「淀川堤防決壊」(わざと切れ)で高槻市が床上浸水した話とスーパー堤防の必要性

フォローする



工兵隊と舟

私の故郷で現在も住んでいる高槻市は、比較的災害に見舞われることが少ないところです。

昨年は「大阪北部地震」や「台風21号被害」という大きな災害がありましたが、そのほかは私の記憶では「伊勢湾台風(1959年)」「第二室戸台風(1961年)」「阪神淡路大震災(1995年)」があるぐらいです。

しかし今から約100年前の1917年(大正6年)10月1日に、「大塚地区」の淀川右岸(北側)が200mにわたって決壊し、高槻市を初めとする淀川右岸一帯に甚大な被害をもたらしました。泥水は兵庫県の尼崎市(大阪のすぐ西側)にまで達したそうです。

堤防が決壊して氾濫した洪水は「水火無情」で、「一瀉千里(いっしゃせんり」という言葉を連想させるような凄まじさだったのですね。

1.堤防決壊の原因

淀川は、日本で最初の近代治水工事「淀川改良工事」を実施した河川です。これは1885年(明治18年)の被害を受けて始まった取り組みで、1896年から1910年にかけて実施されました。

このような治水工事を実施した後だったのですが、1917年9月末の大雨を伴った大型台風は、それを上回る規模でみるみる危険水位に迫りました。

私の曾祖母から母が聞いた話なので「また聞き」になりますが、高槻市(当時は高槻町)にあった日本軍「第四師団」隷下の「工兵第四連隊」が出動したそうです。

工兵隊が高槻町の責任者や「右岸」側の農民と「左岸」側の農民達も交えて話し合いました。このまま傍観していてもし左岸が切れると、南側の商工業地帯を擁する大阪市中心部に甚大な被害が出る。しかし、淀川右岸はまだ田園地帯が多く被害は少ないと判断して、やむを得ず右岸を「わざと切れ」して被害を最小限に抑えようとしたとのことです。

ただ、公式の記録には大塚地区での「わざと切れ」は記載されていませんので、あくまでも「噂」です。しかし、右岸の最下流の西淀川区では、逆に市街地に溢れる水を淀川に戻して逃がすために右岸を「わざと切れ」したことが記録されています。

これらを総合的考えると、工兵隊らによる「大塚地区」での「わざと切れ」は、賢明な判断であったと思います。

2.高槻での被害状況

淀川右岸の「大塚切れ」は、9月末の台風一過で晴れ上がった翌日(10月1日)昼のことだったそうです。「大塚が切れた」と町内に呼ばわる声がしたので、各家では貴重品や衣類・食器類のほか、畳も全て二階に上げて浸水に備えました。

やがて水が押し寄せて来た時、工兵隊の兵士が「船」(現在の自衛隊員の「ゴムボート」に相当するもの)を使って住民を高い土地まで避難させてくれたそうです。

その後、我が家は「床上浸水」(1階の畳の部分から1m以上浸水)しました。

3.スーパー堤防の必要性

民主党政権時代に「事業仕分け」で蓮舫議員が「二位じゃダメなんですか?」と「スーパーコンピューター開発費」をばっさり切ったり、他の民主党議員が「200年に1度の災害」に備える「スーパー堤防の必要性」に疑問を呈し、事業を廃止させました。

しかしその後、奈良県と大阪府を流れる「大和川の氾濫」が起きて、この「パフォーマンス」的な感じの「事業仕分け」が短慮だったことを証明しています。

治水は国家100年の大計」という認識が、民主党議員にはなかったということでしょうか?

我々も、「100年前に高槻市の大塚地区で淀川が決壊し、大洪水の被害があったけれども今は大丈夫」とのんきに高を括っていてはいけないと思います。

昨年7月の「西日本豪雨」では、西日本を中心に川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、犠牲者は200人を超えました。また昨日(2019/8/28)は、佐賀県・福岡県・長崎県に「大雨特別警報」が出されました。この「特別警報」は「命に関わる非常事態」です。

あるジャーナリストが、「昨年(2018年)9月4日の台風21号の時、淀川の水位が氾濫危険水位近くなり、決壊の危険もある状態にあった。あのまま大雨が続いていたら決壊していたかもしれない」と話していたのを聞いたことがあります。ネット上には一般の人からの画像投稿があったようですが、テレビの報道番組ではそれほど切迫した映像は流れなかったように思います。私の見落としかもしれませんが・・・

一般の住民は、「川のそばには絶対に近付かないでください」というテレビの注意喚起もあり、わざわざ淀川の水位上昇の現場を見に行けません。もし上記のジャーナリストの話が真実であれば、テレビや新聞などの報道各社は、不必要に不安をあおる必要はありませんが、住民にもっと実態をしっかりと知らせる義務があるのではないかと思います。

そして、淀川の堤防補強工事や浚渫強化を今後も計画的に着実に進めることによって、洪水の被害が起こらないようにしてほしいものです。