<2021/12/9追記>NHKアーカイブス「回想法ライブラリー」が面白い
NHKの「おうちで学ぼう! for School」にNHKアーカイブス「回想法ライブラリー」があります。
内容は、「むかしの暮らし」「むかしの番組」「むかしの日本各地」「むかしの道具」「むかしの歌と音色」「思い出のニッポン」の盛りだくさんの動画です。
高齢者のご同輩はぜひご覧ください。何か新しい発見や心境の変化があるかもしれませんよ。
むかしの暮らし | 回想法ライブラリー | NHKアーカイブス
なつかしい物や映像を見て思い出を語り合う「回想法」は、脳を活性化し情緒を安定させ、長く続けることで認知症の進行予防やうつ状態の改善につながる可能性があるといわれています。そして、高齢者の認知症予防や認知症患者の心理療法、リハビリテーションに活用されています。
このページでは、施設や家庭で手軽に回想法を行えるように、昔の番組やニュースの映像と、回想法の手順を示す動画を公開しています。
・監修者 遠藤英俊さん(元国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長、シルバー総合研究所理事長)の言葉
昔を思い出すことは、高齢者にとって脳機能の活性化に有用です。昔懐かしい楽しい記憶や、つらかった記憶もふだんは記憶の海の底にひっそり眠っています。しかしひとたび映像や古い写真、古い物をみて、一瞬にして昔に戻ることができます。昔の話を語る相手がいれば尚のこと、楽しく時間を忘れることもできます。人は皆それぞれの思い出があり、時々それらを思い出すことで、人生も豊かになり、幸せな気持ちになることができます。回想法は、そういった懐かし映像をみて、人と語りあうことで、充実した時間をもつことができます。一つの心理療法です。昔を思い出し、人と語りあう時に、前頭前野の脳血流が増加することがわかっています。一人ひとりで行う回想法もありますが、集団で行う回想法もあります。回想法では懐かしい写真や古い物を用意することもありますが、NHKのアーカイブスを利用して、映像をみることはより手軽で、有用です。ぜひこの懐かし、見逃し映像を利用して、若かりし日に戻って、多くの方に幸せな気持ちになっていただきたいと思います。そして昔を懐かしむことで、日々の生活に活気を取り戻して、健康長寿につなげていただくことを期待します。
・監修者 黒川由紀子さん(黒川由紀子老年学研究所所長・上智大学名誉教授)の言葉
人は思い出によって自分を確認します。若く忙しいとき、思い出はそれほど大きな意味を持ちません。年をとると、自分の人生をふりかえることが増え、思い出が心を大きく支えます。どのようなときも無条件に愛してくれた母、満員電車に乗って通い続けた会社、わくわくしながら見た東京オリンピック、はじめて行ったハワイの海、初孫が誕生したときのことなどを回想し、自分の人生や、大切な人とのつながりを再確認します。回想法は、高齢者が思い出をふりかえり、仲間や聴き手と分かち合うことで、喜びや満足感を感じ、かけがえのない自分を再評価し、孤独感をやわらげる方法です。懐かしい映像を見ながら、わくわくしながら思い出を語る機会が増えることで、高齢者の自殺や孤独死を予防することができるでしょう。映像を手がかりに語られる年輩者の体験、ともすれば失われがちな祖父母たちの小さな物語が伝承されれば、子どもたちが未来を生きる力になります。
・監修者 来島修志さん(日本福祉大学健康科学部)の言葉
NHK回想法ライブラリーの映像には、戦前の子どもたちがおかれた社会と、その中で健気に生きる子どもたちの姿が詰まっています。また戦後の子どもたちのたくましく生きる姿とともに、きっと世代を超えて何かを語りかけてくるものと思います。
これらの映像は、皆様の目の前の利用者様や、地域の高齢者の方々がその子ども時代を思い出すきっかけとなるでしょう。それだけではなく、同世代の方々が思い出を語り合うことを通して共感し合い、さらに若い世代の方々に教え伝える役割を発揮する機会にもなることでしょう。どうぞ、回想法をやってあげる、援助してあげるといった先入観を肩から降ろし、純粋な気持ちで、身近に繰り広げられた昭和の暮らしを、映像を通して楽しみながら学んでいただきたいと思います。目の前の人生の諸先輩に教えていただきながら…
私は完全リタイアした70歳頃から、昔のこと(楽しかったことよりも、失敗したことや後悔していること、嫌だったことが圧倒的に多いのですが・・・)を何かの拍子に思い出すことが多くなりました。
決して意識的に思い出そうとしているわけではなく、無意識に昔の記憶が蘇ってくるのです。
これは自然な老化現象なのでしょうか?それとも「認知症」や「老人性うつ」の前兆なのでしょうか?
1.心理療法としての「回想法」
「老人性うつ」など心理的問題を持つ高齢者に対し、その問題解決を目的としてクリニックやカウンセリングセンターなどで、主に臨床心理士や精神科医、セラピストが行う心理療法に「回想法」があります。
この「回想法」は、アメリカの精神科医ロバート・バトラーによって創始された心理療法です。
主に高齢者を対象として、人生の歴史や思い出を受容的・共感的な態度で聞くことを基本的姿勢とするものです。これは高齢者の満足感や自尊心、自己肯定感を高めるために必要なことです。個人に対して1対1で行う「個人回想法」と、グループで行われる「グループ回想法」があります。
回想法的インタビュアーのことを「レミニシャン」と呼びます。
2.認知症予防や進行抑制策としての「回想法」
回想法は、楽しいおしゃべりを基本としているため、場所や費用を必要としません。公民館や敬老館で楽しまれることが多いです。茨城県取手市回想療法センターでは認知症予防事業として高齢者を対象に「回想法スクール」「脳活教室」を実施しています。東京都葛飾区シニア支援センターでは、回想法教室を開催して認知症予防に努めています。
3.私の「回想法」活用法
今年71歳の私は「レミニシャン」を使って回想法を実施することはありませんが、妻に少年時代の楽しかったことを思い出して話したりして、気分良く過ごす努力をしています。
高齢になると、ふと昔の嫌なことがよみがえって気分が落ち込んだり、失敗したことを思い出して後悔したりすることがあります。「感情の老化」でどうしても抑うつ的傾向に陥りがちですが、「嫌なものは見ない。どうにもならないことは考えない」ようにして、努めて明るい気分になるようにしています。
カーペンターズや小田和正などの好きな音楽をCDやYouTubeで聞いたりするのも、効果があるように感じます。
また、このブログを書いて思い出を振り返ったりすることも、回想法に準じた効果を上げているのではないかと思っています。
「泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生」です。嫌な思い出を引きずったり、後悔ばかりしていると、気分が滅入る悪循環に陥るだけでプラスの効果はありません。
「楽しかったことを思い返すときめき」が、脳への情報の出入りの増加により脳を活性化するそうです。「老いらくの恋」は様々なリスクがありそうですが、かつて夢中になった好きな歌手の音楽を聞いて昔を懐かしむのであれば、安全です。認知症になるのは避けられないかもしれませんが、出来るだけその時期を延ばせるよう予防に努めたいと思います。