1.自治体で「TikTok」の利用停止相次ぐ
大阪府の吉村知事は8月5日、中国企業バイトダンス社が運営する動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の府公式アカウントと、事業連携協定を「一時停止」にしたと発表しました。
「中国への情報流出の懸念」が指摘されたため、府が国に「安全保障上の問題」を問い合わせていました。
国からは「セキュリティー上の動向を注視している」との回答があったため、「安全保障上の課題が分からないなら、一旦停止が適切だ」と説明しています。
このアプリについては、埼玉県が7月中旬に「情報流出への不安の声が寄せられた」として公式アカウントの使用を停止しました。神戸市も8月3日、同様の理由で公式アカウントを非公開にしました。
最近、「ナゾの植物の種」を中国から送りつけられる被害が多発したり、尖閣諸島周辺への中国の軍艦の連続航行、「香港国家安全維持法制定」など不穏で不安な事象が相次いでいますので、大阪府などの各自治体の対応は適切だと思います。
アメリカが、中国の領事館がスパイ活動の拠点になっているとして閉鎖を命じたことも不安を増幅させています。
8月5日、アメリカのポンペオ国務長官は「中国企業のTikTokやWeChatその他のアプリは、中国共産党の検閲ツールであり、国民の個人情報にとって重大な脅威だ」と述べ、個人情報の盗難などを阻止するため、中国系アプリをアメリカ国内のアプリストアから排除することなど、対策の強化を発表しました。
また、新型コロナウイルスの研究データへのアクセスを防ぐため、ネット通販最大手「アリババ」や、検索エンジン「百度」などによるクラウド事業も制限したいとしています。
コロナウイルス対応での中国のやり方を見ていると、「都市封鎖」や「個人のプライバシーを無視したような監視・管理」が行われており、Tik Tokの利用による情報流出を懸念する人がいるのも無理のないことだと思います。
2.「TikTok」をめぐる安全性への懸念
(1)国家安全保障やプライバシーへの懸念
国家安全保障やプライバシーへの懸念から、国家レベルで使用を制限している例もあります。アメリカのポンペオ国務長官は、「利用すれば、個人情報が中国共産党の手に渡りかねない」と発言しています。
(2)青少年保護措置
不適切な内容の通報、承認したユーザーのみの閲覧または特定のユーザーをブロック、アカウントの非公開設定ができます。
危険性がある動画や、適切でない可能性がある動画を機械的検出ならびに人的確認の上、危険性があると判断された場合に「動画を視聴する上での注意喚起文」が表示されます。
なお、これは次の「検閲」にも似たような問題を含んでいます。
(3)検閲
中国本土版では、中国政府が不適切と考える動画は投稿できません。国際版Tik Tokでも同様に、中国政府が不適切と考える動画を拒否しているのかどうかについては議論・疑惑が存在するようです。
2019年9月、チベット独立や天安門事件、法輪功に関する投稿については、アプリのモデレータが常に検閲していることを、イギリスの大手新聞「ガーディアン」が報じました。