漢字で書いた「果物」の名前。これは何という果物かわかりますか?

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アケビ

日本に古くからある果物でも、漢字で書いてあると読めない方も多いのではないでしょうか?また現代では、特に都市部に住んでいる方にはあまり馴染みのない果物もあるかもしれません。

1.漢字で書いた日本に古くからある果物の名前

(1)あ行

①木通、②杏(杏子)、③無花果、④楳

(2)か行

①臭橙(香母酢/酸橙)、②花梨、③枸杞

(3)さ行

①桜桃、②柘榴、③西瓜、④酢橘、⑤李

(4)は行

①八朔、②仏手柑、③椪柑(凸柑)

2.漢字で書いた日本古くからある果物の読み方(解答)と解説

(1)あ行

①木通(あけび)

アケビの実アケビ花

アケビ科の蔓性落葉低木です。ほかにも漢字で「通草」「山女」「丁翁」とも書きます。

アケビの名前の由来は、秋に楕円形の果実がつき、熟すと縦に割れて白くて甘い果肉と黒い種子を覗かせる様子から「開け実(あけみ)」の意味で名付けられたものです。

木部を漢方で「木通(もくつう)」と言い、茎を輪切りにして乾燥させたものは、血行促進・利尿・抗炎症・鎮痛などの効能があります。

俳句で「秋」の季語ですが、アケビの花(上の右側の画像)は「春」の季語です。

・一夜さに 柵で口あく 木通かな(小林一茶)

②杏(杏子)(あんず)

アンズの実アンズの花

バラ科サクラ属の落葉小高木です。別名は「唐桃(からもも)」です。

英語名の「アプリコット(apricot)」で呼ばれることもありますね。

「杏色(あんずいろ)」は、杏の実のような「赤味がかった黄色」のことで、JISの色彩規格では「やわらかい黄赤」とされています。

中国から日本へ渡来した時期は古く、平安時代は薬用植物として栽培されていました。アンズの種子は生薬「杏仁(キョウニン)」として咳止め等に使われます。

実は初夏に黄熟し、7月頃に収穫されます。果肉は酸味が強いため、生食用のアンズは稀であり、ジャム・シロップ漬け・果実酒・ドライフルーツなどの加工品として利用されます。

若い方は、渡辺謙さんの娘で女優の杏(あん)さん(本名は「渡辺杏(あん)」)をまず思い浮かべるでしょうが、私は室生犀星の「杏っ子(あんずっこ)」と森鴎外の娘の小堀杏奴(こぼりあんぬ)を思い出します。

俳句で「夏」の季語ですが、アンズの花は「春」の季語です。

・山梨の 中に杏の 花ざかり(正岡子規)

③無花果(いちじく)

イチジクの実イチジク

クワ科イチジク属の落葉高木です。別名は「映日果(えいじつか)」です。

「無花果」と書くのは、「イチジクは花嚢の内部に無数の雄花と雌花を付けますが、外からは見えないため、花を咲かせずに実をつけるように見える」ことに由来します。

イチジクの語源については、ペルシャ語の「Anjir」がヒンズー語で「Injir」になり、中国語で「映日(イェンジェイ)」と音写され、そこに「果(クォ)」が加えられた「映日果(イェンジェイクォ)」からという説と、少しずつ熟していく過程を「一熟(いちじゅく)」の意味として捉えたという説があります。

俳句では「秋」の季語です。

・無花果や 薬を刻む 縁の先(寺田寅彦)

④楳(うめ)

梅の実紅梅

普通は「梅」と書きますが、「楳」も「うめ」と読みます。バラ科サクラ属の落葉高木です。漫画家の楳図(うめず)かずおさんの名前にもありますね。

奈良時代までは、「花」「花見」と言えば梅(楳)のことでしたが、「右近の橘、左近の桜」のように平安時代に入ると桜(山桜)のことを言うようになり、江戸時代以降は主に「ソメイヨシノ(染井吉野)」のことを指すようになりました。

なお、従来から梅を「プラム(plum)」と英訳することが定着していますが、「plum」は「西洋スモモ」のことで、厳密には梅ではありません。

俳句で梅(梅の花)は「春」の季語ですが、梅の実は「夏」の季語です。

・梅一輪 一輪ほどの 暖かさ(服部嵐雪)

(2)か行

①臭橙(香母酢/酸橙)(かぼす)

カボスの木カボスカボスの花

ミカン科の常緑広葉樹です。

ユズ(柚子)の近縁種で、枝には鋭い刺があります。果実は緑色のうちに収穫しますが、熟すと黄色くなります。果肉は黄白色で、多汁で酸味が強いのが特徴です。果汁を搾って食用とします。

スダチ(酢橘)などと混同されがちですが、果頂部のめしべの落ちた跡の周囲がドーナツ型にやや盛り上がるので区別できます。

カボスの名前の由来は、「柑子」(かむし/かむす)が訛ったものとも、乾燥した皮を燻(いぶ)蚊除けに用いたからとも言われています。

主な産地は大分県臼杵(うすき)市です。

②花梨(かりん)

花梨の実花梨の花

バラ科の落葉高木です。果実は「花梨酒(かりんしゅ)」などの原料になります。私は近所の人が庭に植えていて、大きな実がなっているのを見かけたことがあります。

カリンの名前は、材の木目が三味線の胴や竿、座卓に使われる唐木の「花櫚(かりん)」に似ているために名付けられたものです。

果肉は渋く「石細胞(せきさいぼう)」が多いため硬く、生食には適しておらず、砂糖漬け・コンポート・リキュールなどに加工されます。加熱すると渋みは消え、果肉は鮮やかな赤色に変わります。

カリンの果実に含まれる成分は、咳や痰など喉の炎症に効くとされ、よく「のど飴」に配合されています。

俳句で「花梨の花」(花かりん)は「春」の季語ですが、「花梨の実」は「秋」の季語です。

③枸杞(くこ)

クコの実クコの花

東アジア(中国~日本)原産のナス科の落葉低木です。

荒れ地などに見られ、夏から秋にかけて薄紫色の花を咲かせ、秋に鮮やかな赤い果実をつけます。食用や薬用に利用されます。

漢名の「枸杞」の名前の由来は、中国の古書に「橘(カラタチ)のような刺(とげ)があり、柳(コリヤナギ)のように枝がしなやかに伸びるので、枸杞と名付けられた」との記述があります。

日本の地方によっては、「カラスナンバン」「カワラホオズキ」「ノナンバン」などの方言でも呼ばれています。

(3)さ行

①桜桃(さくらんぼ)

サクランボの実サクランボの花

バラ科サクラ属サクラ亜属の「ミザクラ(実桜)」の果実で食用です。国内生産量日本一の山形県の「佐藤錦」という品種が有名ですね。

木を「桜桃(おうとう)」、果実を「サクランボ」と呼び分ける場合があります。

「サクランボ」は桜の実という意味の「桜の坊(さくらのぼう)」の「の」が撥音便となり、語末が短母音化したものです。

ソメイヨシノ(染井吉野)の木にも、小さな「サクランボ」がなっているのを見かけることがありますが、とても食用にするほどの大きさではありません。

②柘榴(ざくろ)

ザクロの実ザクロの実を開けたところ柘榴の花

ミソハギ科ザクロ属の落葉小高木です。「石榴」「若榴」とも書きます。

庭木などの観賞用に栽培されるほか食用にもなります。私も近所の人からザクロを貰って食べたことがありますが、見た目は小さなルビーの宝石のようで美しいのですが、さほど美味しいものではありませんでした。「話のタネ」になる程度です。

英語では「pomegranate」と言います。

お菓子やカクテルのレシピに登場する「グレナデンシロップ(grenadine syrup)」は元々、ザクロの果汁から作られていました。これはフランス語でザクロのことを「grenade」と言うのに由来します。

俳句で「柘榴(の実)」は「秋」の季語ですが、「柘榴の花」は「夏」の季語です。

・若長が 机のうへの ざくろかな(与謝蕪村)

③西瓜(すいか)

西瓜西瓜の花

ウリ科の蔓性一年草です。スイカは全体の90%近くが水分なので「水瓜」とも書きます。英語で「ウォーターメロン(watermelon)」と言いますが、まさにその通りですね。

余談ですが、「南瓜(なんきん)」はカボチャですが、「北瓜」や「東瓜」はありません。その理由は元々「西瓜」も「南瓜」も中国語で、中国から見て「西方(西アジア方面)に産する瓜」、「南方(東南アジア方面)に産する瓜」を表す言葉だからです。

「北瓜」があるとすればモンゴルあたりの瓜、「東瓜」があるとすれば朝鮮半島か日本列島当たりの瓜を指すことになります。

ただし、言葉としては「北瓜」は実際にあり、「西瓜の別種」だったそうです。しかしこの言葉はあまり普及しませんでした。

もう一つ、「東瓜」とよく似た音の「冬瓜(とうがん)」があります。この「冬瓜」は夏季が旬(しゅん)の野菜ですが、丸(玉)のまま保存すれば冬まで日持ちすることから「冬瓜(とうが)」の名が付き、それが転訛して「とうがん」と呼ばれるようになりました。

④酢橘(すだち)

酢橘の実スダチ酢橘の花

ミカン科の常緑低木ないし中高木で、徳島県原産の果物です。私などは「カボス」とほとんど区別がつかず、食べる機会もほとんどありませんが、私が現役サラリーマンの頃の同僚で徳島県出身の人は、この「スダチ」を大変誇りにしていました。

「スダチ」の名前の由来は、「食酢」として使っていたことにちなんで、「酢の橘」から「酢橘(すたちばな)」と名付けられましたが、現在の一般的な名称は「スダチ」です。

⑤李(すもも)

スモモスモモの花

バラ科サクラ属の落葉小高木です。「酢桃」とも書きます。

スモモの果実は桃に比べて酸味が強いこともあり、食物としては我々にあまり馴染みがありません。

しかし「李下に冠を正さず」とか「桃李もの言わざれども下自(おの)ずから蹊を成す」ということわざや。「スモモも桃も桃のうち」という早口言葉でよく知られています。

また韓国初代大統領の李承晩や、女子プロゴルファーのイ・ボミ(李ボミ)やイ・チヒ(李知姫)のように韓国の人の苗字に多いので記憶にあります。

(4)は行

①八朔(はっさく)

八朔八朔の断面八朔の花

日本原産でミカン科の大型の柑橘類です。独特の苦みと酸味がありますが、鮮度の良いものは水分も多く美味しいミカンです。

原産地は広島県因島ですが、現在の主産地は和歌山県で70%近くを占めています。

「八朔」の名前の由来は、旧暦の8月1日(八朔)の頃から食べられたからと伝えられていますが、実際にはこの時期はまだ果実が小さく食用には適していません。現在では12月~2月頃に収穫され、1~2ヵ月ほど冷暗所で熟成させ、酸味を落ち着かせた後、出荷されています。

②仏手柑(ぶっしゅかん)

仏手柑仏手柑の花ブッシュカン

ミカン科ミカン属の常緑低木です。「ぶしゅかん」とも言います。

元はインド原産「シトロン」の変種で、果実の形が人の手の指に似ており、「千手観音」(下の画像)を思わせることから、「仏手柑」と呼ばれるようになりました。

千手観音

家の庭に植えると、「代々(橙)家が栄える」と言われており、また果実の先が広がっていることから「末広がり」の形が喜ばれ、商売繁盛を祈願してお正月に飾られるなど「縁起物」として用いられます。

③椪柑(凸柑)(ぽんかん)

ポンカンポンカンの花

インド原産のミカン科ミカン属の柑橘類で、中国から台湾を経て1896年(明治29年)に鹿児島に伝来しました。

「ポンカン(ポンカンオレンジ)」の「ポン」は、インド西部の「プーナ(Poona)」から、「カン」は柑橘の「柑」から付けられたと言われています。

ポンに当てられた漢字「椪」は、タブノキの一種で、国訓ではクヌギを意味しますが、「音」による当て字です。

ポンカンは通常の「温州(うんしゅう)みかん」よりも甘さが強く濃厚な感じがします。

春先に人気の柑橘である「デコタンゴール(デコポン)」の親にあたる品種です。「デコポン」は「清見タンゴール」と「中野3号(ポンカン)」を交配して作られました。「デコポン」の「ポン」は「ポンカン」から来ています。

ちなみに流通果実としての「デコポン」(下の画像)は、熊本果実連が所有する「登録商標」で、不知火(しらぬい)系品種のうち糖度13以上のもののことです。

デコポン



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