1.大阪メトロ公式サイトの「誤訳」
2019年3月18日、「大阪メトロ公式サイト」の外国語ページに「誤訳」があったとして、当分の間公開を中止すると発表しました。
「大阪メトロ」と言えば、昨年12月に発表した「駅リニューアル計画」が悪趣味だと批判を浴びたことが記憶に新しいですが、またまた失態です。
「路線名」の「堺筋線」を「Sakai Muscle line」(堺 筋肉 線)、「三両目」を「Eyes3」、「天下茶屋(てんがちゃや)」を「World Teahouse」などと訳していると、ネット上で指摘が上がっていたそうです。この原因はアメリカのMicrosoftの「自動翻訳ソフト」による「誤訳」を、校正・再確認作業をせずにそのまま掲載したことです。「自動翻訳ソフト」が使い物になるようになる日はまだまだ先のようです。ソフトの精度の向上がもっともっと必要です。
私のブログでも、パソコンの「誤変換」で変な漢字になっている個所があるかも知れません。一応見直しているつもりですが、自分の書いた文章は正しいと思って読みがちなので、見落としはあり得ます。
2.「おもてなし」の心も「台無し」
「大阪メトロ」のケースは、公共交通機関として、最近のインバウンド増加を受けて「おもてなし」の心で4カ国語(英語・中国語・韓国語・タイ語)の外国語版サイトを作っているようで、その熱意は多としなければならないのですが、外国の人が意味が分からなかったり、勘違いしたのでは元も子もありません。
「おもてなし」が「表無し」と外国語に翻訳されていたら、それこそ「台無し」です。もっとも、「おもてなし」のもともとの意味が、「ものを持って成し遂げる」ということから来ており「お客様に応対する扱い・待遇」のことですが、「表裏なし」(表裏がない心でお客様を迎える)という意味もありますから、完全に間違いではありませんが、正しい意味は伝わらないと思います。
このような「誤訳」は「大阪メトロ」に限ったことではないようです。ある寺院で「ここから上がらないでください」という警告表示があったのですが、中国語の翻訳では「緊張しないでください」となっていたそうです。これを見た中国人は、悪気がなく平気で土足で上がり込むかもしれません。
お寺なので日本語では「立ち入り禁止」のような直截的な言葉を避けて、丁寧な表現にしてあるのだと思いますが、外国語に翻訳してもらう時にその警告表示のシチュエーションやニュアンスを伝えていなかったのが原因だと思います。
3.翻訳は専門業者に依頼し、両国語に通じた人による校正・再確認が必要
このような「誤訳」を防ぐには、表示のニュアンス(「固有名詞」だとか「禁止」「警告」など)をきちんと伝えることが大切ですし、やはり翻訳専門業者に依頼して、両国語に通じた人に校正・再確認してもらうことが絶対必要です。そうしないと、上にあげたような「誤訳」「珍訳」が続出して「笑えない話」になります。
余談ですが、私が中学生の時、英語の先生が次のような経験談を話してくれました。
先生が「日本文化を紹介する展示会」を見に行った時、「日本人の主食は米です」という説明の英文が「The staple food of the Japanese is lice.」となっていたそうです。これでは、「日本人の主食は虱(しらみ)です」という意味になります。ちなみに「lice」は「louse」の複数形です。先生は早速「英語の教員証」を係の人に提示して「rice」に至急訂正するよう注意したそうです。
もし、これを見た外国人が係の人に再確認もせず、そのまま信じたとしたら「日本人は何とおぞましい民族なのだろう。また何と不衛生な国なのだろう」と思ったかもしれません。