過保護の弊害は人間だけでなく植物にもある!

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西郷隆盛

1.子孫のために美田を残さず

人間でも、過保護にすると、「わがままで怠惰な人間」になったり、「自信がなく自分の頭で考えない人間」になったりと、良いことはほとんどありません。

「親苦労するその子楽する孫乞食する」ということわざもあります。これは、親が苦労して築いた財を、子は楽をして食いつぶし、孫の代になると乞食にまで落ちぶれてしまうという意味です。

「親の甘いは子に毒薬」「親の甘茶が毒となる」とも言います。

あの「西郷(せご)どん」こと西郷隆盛も、「子孫のために美田を残さず」と遺訓し、子孫に莫大な財産は残さないようにしたそうです。

「子孫のために良い田畑を買えば、その財産に頼ってしまい、努力を忘れて怠けてしまうので、あえて財産を残さない」という意味だそうです。

ただ、これには別の解釈もあるそうです。

それは、大久保利通らのような「私利私欲に走り、贅沢三昧にふける政府高官たちをやんわりと批判した」言葉だというものです。

何だか、この解釈も「なるほど。今の日本の政治家や高級官僚にも聞かせてやりたいな」と感じるのは私だけでしょうか?

2.雑草に比べて園芸植物がひ弱なのも過保護が原因

ところで、皆さんは「雑草」と「園芸植物」との違いは何だかご存知でしょうか?

「雑草」は、(お天道様のめぐみである雨以外には)誰からも水やりをしてもらえず、環境の劣悪な場所(日陰の空地や、岩の割れ目、砂漠、高山、アスファルトの道路・・・)でも、たくましく生きています。

一方の「園芸植物」は、こまめに水やりをしてもらい、日当たりにも気を付けてもらい、大事に大事に育てられます。

しかし、園芸植物は、どんなに大切に育てても、ひ弱で、枯れてしまうことも少なくありません。

私は、テレビで、ある園芸家の人が言った次の言葉が、強く印象に残っています。

「水やりは、し過ぎてはいけませんよ。やり過ぎると植物は甘えてしまって、自力で地下から水を吸い上げる努力を怠るからです。」

「また、植木は時々引っ張って持ち上げるようにしてやると良いですよ。そうすると、その木はびっくりして、抜かれたら大変とばかりに、しっかり根を張ろうと努力するからです。」

これは、一種の「ショック療法」のようですね。

3.家貧しくて孝子顕る

「家貧しくて孝子顕(あらわ)る」ということわざがあります。その後に続く言葉が、「世乱れて忠臣を識(し)る」です。

このことわざの意味は、ふたつあります。

①家が貧乏だと、子供が親を助けようと働くようになり、子供の善行が世間に知られるようになるということです。

なお、「貧しい家からしか親孝行な子供は出ない」というのは、間違った解釈だそうです。

②逆境に陥った時に、初めてそれを助ける者が現れるということです。

いかがでしょうか?人間にも植物にも、共通の真理があるのですね。

私も、皆さんも、くれぐれも「過保護」には気を付けましょう。

4.矯生慣養(きょうせいかんよう)

蛇足ですが、「過保護な育て方」を表す四字熟語をご存知でしょうか?

「矯生慣養」と言います。「矯」は、なよなよとして可愛らしいことで、「慣養」は養い慣らすことです。

<2020/8/28追記>Eテレの「植物に学ぶ生存戦略」という番組が面白い

雑草の逞しい生存戦略をユニークな手法で紹介しています。