羊水の役割とは?お腹の中の胎児は呼吸はどうしているのか?溺れないのはなぜ?

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胎児

初孫が出来たのを見て、喜びとともに「生命の誕生の不思議」をつくづく実感しました。

胎児は母親の子宮の羊水(ようすい)の中に浮いているわけですが、呼吸はどうしているのでしょうか?また羊水に溺れないのも考えてみれば不思議なことです。

1.羊水とは?

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妊娠中の母親の子宮の中を満たし、胎児を守っている液体が羊水です。「生命の源は海」と言われますが、「羊水は赤ちゃんを守り育てる海」とも言えます。

妊娠すると子宮内では、胎児を囲むように3層からなる「卵膜」と呼ばれる袋状の空間ができます。

卵膜の一番内側(胎児の側)の膜を「羊膜」といい、羊水と胎児はこのような薄い透明の膜に包まれています。

羊水は無色透明で、アルカリ性の性質を持っており、常に38度ほどの温度に保たれています。

妊娠初期の頃の羊水の成分は、母親の血液中の液体成分である「血漿(けっしょう)」などが主成分だと考えられています。

羊水は最初は電解質を含む水が中心ですが、12~14週目頃にはタンパク質・炭水化物・脂質・リン脂質・尿素なども含まれるようになります。

妊娠中期(16週目頃)以降は、胎児自身も羊水を作るようになります。胎児が作り出す液体成分の主なものは尿ですが、そのほかにも気道や消化管などから分泌される液体成分も、羊水の一部となります。

子宮内は閉じた空間なので、羊水もその中を循環します。胎児は羊水を飲み込んで腎臓で濾過し、再びきれいな状態にして排出し、循環させています。

羊水は妊娠初期には無色透明ですが、妊娠末期には胎児が排出した尿や胎児の皮膚から剥離した物などで乳白色になります。

2.羊水の役割とは?

羊水

(1)胎児を保護するクッションの役割

羊水の役目は、胎児を保護することです。子宮の中は液体で満たされていることで、その空間が安定的に保たれています。

万一母親が転んだり、お腹を何かにぶつけてしまったとしても、液体の入った空間があることで胎児に直接衝撃が伝わらず、守ることができます。

羊水は胎児を受け止めるクッションのような役割を持っているのです。

(2)運動空間の役割

胎児は羊水という液体の中で、自由に運動して筋肉や骨格を発達させます。「羊水は胎児の運動・トレーニング用のプール」とも言えます。

子宮の中で体を動かすことで、筋肉や骨などの発達を促すのです。

この動きは当然母親にも伝わりますが、液体があるおかげで直接は伝わりにくくなっています。

胎児の動きを胎動として感じられるのは、妊娠18~20週頃からです。

(3)肺や腎臓機能を発達させる役割

羊水の機能の中で最も重要な役割は、胎児の肺の機能を育てる役割です。

羊水の中にいる間、胎児は外に出る日に備えて「呼吸の練習」をしています。空気の代わりに羊水を肺に取り込み、外に吐き出すことで呼吸の練習をしているのです。

飲み込んだ羊水は、吸収されて体内を巡り、腎臓で濾過されて尿として排出されます。腎臓や消化管の発達にも深く関係しているのです。

「胎児が羊水を飲んでいる」と言うと、「おしっこを飲んで大丈夫なのか?」と心配する方もおられるかもしれませんが、おしっこと言っても、老廃物は臍帯を通じて母体へと排出されますのできれいなものです。

3.胎児は羊水を飲んで呼吸の練習をする!?

胎児は羊水を飲んで呼吸の練習をしていると言いましたが、この運動のことを「呼吸様運動(こきゅうよううんどう)」と呼びます。

出産が迫ってくる妊娠後期になると、胎児は羊水を飲んで肺を膨らませ、再び吐き出すという練習を始めます。

実際の呼吸は空気を吸い込んで吐き出すものなので、胎児が液体を用いて行っているこの動きとは違いますが、吸って吐くという行為が呼吸に似ている運動のため、呼吸様運動と呼んでいます。

胎児の実際の呼吸は、胎盤とつながっている「臍帯(さいたい)」(へその緒)を通じて行われているので、呼吸様運動で実際に呼吸しているわけではありませんが、この運動は肺機能の完成と成熟を促すのに必要不可欠な運動です。

肺は、「肺胞」と呼ばれる小さな袋状のものがブドウの房のように連なって呼吸の場として機能しますが、この袋をしっかり作るためにも、羊水を飲み込む呼吸の練習は大切なのです。

4.胎児が羊水に溺れないのはなぜか?

胎児は母親の体内では、胎盤や臍帯(へその緒)を通して体に必要な酸素をもらい、いらなくなった二酸化炭素を渡しています。

胎児は母親の体内では羊水に漬かっていますので、まるで空気を吸うように時々羊水を吸ったり吐き出したりしています。ちょうど海や川にいる魚のようですね。

そのため普通の空気を吸い込むような呼吸をしていません。したがって羊水に溺れることはないのです。

赤ちゃんは母親の体の外に出てくると、すぐ肺いっぱいに空気を吸い込み、それを吐き出すとき「おぎゃー」という泣き声を出します。これを「産声(うぶごえ)」と呼んでいます。

5.胎児の成長は人間の進化の過程をたどっている!

受精卵が細胞分裂を繰り返して着床し、だんだんと胎児らしい形になるまでには、約40日かかります。この間、ボール状の細胞のかたまりは刻一刻と形を変えていきます。

宇宙創生にかかわる「ゆらぎ」研究の第一人者である理学博士の佐治晴夫氏(1935年~ )は次のように述べています。

受精後約32日目の赤ちゃんはまだ魚の顔で、鰓(えら)のようなものが見えます。約34日目になると、鼻が口に抜ける両生類の姿に、約36日目には原始爬虫類のような形に、約38日目に喉の器官ができ、約40日目に人間の顔立ちになります。

つまり、地球が40億年近くかけて行った生物の進化を、人間の赤ちゃんは、発生からわずか40日足らずで駆け抜けてしまうのです。単純に考えれば、胎内の赤ちゃんの1日は、地球の1億年に相当することになります。

「胎児の成長は人間の進化の過程をたどっている」とよく言われますが、まさにそれを実感しますね。

6.羊水と羊膜になぜ「羊」と付くのか?

蛇足ながら「羊水」と「羊膜」の語源についてご紹介します。

「羊水」は「羊膜」の内側を満たす液体なのでそう呼ばれるのですが、「羊膜」(amnion)の語源はギリシャ語のamnos(子羊)から来ています。

胎児は薄く柔らかい肌着のような膜に包まれているため、古代ギリシャの自然哲学者・医者のエンペドクレスは、これをamni’on(子羊の肌着)と呼んだそうです。

amnionが「羊膜」を意味するようになったのは、(1)生まれたばかりの膜に包まれた子羊の連想から、(2)生贄(いけにえ)として用いた羊の血を入れる鉢のことをamniosと言い、羊水に血が混ざって、生贄の血を入れた鉢のように見えることから、(3)羊膜の形が鉢に似ているから、(4)柔らかさが子羊に似ているからなど諸説あります。


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