「読書法」は、「一冊読書法」より「並行読書法」がお勧め!

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五筆和尚

つい最近、芦田愛菜ちゃん(と言っても、彼女も今や19歳で、慶應義塾大学法学部政治学科の2年生ですが)が中学3年生の時に書いた「まなの本棚」を読んで、彼女も「3~4冊の本を同時並行で読む並行読書派」だということを知りました。

それと、芸能活動もしている中学3年生としては途轍もない読書量(1年間に100冊以上)なので驚きました。

自分が読んだ本の中で気に入った84冊をピックアップして紹介しているのですが、薄っぺらな通り一遍のレビューではなくしっかりした内容です。彼女は元々頭が良くて、知識欲や好奇心も旺盛なのだと感じた次第です。

そして自分の頭で考えたり、物語を自分の想像力で膨らませる習慣も身についているようでした。日本語の素晴らしさや奥深さもよく認識しています。

また、斉藤洋さんの「白狐魔記」という本を読んで「歴史上の人物が身近に感じられて日本史に興味が湧いてきた」と書いていましたが、中学3年生にして歴史の正しい楽しみ方を会得しているのに感心しました。

現在彼彼女はCM出演のほか、『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』という番組のMCとしても活躍しています。

1.私の読書法は「並行読書法」

私は、いつ頃からか同時に複数の本を読む癖がつきました。書店で買ったり、図書館から借りた数冊の本を、交互に読み進むわけです。

元々、「熱しやすく冷めやすい」「飽きっぽい」性格だからかも知れませんが、一冊の本だけを最初から最後まで読むのは、どうも偏ってしまうような感じで嫌なのです。「学校でも同じ時期に5教科の勉強をしていたのだから、それと同じ」という発想です。

私が駆け出しのサラリーマンの頃、会社の先輩が「自分は3冊の本を同時に読む」と話しているのを聞きました。最初、私は「空海の神業」のように「3冊の本を並べて、同時に読み進めることが出来る」と言っているのかと驚きましたが、よく聞いてみると、私と同じような読書法のことだったのです。

「空海の神業」というのは、遣唐使船で唐に渡った空海が、時の順宗皇帝から宮殿の壁に文字を書くよう命じられると、左右の手に筆を持ち、左右の足にも筆を挟み、口にも筆を銜(くわ)え、五本の筆でもって王羲之(おうぎし)の五行の詩を同時に書き、更に一間に墨汁を注ぎかけると、たちまち巨大な「樹」の文字が浮かび上がったので、皇帝が舌を巻いて、「五筆和尚(ごひつわじょう)」の称号を与えたという伝説です。

これが本当の話だとすれば、ピアノで難しい曲を両手を使って見事に演奏するピアニストをはるかに上回るような神技ですね。

私は「手」と「足」と「口」を「同時にではなく、順番に」使って、五本の筆でもって王羲之の五行の詩を見事に書き上げたというのが真相ではないかと思います。実際体の不自由な人が「足」や「口」を使って器用に絵を描いたり文字を書く例もありますので・・・

日本書紀には、聖徳太子が十人の訴えを同時に聞いて、全員に的確に答えたという逸話が載っています。

羽生善治さんのような将棋の名人が、何人もの生徒を相手に、巡回しながら次々と将棋を指す風景をテレビで見たことがありますが、空海や聖徳太子の伝説は、これと同じかそれ以上の「神業」のことを言っているのだと思います。

2.「並行読書法」のメリット

話が脱線してしまいましたが、この「並行読書法」は、「一冊読書法」よりメリットが多いと私は思っています。

まず、速く読むことが出来るようになることです。ここで言う速読とは、いわゆる「速読術」のような猛烈なスピードで漢字等のキーワードだけを拾ってどんどんページを繰って行くような早業ではありません。

一字一句を「精読」するのではなく、話の流れを追ってざっと「通読」するやり方です。もちろん、「速読法」をマスターして、ざっと「通読」するよりも遥かに速く読める人もおられるでしょうが、そこまで行かなくても大丈夫だと、私は思います。

「手順書」や「解説書」を読む時などでも、「前書き」や「わかり切ったこと」を書いた部分は「飛ばし読み」して、本当に自分が知りたい箇所、わからない箇所は「精読」していますよね。あれと同じ要領で、「重要な部分」と「そうでない部分」を「メリハリ」を付けて読む習慣が自然と身に付きます。

それと、複数の本を同時に読んでいると、不思議と関連する部分が出て来たりして、そこから何らかの「閃(ひらめ)き」が生まれることもあります。

以前、「KJ法」という「発想法」が流行したことがありますが、これと似た点がありますね。これは、文化人類学者の川喜田二郎氏が考案したもので、社員研修の「ブレーンストーミング(brain storming)」などでも使われていました。大勢の人が集まって、各自が思いついたことをカードに書いて、それを集めて、類似のカードについて「グループ分け」と「タイトル付け」を行い、グループ間の論理的な関連性を見い出し、発想や意見や情報の集約化・統合化を行うやり方です。その中で「新しい発想・閃き」も生まれるというわけです。

皆さんの中で、興味を持たれた方は、ぜひ「並行読書法」を試してみて下さい。何か新しい発見があるかも知れませんよ。