「自動化」と「人間の退化」

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自動化

1.自動化の恩恵

「自動化」で私が一番感謝しているのは、自動車の「オートマチック車」です。私は以前、「熟年の運転免許取得体験記」の記事にも書きましたが、マニュアル車では必須だった「クラッチ操作」が不要になったことで、運転免許が随分取りやすくなりましたし、運転も非常に楽になりました。

2.人間の退化

しかし、「自動化」は良いことばかりではありません。皆さんは「エスカレーター」と「階段」があったら、どちらを使いますか?ほとんどの人が「エスカレーター」だと思います。

実は、私も「膝痛」になった今は「エスカレーター」愛用者なのですが、以前は極力「階段」を使うようにしていました。その理由は、「足腰の筋肉を維持することが健康長寿に不可欠」という考えからです。それで、日頃から歩くことを心掛けるとともに、階段を使って足の筋肉を鍛えようと考えた訳です。

筋肉は使わなければ退化する。使い過ぎると壊れる。適度に使えば発達する」と言われています。

自動車の前照灯の「オートマチック点灯・消灯」や、住宅の玄関灯のセンサー機能なども便利なものです。

銀行のATMや、JRの切符・定期券自動購入機、スーパーのセルフレジなどは、「顧客の待ち時間短縮」という面もありますが、銀行・JR・スーパー側の「省力化」の側面が大きいものです。

銀行の窓口でも、「お札の勘定」を以前は窓口担当者が華麗な手さばきで素早くやっていましたが、今は「機械」にかけて勘定させています。「偽札」のチェックも、以前は「手触り」や「見た目」で確認していたものが、今は「機械任せ」になっています。

3.自動化が行き過ぎると緊急時の対応能力低下や安全面での問題も発生する

しかし、機械が故障したり、震災などの災害で機械が使えなくなった時に、銀行の窓口担当者が「手作業」できちんと対応できる「技能」が果たしてあるのかと、他人事ながら心配します。

つい先日、ソフトバンクのスマホが全国的規模で4時間半ほど使用不能になる通信障害が発生し、広範囲に重大な悪影響が出ました。その時日本では、公衆電話に行列が出来たそうです。中には使い方を知らずに、受話器を取り上げる前に硬貨を先に入れたため、硬貨がすぐ戻ってきてしまうので「これも故障だ」と勘違いした人もいたようです。

高層マンションには「エレベーター」が不可欠ですが、エレベーターの故障や地震などの災害でエレベーターが使えなくなった時は、大変な不便を強いられます。高層階になると、階段での上り下りは高齢者には無理でしょうし、若い人でも、日頃運動していない人には大変だと思います。

「自動運転」の自動車が実用化に近付いています。しかし、この「自動運転」が普及すると、人間はもはや「運転者」ではなくなってしまうような気がします。「自動運転車」同士の判断が違った場合に「衝突」などの事故が起きないのかも心配です。また、GPSそのものが故障した場合は、「制御不能」になる恐れがあります。あまり、自動化に頼り過ぎると別の問題が起きてくるように思います。

飛行機や列車、大型船舶については、「自動操縦」「自動運転」が既に実用化されているようですが、車が込み合った道路を走る自動車については、安全面で心配のタネは残ります。

また、飛行機や列車、大型船舶でも、「自動操縦」「自動運転」の装置が故障した場合に「手動」できちんと対応できる技量を、パイロット・運転士・船長が維持しているかも気になるところです。「手動」の経験が少なくなると、レベルも落ちてしまうのではないでしょうか?

4.機械に頼りすぎると感度の低下や器用さ・技量の低下、筋力・体力の低下を招く

かなり以前から、食品製造工場などの「オートメーション化」は行われていますが、自動車製造工場でも、ロボットによる自動化がどんどん進んでいます。

産業革命以降、人間は機械によって、「自動化」の利便性を享受して来ましたが、それに伴って、徐々に「感度の低下」や「器用さ・技量の低下」、「筋力・体力の低下」を招いているように思います。

たとえが適切かどうかわかりませんが、芸能人が金銭の管理を全てマネージャーに任せきりにしていて、巨額の横領をされたとか、ある会社がベテランの経理担当者に会社の経理や金銭管理を一切任せていて、巨額の粉飾・横領をされたという話があります。

機械にあまりにも頼り過ぎたり、任せすぎたりしていると、人間が思わぬしっぺ返しを受けることがあるように思いますので、「感度の低下」や「技量の低下」、「筋力・体力の低下」にはくれぐれも気を付けたいものです。