「新型ブニヤウイルス」による「SFTS」とは?わかりやすくご紹介します

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SFTS

「新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)」がいまだ終息しない中、中国でコロナとは別の「新型ブニヤウイルスによるSFTS発生」との報道がありました。

8月4日、テレビ朝日のニュースサイト「テレ朝news」が「中国で『新型ブニヤウイルス』7人死亡、60人が感染」と報じました。

大変不安な話なので、今回はこれについてわかりやすくご紹介したいと思います。

1.「SFTS」は2013年に日本ですでに感染者が発生している感染症だった

多くの人が、「新しい危険なウイルスが中国で発見された」と受け止め、不安になったようです。

しかし、「国境なき医師団」に参加し発展途上国の風土病などに詳しい医師によると、「あのニュースは説明不足で、ちょっと誤解を招きます。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、日本でも西日本を中心にまれに発生しています。だいぶ前からある感染症で、国立感染症研究所にデータが載っています。」

重症化すると多臓器不全などを起こす病気なので、確かに注意は必要ですが、突然降って湧いた感染症というわけではありません。ワクチンはないので、ウイルスを媒介するダニに刺された時に注意する必要はあります。」とのことです。

2.「新型ブニヤウイルス」は2011年に中国で初めて確認されたウイルス

国立感染症研究所の「感染症情報」のデータベースによると、「SFTS」は次のように解説されています。

SFTSは2011年に中国の研究者らによって発表されたブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルスによるダニ媒介性感染症である。2013年1月に国内で海外渡航歴のない方がSFTSに罹患していたことが初めて報告され、それ以降他にもSFTS患者が確認されるようになった。

2020年5月27日現在の「感染症発生動向調査で届出られたSFTS症例の概要」によると、「これまでに517人の患者が報告されており、前回集計分(4月29日)からの報告数(遅れ報告を含む)の増加は10例だった。男女比はほぼ1:1で、届出時点の年齢中央値は75歳だった」とのことです。

3.感染予防上の注意点

夏場は草が生い茂り、半袖の服装を着用することが多く肌を露出しますので、ウイルスを媒介するダニに咬まれる可能性が高まります。

そのため、予防策としては「昆虫採集の場合の注意点」と同様に「草藪に入る場合は、長袖・長ズボン・靴下を着用すること」や「忌避剤(虫よけ剤)を使用すること」が大切です。

万一マダニに咬まれてしまった場合には、皮膚科など医療機関で適切な処置を受けるようにしてください。また咬まれてから数週間程度は体調の変化に注意し、発熱などの症状が認められた場合は速やかに医療機関の診察を受けるべきです。

「国立感染症研究所」公式サイト上の昆虫医科学部の資料によると、マダニは世界中で800以上の種が知られており、日本では47種が生息しているそうです。

「シカやイノシシなどの野生動物が出没する環境」や「民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道」などが生息場所です。なおマダニの多くは春から秋(3月~11月)が活動期です。