「蚊帳(かや)」にまつわる話

蚊帳

私が子供の頃は、まだエアコンは無いので、蚊遣りを焚いて団扇や扇風機で涼むだけでした。そして夏の夜は「蚊帳(かや)」を吊り、雨戸は夜遅くまで開けていました。

今では「蚊帳」の現物を見たことがある人も少なくなったでしょうし、ましてやそれを日常生活で使った人は60歳代以上しかいないのではないかと思います。

深緑のごわごわした手触りの「蚊帳」の何とも言えない良い匂いと、赤の縁取りと金輪が懐かしく思い出されます。

蚊帳が廃れた原因は、アルミサッシのガラス戸で部屋の密閉性が向上したことと網戸の普及、下水道の整備で蚊が減ったことなどでしょう。強力殺虫剤・電気殺虫マットの普及につれて蚊取り線香も使わなくなりました。

蚊取り線香の除虫菊のあの匂いも懐かしい夏の思い出です。

1.「蚊帳」の歴史

歴史を遡ると、古代エジプトのクレオパトラも、蚊帳を愛用していたそうです。日本には中国から伝来しましたが、当初は貴族が用いていただけですが、江戸時代には庶民にまで普及しました。

2.現在「日本の蚊帳」が利用されている国々

現在、「蚊帳」は蚊が媒介するマラリア・デング熱・黄熱病および各種の脳炎に対する最も安価で効果的な予防・防護策として注目されています。

国際連合および世界保健機関(WHO)は、普及を積極的に推進しており、アフリカや東南アジア諸国に安価で配布しています。

日本も2003年からODAやユニセフを通じた支援を実施し、3年間で200万張以上の蚊帳を世界各地に配布しています。

なお、日本でも、「赤ちゃん用」の「ワンタッチ式蚊帳」は今でも人気があるようです。

3.俳句・川柳・慣用句

大阪府出身の詩人三好達治(1900年~1964年)に、次のような俳句があります。

「水に入るごとくに蚊帳をくぐりけり」

江戸川柳の「誹風 柳多留」には次のような句が載せられています。

「蚊や釣ッた夜ハめづらしく子があそび」

「蚊帳の外」という慣用句は、「仲間外れ」「大事な情報などを知らされない」という意味です。「蚊帳の外にいると、無防備で蚊に刺される可能性が高い状態にある」ことから、無視され不当な扱いを受けることです。また、「蚊帳の外にいると、中がよく見えず中のことがよくわからない」ことから、物事に関与できない位置に置かれたり、内情が分からない立場に置かれることを指します。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする