<2020/6/19追記>「マスクバブル崩壊」の件
第二波への懸念はありますが、日本国内では新型コロナウイルス肺炎は「収束の兆し」が見えてきました。それに伴って、一時はどこにもなかったマスクがいろいろな店の店頭に並ぶようになり、価格も異常な高値の時に比べて10分の1に下落し、品質基準を満たさない中国製マスクの在庫を500万枚も抱えている業者もいるそうです。完全に「マスクバブル崩壊」であり、当然のことではありますが喜ばしいことです。
菅官房長官は3月12日の記者会見で、国内で品薄状態が続くマスクについて「(国内業者による)24時間生産などの態勢強化で、毎週1億枚以上供給できる見通しができている」と述べました。
また菅官房長官は3月27日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたマスク不足について、「3月は月6億枚を超えるマスクを供給することになった。4月には1億を上積みできる見通しだ」と述べ、その上で「品薄状況の解消には一定程度の時間を要するが、供給拡大に向け最大限の努力をしたい」と語りました。
かつてのようにドラッグストアの開店前から「転売ヤー」などの行列ができることはなくなりましたが、今のところ一向にドラッグストアの店頭にはマスクや消毒液が見当たりません。
3月15日に「マスクの高額転売禁止」の政令が出たので高額転売は抑制されたようですが、一般消費者の手元にはいつ届くのか見当もつきません。
<2020/4/23追記>
我が家の体温計が古くなって、どうも正確な体温が測れていないように感じて、昨日ドラッグストアへ行ったところ、「体温計は品切れ」となっていました。ネットのフリマアプリや通販サイトでは高額で「体温計」が販売されているようです。
「マスクの高額転売禁止」の政令には「体温計」が入っていなかったことと、社員に検温を義務づける企業が増えて品薄になるのを見込んで大量に買い占めて転売しているのでしょうか?
人々が困っているところや弱みにつけ込んで一儲けしようと企むこのような不心得者をなくすために、「体温計」や「消毒液」などコロナ関連で転売が起きそうな商品についても、早急に高額転売禁止対象に加えるよう政府にお願いしたいものです。
生産・輸入増のはずのマスクがなぜ今も品薄で買えないのでしょうか?また生産・輸入増のよる在庫はどこにあるのでしょうか?
今回はこの問題について考えてみたいと思います。
1.マスクの品薄状態が続く原因
(1)日本のマスクの主要輸入先の中国から品物が入って来ないこと
日本衛生材料工業連合会の統計データによると、2018年度に日本で流通した家庭用・医療用・産業用マスク約55億枚のうち、輸入(ほとんどが中国)が約44億枚、国内生産は約11億枚でした。
中国からの輸入ストップや遅れで、新型コロナウイルスの感染拡大によるマスク需要の急増に対応しきれなくなっているということです。
業界関係者によると、「中国から輸入してきたマスクの多くは、日本のメーカーが仕様を決めて中国の契約工場に生産を発注し、輸入して自社ブランドとして販売して来ました。しかし中国でコロナ感染拡大が起きると、中国政府は「緊急」を理由に工場に対して日本メーカーへの出荷を止めさせた。そして中国産マスクは中国政府の支配下に置かれつつある」ということです。
同関係者によると、「その後中国政府は、中国で生産されるマスクを高品質なものから買い上げ始めました。マスク着用を始めた欧米各国が中国産マスクを求めて来ると、争奪戦がさらに激しくなって不織布の価格が高騰し、マスクの紐まで足りなくなっている。今後中国政府は、マスク工場を完全管理下に置くとの憶測も出ている」とのことです。
欧州で感染者が急増した後、中国政府は「支援」を名目に欧州各国にマスクを提供しましたが、問題も起きています。
上記の業界関係者によると、「中国政府が買い上げて贈ったマスクの中に粗悪品が多く混じっていました。メンツがつぶれた習近平主席は激怒したと言われ、政府は工場に品質検査を厳しく求め、出荷までさらに時間がかかるようになった」とのことです。
(2)国内のマスク専業メーカーが増産体制を取っても生産が追い付かないこと
「エリエール ハイパーブロックマスク」などを生産・販売する大王製紙でも「フル生産体制」で供給に全力を挙げているそうです。
「超快適マスク」を販売するユニ・チャームの直販サイトでも、「マスク・おしりふきにつきましては販売を一時的に休止しております」との表示が出ています。なお、ユニ・チャームは9割以上を国内で生産しているそうです。
アイリスオーヤマは、今までは全量中国の工場で生産して輸入していましたが、国内で生産するための機械を手当てし、6月をメドに日本で生産を開始するそうです。
ただ、詳しいことは素人の私にはわかりませんが、国内のマスク専業メーカーが、「国内工場での生産」だけではなく、「中国からの輸入」にも頼っているのであれば、その輸入分の入荷は当分期待薄なのではないでしょうか?
(3)国が医療機関や高齢者施設、公共交通機関などのために、在庫を確保していること
政府が医療機関や高齢者施設、公共交通機関などに配布するために、メーカーから優先的に一定量を購入する契約を結び、在庫を確保していることです。3月に生産した6億枚のうち、国が3億5000万枚を買い上げ、医療機関や高齢者施設などに優先配布しています。これとは別にメーカーが医療機関などに直接納入もしています。
厚生労働省の担当者は、「四月以降も医療機関や高齢者施設などへの優先配布は必要。店頭の品薄解消のめどはわからない」と話しています。
日本衛生材料工業連合会によれば、「3月のマスク生産量6億枚の行き先は、医療機関が3割、残りが介護施設や食品業界、そして最後が小売店です。メーカーには例年の4~5倍の受注があり、いつコロナ以前の状況まで回復できるかはっきりしたことは言えない。ただ小売店への納品回数は増え、店頭に並ぶ機会も増えています。30分~1時間程度で売れてしまいますが」とのことです。
(4)世界的な急激かつ際限のないマスク需要の増大
全国マスク工業会によると、店舗への入荷頻度も増えているそうです。それでも急激かつ際限のない需要の増大で、「売り場に置くと瞬間的に売り切れる」という状況が続いているそうです。
手元にある程度マスクを持っていても、「売っていれば、なくならないうちに買い置きしておこう」という意識が働いて買いだめに走る「静かなパニック」が広がっているようです。
なお、世界的なマスク需要の急増に伴って、「マスクの世界的争奪合戦」のような様相となり、「価格の高騰」や「アメリカによる外国への輸出抑制・禁止の動き」などの問題も起きています。
また、急な増産で「粗製乱造」となり、粗悪品・不良品のマスクが出回るのではないかという心配もあります。
(5)物流・小売業者によるマスクの値上がりを見込んだ買占め・売り惜しみ?
これは確かなことは分かりませんが、もしそのようなことが行われているとすれば、都道府県知事は特措法第55条に基づいて「売り渡し要請や収用措置」を躊躇なく実施すべきです。
政府も在庫や仕入れ価格の確認を目的にした立ち入り検査を実施し、「高額販売」で不当な利益を得る業者を厳しく取り締まるべきです。
また、「オイルショック」による「トイレットペーパー品薄騒動」を受けて1973年に公布された「買い占め及び売り惜しみ防止法」(正式名称:生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律)を発動して、マスクをはじめ消毒液、体温計、トイレットペーパーなどについても取り締まってほしいものです。
2.在庫はどこにあるのか?
(1)Amazonや楽天市場などの通販サイトには「在庫あり」の広告が多数出ています
大手の専業メーカーではなく、日本の専業でない中小メーカーか中国からの輸入業者かもしれませんが、多くの「在庫あり」の広告が出ています。
これらの製品は、多分通常ドラッグストアで販売されているものより割高だと思います。メルカリなどでの「転売」で問題になったほど高額ではないかもしれませんが・・・
(2)在庫速報com.
「在庫速報com.」というサイトの「マスク」を見ると、不織布とそれ以外の高性能の分もあるので一概に比較できませんが、不織布の使い捨てマスクで1枚56円~217円で、洗えるマスクは1枚218円~1000円以上まであります。
(3)マスク在庫価格ランキング
「マスク在庫価格ランキング」というサイトを見ると、Amazonと楽天市場で売られている安いマスクがランキング形式で紹介されており、「1枚あたりの価格」「発送時期」「ショップの評価」がわかります。
3.「非専業メーカー」や「原材料メーカー」などによるマスク増産・販売への動き
(1)ホンダ
ホンダは4月14日、顔を防護する「医療用フェースシールド」の生産に乗り出すと発表しました。国内事業所で5月末までに始め、病院などに寄贈する予定とのことです。
(2)東レ
東レは4月13日、使い捨てマスクの材料となる繊維シート「不織布」について、5月以降に国内メーカー向け供給量を現在の2.7倍に引き上げると発表しました。現在の月3000万枚分から最大8000万枚分になります。
(3)LIXIL
LIXILは4月13日、災害用として備蓄していた医療用の高機能マスク「N95」約2000個を国に寄付すると発表しました。医療現場でのマスク不足が問題になっていることから寄付を決めたそうです。
(4)ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループは4月12日、不足しているマスクについて、5月から月3億枚を主に医療機関に対し、利益を上乗せせずに販売することを明らかにしました。同社は中国の電池・自動車メーカーの比亜迪(BYD)からマスクを買い上げるということです。BYDは約2カ月前からマスクの生産に乗り出しています。
(5)日清紡ホールディングス
日清紡ホールディングスは4月9日、繊維子会社の日清紡テキスタイルが持つインドネシアの工場で、マスク用のガーゼ生地の生産を始めたと発表しました。200万枚分を生産する予定で、今後も需要があれば対応する方針です。
(6)トヨタ
トヨタは4月7日、自動車製造用の機械設備を作る貞宝工場(愛知県豊田市)で、顔全体を保護する医療用フェースシールド(防護マスク)を生産し、医療機関に提供する方針を発表しました。グループ企業でも製造可能か検討するとのことです。
(7)トランザクション
トランザクションは4月7日、マスク不足に対応するため、医療・介護事業者向けに1000万枚のマスクを販売すると発表しました。グループ会社の販売サイトで注文を受け付け、5月から納品する予定とのことです。
(8)ミキハウス
子供服ブランド「ミキハウス」を展開する三起商行は4月3日、抗菌・抗ウイルス加工をした子供用マスクを発売すると発表しました。約50回洗濯しても効果が続くといい、肌に優しい綿100%の生地を使用しているそうです。
(9)シャープ
シャープは政府の要請を受けて、3月24日から液晶ディスプレイの生産を行っている三重工場で、クリーンルームを活用した「不織布マスク」の生産を開始し、3月31日から政府向けに出荷を開始しました。生産量は1日あたり15万枚で、将来的には50万枚への増産を目指す計画です。
戴正呉会長兼社長は、既に生産を開始した日本、アメリカのほか、欧州やインド、中国でも近々生産を開始する予定とのことです。
4.今こそ製造業の「工場の日本回帰」のチャンス
今までいかに日本のメーカーが中国に依存していたかが、改めて明らかになりました。私は以前から「工場の日本回帰」が必要と考えていましたが、今がその絶好のチャンスだと思います。中国から他の東南アジア諸国への工場シフトではなく、日本へのシフトを強力に推進すべきです。
これは製造業だけでなく、「農産物の国内自給率向上」や花粉の多いアメリカ杉に代えて日本の杉を植林するなどの「林業の改革」「日本の林業の復活」も併せて検討していただきたいものです。「外国人労働者」に頼りすぎるのも問題です。
日本人が外国人に命綱を握られたり、外国が日本の死命を制するようなことがあってはなりません。完全な自給自足は無理でしょうが、基本的にエッセンシャルなところは国内で賄えるようにすべきだと私は思います。
<2020/6/4追記>消毒液の高額転売がインターネットサイトで横行
マスクは転売禁止とマスクの増産・輸入増などで需要が低下したため、大幅に値崩れし、買い占めた「転売ヤー」からの在庫放出が顕著ですが、「消毒液の品薄状態」は今も続いています。あっても非常に高額で販売されています。
現状ではこちらの方が問題だと思います。早急に「消毒液の転売禁止」(2020/5/26より実施)を実効性あるものにするため、通販サイトでの出品禁止に乗り出すべきだと思います。そして「買占め・売り惜しみ」という悪質な違法行為をしている不心得者を徹底的に摘発してほしいと思います。「体温計」も消毒液と同様に「転売禁止」にして取り締まるべきだと思います。
日本政府には、このような不心得者が不当な利益を貪ることがないよう、「一罰百戒」で厳しく取り締まってほしいものです。
「オイルショック」による「トイレットペーパー品薄騒動」を受けて1973年に公布された「買い占め及び売り惜しみ防止法」(正式名称:生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律)を発動して、マスクをはじめ消毒液、体温計、トイレットペーパーなどについても取り締まるべきだと私は思います。
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