「安」という漢字の由来は何か?男性優位を示すとの異説もある!

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安という漢字の成り立ち

「安」という漢字は、「安心」「安全」「安産」「安泰」などおおむね肯定的な良い意味で用いられますが、「安物」「安直」「安易」「安逸」のように否定的な悪い意味でも用いられます。

日常よく使う漢字ですが、この漢字の成り立ちはどのようになっているのでしょうか?

1.「安」という漢字の成り立ち

「安」は「会意文字」(宀+女)です。

「家の屋根・家屋の象形」と「両手をしなやかに重ねひざまずく女性の象形」から、家の中で女性が「やすらぐ」「やすらか」を意味する「安」という漢字が成り立ちました。

「静かである」「穏やかである」という意味です。

2.「安」という漢字の意味の解釈についての異説

上に述べた解釈が一般的ですが、ある学者の説では次のようになります。

古代中国では女性が男性より数段低い地位に置かれていて、男の性的愛玩物に過ぎないと考えられていました。

女性がそんな虐げられた境遇にいたころ、自分の「女」である妻や娘がうっかり一人で外に出ようものなら、たちどころに男の餌食になって、好き放題に弄(もてあそ)ばれてしまう。

それで自分の「女」を絶えず家の中に閉じ込めておき、外出させないようにした。こうしてこそ、男ははじめて心安らかに、すなわち「安」の状態で暮らすことができた。

だから「安」は「宀」と「女」からできている。

この解釈は、タリバンが政権を掌握したアフガニスタンなどに見られる「イスラム法」の女性観とよく似ているように私は感じます。

昔は日本でも遊女や女郎だけでなく、夫やパトロンなどにがんじがらめに束縛され、じっと耐えて暮らし、外出すらほとんど許されない境遇の女性が「籠の鳥」と呼ばれていました。

3.「安」を含む言葉

(1)安危(あんき)

安全と危機のこと。

(2)安逸(あんいつ)

気楽に過ごすこと。何もせずに、ぶらぶらと遊び暮らすこと。また、そのさま。

(3)安居(あんご)

僧侶が夏の一定期間外出せずに、室内にこもって修行すること。

陰暦の四月十六日から七月十五日までの三ヶ月間行われる。夏安居。

(4)安座/安坐(あんざ)

あぐらを組んで座ること。くつろいだ状態で座ること。

4.「安」を含む四字熟語

(1)安穏無事(あんのんぶじ/あんおんぶじ)

問題ごともなく、世の中や暮らしが穏やかで安らかなさま。

(2)安閑恬静(あんかんてんせい)

問題や心配事などがなく、ゆったりとした静かな様子のこと。
「安閑」と「恬静」はどちらも心が落ち着いた静かな様子のこと。

(3)安居危思(あんきょきし)

平和なときにでも、最悪な事態を想定して備えておくことが大切であるという戒めの言葉。
「安居」は平和な生活。「危思」は危険な事態を思い浮かべること。「居安思危(きょあんしき)」とも言います。

「安きに居りて危うきを思う」とも訓読します。

(4)安居楽業(あんきょらくぎょう)

今の地位や立場などに満足して、楽しみながら仕事をすること。
または、よい政治が行われ、人々の生活が安定していること。

「居に安んじ、業を楽しむ」とも、「安居して業を楽しむ」とも読みます。

(5)安車蒲輪(あんしゃほりん)

老人をいたわり、丁重にもてなすこと。
「安車」は老人や妊婦が座れるように仕立てられた小車のこと。
「蒲輪」は蒲の穂で車輪を包み、振動を抑えて乗り心地をよくしたもの。

(6)安常処順(あんじょうしょじゅん)

何の心配事もない、平和で穏やかな生活に満足して暮らすこと。
または、平和な生活に慣れて、何の問題もない環境にあること。

「常に安んじて順に処る」とも読みます。

(7)安如泰山(あんじょたいざん)

物事が安定していて揺るがないこと。「泰山」は中国にある山の名前。
泰山のように安定しているということから。

「安きこと泰山の如し」とも読みます。

(8)安心起行(あんじんきぎょう)

信仰や実践することで得られる心の安らぎのこと。
浄土宗では「南無阿弥陀仏」と誠意を込めて唱えること。

(9)安心決定(あんじんけつじょう)

浄土宗で阿弥陀仏の誓いを信じぬき、少しの疑いももたないこと。または、信念を得て心が決まること。または、将来の見通しが立って、不安が全くないこと。

(10)安心無為(あんじんむい)

信仰することで得た心の安らぎ。

(11)安心立命(あんじんりゅうめい/あんじんりつめい/あんじんりゅうみょう)

どんなに困難な場面に遭遇しても心を安らかな状態に保ち、どんな時にも惑わされずに天命をまっとうすること。
「安心」は仏教の語で、信仰により得ることが出来る心の安らぎの境地。「立命」は儒教の語で、天命をまっとうすること

「立命安心」とも言います。

(12)安宅正路(あんたくせいろ)

仁と義のたとえ。
「安宅」は住み心地の良い家のことで、安らかな身の置き場の意から、仁のたとえ。
「正路」は人の歩むべき正しい道という意から、義のたとえ。

(13)安土重遷(あんどじゅうせん)

生まれ故郷から離れようとしないこと。
「安土」は故郷に満足すること。「重遷」は離れることを恐れるという意味。

「土に安んじて遷を重る」とも読みます。

(14)安分守己(あんぶんしゅき)

身の程をわきまえて、高望みをしないこと。
「安分」は身の程をわきまえること。「守己」は自分の状態を維持すること。

「知足安分(ちそくあんぶん)」とも言います。

(15)一路平安(いちろへいあん)

旅立つ人の道中の安全を祈る言葉。
「一路」は旅の道中のこと。「平安」は無事で穏やかなこと。

(16)宴安酖毒(えんあんちんどく)

遊んで楽しむだけの生活を送ることへの戒め。
「宴安」はひたすら遊んで楽しむこと。「酖毒」は鴆(ちん)という鳥の羽にある猛毒のこと。
ただ遊んで楽しむだけの生活を送ることは酖毒を飲むようなもので、最後には身を滅ぼしてしまうという意味から。「宴安鴆毒」とも書きます。

(17)局促不安(きょくそくふあん)

臆病でちょっとしたことにすぐに怯える様子。または、そわそわしている様子。
「局促」は臆病で落ち着きのない様子。

「局促として安からず」とも読みます。

(18)苟且偸安(こうしょとうあん)

将来のことを考えず、一時の楽に逃げること。
「苟」と「且」はどちらもいい加減に物事を扱うこと。「偸安」は目の前にある楽なことだけを楽しむこと。
「苟偸(こうとう)」とも略します。

(19)高枕安眠(こうちんあんみん)

気がゆるんで、警戒することを忘れること。
「高枕」は枕を高めにして、寝やすくすること。「安眠」は深く眠ること

(20)三界無安(さんがいむあん)

現世で生きることは、苦しいことや悩むことが多く、心が落ち着いて楽になることはないということ。
「三界」は欲界、色界、無色界の三つの世界のことで、現世のことをいう。「無安」は心が安らぐことがないこと。

(21)生知安行(せいちあんこう)

生まれた時から人としての正しい道を知っていて、苦労することなく実際に行うこと。
「安行」は悩むことなく行うこと。
努力することなく人の道を知り、それを行うことが出来るという意味から。
「学知利行」、「困知勉行」とともに、人の道を修養する三つの段階のことをいう。

(22)長安日辺(ちょうあんにっぺん)

非常に遠く離れている場所のこと。または、すぐれた才能と知恵があること。
「長安」は中国の西安市の昔の名前。「日辺」は太陽の辺りという意味から、太陽のこと。
東晋の元帝が太子に長安と太陽はどちらが遠いかと尋ねたという故事から。



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