今年は、平成天皇の退位と新天皇の即位の関係で、史上最長の10連休となりました。中には11連休以上にした人もおられるでしょう。
しかし、長い連休明けに心身の不調を訴える人が多く出る懸念もあります。木の芽時(このめどき)は過ぎましたが、「五月病」という言葉もありますし、「連休明け病」とも言うべき症状が出るかもしれません。誰しも長い連休の後は、会社に行きたくなくて憂鬱になるものです。
崩れた生活のリズムを取り戻す必要がありますが、急いで取り戻そうという「焦りは禁物」です。ゆったりとリラックスして、徐々に体も心も慣らしていきましょう。
1.木の芽時(このめどき)
「木の芽時」とは、木々が芽を吹き、虫たちが冬を終えて動き出す3月から4月にかけての季節のことです。俳句で春の季語にもなっています。
「夜の色に暮れゆく海や木の芽時」(原 石鼎)
この時期は、暖かかったと思ったら急に寒くなったりと寒暖差が激しく、天候が不順で気圧が低いことも多いのです。それに人間の体や心が対応し切れずにストレスが溜まって自律神経のバランスを崩しやすく、精神的に不安定となり、体調不良を訴える人が多くなります。
「やる気が出ない」「疲れが取れない」「体がだるい」といった症状が現れます。気象変化による病的な症状のため、「気象病」と呼ばれています。
忠臣蔵(赤穂事件)で有名な浅野内匠頭は「痞(つかえ)」(慢性の神経性胃炎)に悩まされていたようですが、元禄14年3月14日の「曇天」(低気圧)も影響して、鬱積したストレスから感情のコントロールができなくなり、殿中も弁えずに「キレてしまった」という見方もあるようです。
2.環境の変化が多いことも要因
この時期は、学校生活や社会生活においても、出会いや別れ、進級・進学や就職、人事異動・転居など新しい環境に飛び込むことが多いのも、精神のバランスを崩しやすくする一因です。
私が若いころ「大学生の五月病」というのがよく話題になりましたが、これも「木の芽時」と似たような症状だったと記憶しています。
3.木の芽時の予防対策と乗り切り方
このように、木の芽時は精神のバランスを崩しやすいことから、うつ病や不眠症にかかりやすくなります。
(1)予防対策
予防対策としては、「木の芽時は、多かれ少なかれみんな憂鬱な気持ちになるもので、それが当たり前」と割り切って冷静な気持ちになることです。いわば「半分開き直り」です。
(2)乗り切り方
自律神経は、「自分自身のバランスを取っている部分」なので、これを整えるには「決まった時間に起き、決まった時間に食事を取り、よく眠り、よく動くことが大切です。
「タラの芽」「ニンニクの芽」「蕾菜(つぼみな)」「タケノコ」「春キャベツ」などの旬の食材はリラックス効果やストレス解消につながる栄養素を持っていますので、旬のものをなるべく食べて、適度な運動を欠かさないことです。
運動としては、あまり激しい運動ではなく、ウォーキングやヨガなどゆったりとした穏やかな運動をお勧めします。
また過緊張になりがちな季節で、メンタル面で不調になりやすいので、意識的にリラックスできる時間(意識的な緩み時間)を作るようにするとよいと思います。