールペンで書いた意味がなくなると思うのが当然です。

しかし、実際にこの商品は発売され、パイロットコーポレーションが販売した「フリクションボール」は、2006年にフランスで発売以来、世界170カ国以上で累計15億本を販売したそうです。

2017年には三菱鉛筆(uni)から、消せるボールペン「ユニボールRE(アールイー)」が発売されていますが、「フリクションボール」が圧倒的なシェアを握っているようです。

2.消せるボールペンの「正しい利用法」と「使用禁止のケース」

(1)正しい利用法

欧州では、子供が学習する時、ボールペンと修正ペン(ケスパのような修正液)を使用するのが一般的でした。そこに着目したパイロットコーポレーションの欧州販売担当のフランス人が、フランスでの販売を強く望んだことがフランスでの発売のきっかけでした。

この消せるボールペンで書けば、間違った部分は修正ペンを使わず、ラバー部分でこすることで、消しゴムのような削りカスも出ずに消せるので、大変好評だったそうです。

(2)使用禁止のケース

「履歴書」や「契約書類」「領収書」「収入印紙の消印」などのように、本来消したり改ざんしてはならない文書などについては、使用禁止となっています。これは当然のことです。

しかし私が派遣社員として事務のサポートをしていた時、顧客からの申込書類がこの消せるボールペンで記入された事例に遭遇しました。たまたま、私が鉛筆で注意書きしていた部分を消しゴムで消そうとしたところ、ボールペンで記入された数字まで消えてしまったことから判明したものです。その書類は当然ながら、消えないボールペンで書き直してもらいました。

3.消せるボールペンが「消える仕組み」

(1)特殊なインクを使用

インクの中に、特殊なマイクロカプセルに含まれた3種類の成分が入っています。それは、「発色剤」「発色させる成分」「変色温度調整剤」の3つです。これらが結合して文字として見えているのです。

(2)ラバー部分

消せるボールペンに付いているラバー部分で、書いた文字をこすると摩擦熱が発生します。その熱によって、インクに含まれる特殊成分の結合が解離されて、色が透明になるのです。

通常、消せるボールペンで書いた文字は、ラバー部分でこすった時の摩擦熱が60°C以上になると、消えるそうです。

ラバー部分は、消しゴムと違って摩耗しにくいため、何度も繰り返し使用できることも、消せるボールペンの人気の秘密のようです。

4.高温の環境下で消えた文字の復活方法

夏場、温度が高くなる窓際やクルマの中などに、消せるボールペンで書いた書類を置いておくと、文字が全部消えてしまうという事態も実際に起こります。

この場合は、次のいずれかの方法で文字を復活させることができます。

①文字が消えた部分にコールドスプレーをかける

②文字が消えてしまった書類やノートを冷凍庫に入れて冷やす

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