「乱丁・落丁」はなぜ起きるのか?私の失敗談もご紹介します。

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乱丁

1.乱丁・落丁とは

落丁

どの本の「奥付(おくづけ)」にも、「乱丁・落丁本はお取替えします」と書かれています。

本の奥付

(1)乱丁(らんちょう)とは

「乱丁」とは、「書籍などの印刷物で、製本の際にページの順番がばらばらに綴じられてしまうこと」です。

(2)落丁(らくちょう)とは

「落丁」とは、「一部のページがそっくり抜け落ちてしまうこと」です。

折丁

2.なぜ乱丁・落丁は起きるのか?

(1)書籍の印刷のやり方

通常、書籍の本文は、「大きな用紙に16面単位で面付けして印刷」します。

次に「これをページの順番通りになるように折る」のです。

たとえば160ページの本文は、16ページ単位で折られた「折丁(おりちょう)」、1~10折で構成されています。

(2)乱丁・落丁の原因

①乱丁の原因

1折から10折までを順番に丁合(ちょうあい)して綴じるのですが、順番を取り違えるとページ順が合わなくなります。これが「乱丁」の原因です。

刷本の折り順序を間違える表裏を間違えて折る)のも、「乱丁」の原因の一つです。

②落丁の原因

落丁は、丁合時に何らかの原因で特定の折丁を取り落とす(まさしく落下する)ことで起こるトラブルです。

今は丁合機には乱丁・落丁防止のセンサーが付いているため、このようなトラブルは頻繁には起こりませんが、機械は人間が動かすものですから、ミスがゼロということはありません。

3.乱丁・落丁にまつわる私の失敗談

普通、1冊の小説であれば最後まで読んでしまいますので、読了までに乱丁・落丁があれば気付きます。その場合は購入した書店に持って行って、交換してもらえば済む話です。

しかし、「個人全集」の場合は、短期間に全部読了することは少なく、場合によっては読まない作品も残ることが多いため、乱丁・落丁に長期間気付かないケースも起こります。

私が高校生の時、父が岩波書店の「漱石全集」15巻を買ってくれました。漱石については、「文学論」と「文学評論」は途中で挫折しましたが、その他の作品は全て読みました。

大学生になってから、角川書店の「芥川龍之介全集」10巻と筑摩書房の「森鴎外全集」8巻を自分で購入しました。

鴎外全集筑摩書房

芥川の方はかなり読みましたが、初期の作品以外は自分の肌に合わないように感じました。

鴎外は漢字がびっしり詰まった文章が多く、舞姫・高瀬舟などは読みましたが、史伝小説は当時の私には面白みが感じられず途中で挫折しました。

鴎外全集の中のどの小説だったか忘れましたが、「落丁」を見つけました。(正しくは「乱丁」だったかもしれません)しかし、いつか書店で取り替えてもらおうと思いつつそのまま放置していました。

そうこうするうちに購入した書店も廃業し、筑摩書房も倒産(会社更生法申請)したりして月日が50年以上経ってしまいました。

今のところ、鴎外を再読する気力はありませんが、さりとて乱丁・落丁本をそのままにしておいては「古本」としての価値もないので、会社更生を完了した筑摩書房に取り替えてもらおうかと思いますが、当時の鴎外全集は絶版になっていますので、乱丁・落丁のある小説の入った文庫本との取り替えになるかと思います。

切手や硬貨の場合は「エラー切手」や「エラーコイン」として希少価値があり高い値がつくものですが、本の場合はただの「不良品」です。

エラー切手エラーコイン

しかし、それだけのために手続きをするのも面倒な気がして、どうしようかと迷っているところです。

3.乱丁・落丁本の具体的な取り替え方法

(1)本の「奥付」で、宛先の出版社の住所を確認し、封筒の表に書く

ちなみに、筑摩書房の場合は、現在のホームページで確認すると次のようになっています。

「〒111-8755 東京都台東区蔵前2-5-3 筑摩書房 営業部 乱丁・落丁担当あて 」

(2)封筒の裏面に自分の住所・氏名を書く

(3)不具合のページに、目印となるのり紙を貼付し、乱丁・落丁本を封筒に入れる

(4)郵便局の窓口で「着払いと指定し、郵送を依頼する

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