同訓異字の漢字の使い分け(その4)「こえる」「たつ」

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超えると越える

「異なる漢字で、同じ訓を有するものの組み合わせ」を「同訓異字(どうくんいじ)」または「異字同訓(いじどうくん)」と言います。

この「同訓異字」の中でも、意味のよく似た漢字があり、使い分けに迷う場合があります。最近は「平仮名(ひらがな)交じりの文章」も多くなっており、必ずしも漢字で書かなくても、「漢字を知らない」という誹(そし)りを受けることもなくなりました。

そのため、意識的か無意識的かはわかりませんが、「同じ読み方で意味のよく似た漢字」を平仮名で書いてこの問題を避ける人もいます。

しかし、日本人としては、ぜひとも正しい漢字の使い方を知っておきたいものです。

前に「同訓異字の漢字の使い分け(その1)はかる・さがす」「同訓異字の漢字の使い分け(その2)あらわす・あう」「同訓異字の漢字の使い分け(その3)「つとめる」「きく」」という記事を書きましたが、まだほかにも日常使う言葉で使い分けに迷う漢字がありますので、ご紹介します。

1.こえる

「こえる」という漢字で、使い方に迷うものは「超える」と「越える」です。

「超越」という熟語もありますので、どちらも似たような意味ですが、正しい使い分けが必要です。

(1)超える

超える」は、「超過」という熟語があるように、「一定の分量を過ぎて、その先へ行くこと」「ある一定の基準・数量・範囲を上回ること」「程度が特に極端なものであること」を表します。

したがって、「限度を超える」「百万円を超える金額」「一千万人を超す人口」などと用いるのが本来の用法です。

そして、比喩的に「現代を超える」「人間の能力を超す(超人)」などとも用います。

(2)越える

越える」は、「越境」という熟語があるように、「ものの上を過ぎて向こうへ行くこと」「ある地点・時の境をこえること」「物事の範囲・程度をこえること」を表します。

したがって、「山を越える」「峠を越える」「川を越す」「跳び越す」などと用いるのが本来の用法です。

そして、比喩的に「年を越える(越年)」「冬を越す(越冬)」「難関を越す」「見越す」「卓越」「越権」などとも用います。

なお、「100歳をこえて生きる」という場合の「こえる」の漢字表記を、「越える」「超える」のどちらを使うかという疑問について、NHK放送文化研究所は次のように答えています。

解釈によって、どちらも使えます。「越える」は、場所、時間、点などを通過するときに使い、「超える」は、ある一定の数量、基準、限度などを上回るときに使います。100歳を、通過点と考えれば「越える」になるでしょうし、「100歳」を長生きの基準と捉えれば「超える」になるでしょう。また、迷う場合や両方の解釈を込めたい場合などは、ひらがなで「こえる」とする選択肢もあります。

2.たつ

「たつ」という漢字で、使い方に迷うものは「断つ」と「絶つ」です。

「断絶」という熟語もありますので、どちらも似たような意味ですが、正しい使い分けが必要です。

文字の意味としては「断」も「絶」も同じようなものを持っており、「交際をやめる」意味の熟語にも「断交」と「絶交」があります。

(1)断つ

断つ」は、「続いているものを途中で切ること」です。

したがって、「断髪」「断線」「快刀乱麻を断つ」「補給路を断つ」「退路を断つ」などと用いるのが本来の用法です。

また、「遮断」「中断」「断食(食を断つ)」「思いを断つ」のように、「続いている事柄を一時的にやめる」場合にも用います。

(2)絶つ

絶つ」は、「続いているものをそれ以上は続けない」「続くはずのものをそこで終りにする」ことを表します。

したがって、「絶縁(縁を絶つ)」「絶命(命を絶つ」「連絡を絶つ」「消息を絶つ」などと用いるのが本来の用法です。



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