「再生可能エネルギー」としての風力発電の究極の形「台風発電」は実用可能か?

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台風発電機

2011年3月11日の「東日本大震災」による東京電力の「福島第一原子力発電所事故」以降、「原発反対」の世論の高まりの中で、「再生可能エネルギー」が注目を集めるようになりました。

1.「再生可能エネルギー」とは

再生可能エネルギー(renewable energy)とは、太陽や地球物理学的・生物学的な源に由来し、利用する以上の速度で自然界によって補充されるエネルギーのことです。

「太陽光発電」や「風力発電」はすでに馴染み深いものになっていますが、そのほかにも地熱・バイオマス・波力・潮力・流水・潮汐などによる発電があります。

2.「台風発電」の実用可能性

「風力発電」と言えば、大きなプロペラを持った風力発電機の写真をよく見ますね。私も子供の頃に冗談で、「台風の力を利用出来たらすごいエネルギーになるだろうな」と考えたものです。

これは誰しも考えることですが、「実用化となると、多分無理だろうな」と思ってしまったものです。

「大型の台風一つのエネルギーは、日本の総発電量の50年分に相当する」との国土交通省の試算もあります。

しかし、それを本気で実用化しようとしている会社があります。

3.(株)チャレナジーが台風発電でクラウドファンディング

(株)チャレナジーは、日本と同様に台風の上陸が多いフィリピンに着目して、「台風発電機」の販売に乗り出そうとしています。

現在同社では、沖縄県南城市でテスト機を設置して、発電量の変化や耐久性をテストしている段階です。2016年、このテスト機設置のプロジェクト実施にあたって1500万円のクラウドファンディングを実施しました。

同社は、2014年設立の研究開発型のものづくりスタートアップ企業です。社長は元大手電機メーカー勤務の技術者です。

下町の町工場と共に、世界で初めて「台風発電」の実証実験に挑戦する「下町風力発電プロジェクト」です。

今後同社は、実証実験を成功させ、日本国内の離島をはじめとする地域に、安心・安全な電気を提供して行くとともに、毎年台風がやってくるフィリピンなど新興国の無電化地域を電化して行くことを目指しています。

4.台風発電機のメリット・デメリット

「台風発電機」の原理は、円筒を気流中で回転させた時に発生する「マグナス力」により動作する次世代型風力発電機です。

マグナス力

「マグナス力」(「マグナス効果」とも呼ばれます)とは、「回転しながら進む物体に、その進行方向に対して垂直の力(揚力)が働く現象」のことです。

「プロペラ式風力発電機」と比較してメリット・デメリットをご紹介します。

(1)メリット

①円筒なので、風の強さや向きが変わりやすい環境でも対応できること

②大きなプロペラがないので、折れたりする心配がないこと

(2)デメリット

①プロペラはないが、巨大な鉄塔上に円筒がある構造物なので鉄塔ごと倒れる心配があること

②秒速25mを超える強烈な風速下では、暴走や破損の恐れがあるので停止すること

③秒速25mを超える大型台風の場合、エネルギーは活用できず倒壊の危険性だけが残ること