女子プロゴルフが再び面白い!黄金世代・プラチナ世代(ミレニアム世代)が大活躍

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原 英莉花

<2021/11/28追記>「はざま世代」の稲見萌寧が2020年~2021年賞金女王に輝く

JLPGA ツアー2020-21シーズン最終戦『JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ』(賞金総額1億2000万円、優勝賞金3000万円)大会最終日が11月28日、宮崎県宮崎市・宮崎カントリークラブ(6,543ヤード/パー72)で行われ、首位スタートの25歳の三ヶ島かなが、通算11アンダーでツアー初Vを、公式戦制覇で飾りました。2位は通算7アンダーの小祝さくら。古江彩佳は通算6アンダー、3位に終わりましたが逆転でメルセデス・ランキング1位へ浮上し、初のタイトルを獲得しました。一方、稲見萌寧は通算イーブンパーの9位タイで賞金女王に輝きました。

昨年までは、イ・ボミや申ジエらの韓国勢が毎週のように優勝するので、私は興味がなくなり、テレビのゴルフ中継も見なくなりました。

ところが今年は様子が変わって来ました。日本人の「黄金世代」「プラチナ世代(ミレニアム世代)」と呼ばれる若手女子プロゴルファーがどんどん実力を付けて優勝争いをするようになりました。(一般の世間でも「Z世代」(2000年代生まれ)が注目されていますね。)

象徴的だったのが、東京オリンピックでの稲見萌寧の銀メダル獲得です。

稲見萌寧・東京五輪銀メダル

女子プロゴルフ界では、小祝さくら・渋野日向子・原英莉花・勝みなみ・新垣比菜・淺井咲希・河本結・大里桃子などの「黄金世代(1998年4月2日~1999年4月1日生まれ)」や古江彩佳・澁澤莉絵留・西村優菜・安田祐香・吉田優香利などの「プラチナ世代(ミレニアム世代)(2000年4月2日~2001年4月1日生まれ)」と呼ばれる20代前半の選手が大活躍するようになって来ました。

さらにその下の世代の有望選手は「第三世代」あるいは「新世紀世代」と呼ばれ始めています。

1.日本人の若手女子プロゴルファー躍進の背景

(1)技術力(実力)の向上

高校時代から尾崎将司プロ(世界プロツアー最多の113回優勝)の指導を受けて大活躍している原英莉花がその代表的な例です。

(2)メンタル面の強さ

岡本綾子や宮里藍は例外的ですが、かつての日本の女子プロゴルファーは、外国人選手に比べてメンタル面が弱かったように思います。

ところが、最近の黄金世代・ミレニアム世代の選手は本当にメンタル面が強く、タフになりました。「メンタルトレーニング」の成果かもしれません。

(3)宮里藍に憧れて幼少からゴルフを始めた選手が多い

2.女子プロゴルフ人気の背景

(1)多くの日本人選手の大活躍

日本人選手が優勝争いを繰り広げ、日本人選手が優勝することが多くなったことが一番大きいと思います。

次に、「黄金世代」「プラチナ世代(ミレニアム世代)」と呼ばれる集団が形成され、その中から「スター選手」が生まれつつあることです。

また、かつて女子プロゴルファー自身がプロフィール一覧を見て自虐的に「怪獣図鑑」と呼んだり、「畑の女王」などと揶揄されるような泥臭い選手が多かったですが、今は都会的で可愛い選手が優勝することが多くなったことも大きいと思います。

かつて「グリーンの妖精」と呼ばれた美人プロゴルファーのローラ・ボーがいましたが、日本にも「グリーンの妖精」が続々と誕生する予感があります。

ローラ・ボー

(2)プロアマゴルフでの接待に最適

スポンサー企業にとって、プロアマゴルフでの得意先接待に女子プロゴルファーがソフトな感じで最適なことです。

(3)男子プロゴルフに比べて日数が少なく、賞金総額も少ない

男子の場合は「4日間トーナメント」ですが、女子の場合はメジャーや米ツアーなどを除き、「3日間トーナメント」で賞金総額も少なく、スポンサー企業の負担が少なくて済みます。

3.「黄金世代」の女子プロゴルファー

現在の日本の女子ゴルフ界を牽引する黄金世代

1998年4月2日~1999年4月1日までの、1998年度に生まれた女子プロゴルファーを指してそう呼んでいます。

黄金世代はまだプロになってから2年ほどしか経っていないにも関わらず、国内ツアーでの優勝経験を持つ選手が9人という、まさに名前の通り、光り輝く世代になっていると言えます。

(1)渋野日向子(しぶのひなこ)

渋野日向子

生年月日:1998年11月15日

出身地:岡山県岡山市

優勝回数:7回(日本ツアー6回、米ツアー1回)

彼女は2019年8月4日、「全英女子オープンゴルフ」に優勝し、海外メディアから「スマイリングシンデレラ(スマイルシンデレラ)」というニックネームで呼ばれ、一躍有名になりました。

プレー中フェアウェイでモグモグとお菓子を食べるなど、プレースタイルの常識を覆したことでも大きな話題を呼んだ個性派です。食べていたおやつの名がタラタラしてんじゃねーよでした。

米国ツアーで台頭著しい若手を中心に実践されいているスイングがシャローイング(「シャロー」とは「浅い」という意味)で、ダステン・ジョンソンがその旗手と言える存在です。

シャローイング

『シャローイング』を一言で表現するならば、「ドライバーを打つときのダウンスイングで、クラブヘッドをゆるやかな角度で降ろしながらボールをヒットするスイング」です。

ダウンスイングでクラブを寝かせ、インパクトに向かってヘッドを低い位置から入れると考えればいいでしょう。

『シャローイング』へのスイング改造で米ツアーへ挑むというのが彼女の狙いです。そこで彼女はこのスイング改造に取り組んできましたが、今のところまだ完成していないようです。

今年の成績を見る限り、彼女の米ツアー挑戦はまだ早いのではないかと私は思います。

(2)原英莉花(はらえりか)

原英莉花

生年月日:1999年2月15日

出身地:神奈川県横浜市

優勝回数:4回(日本ツアー4回、米ツアー0回)

彼女の初勝利は2019年のリゾートトラスト レディスです。

2020年はコロナ禍で試合数が激減したにもかかわらず、2勝を挙げ成長著しいことを印象付けました。

2020年10月には、日本女子オープンゴルフで、黄金世代のライバルでもある2位小祝さくらに4打差の圧勝で、国内公式戦初制覇。同年11月には『LPGAツアーチャンピオンシップ』でプラチナ世代の2位古江彩佳に2打差で優勝しました。

ジャンボファミリーの同門で妹弟子にあたる笹生優花選手が、2021年6月6日全米女子オープン優勝を飾りました。

同じゴルフ道場で厳しい練習に明け暮れる妹のような笹生選手のメジャー制覇ですから、原選手にとってもうれしい出来事ではありますが、同時に負けず嫌いで知られる彼女の闘志に火をつけたことも間違いありません。

(3)小祝さくら(こいわいさくら)

小祝さくら

生年月日:1998年4月15日

出身地:北海道北広島市

優勝回数:6回(日本ツアー6回、米ツアー0回)

天然、おっとりで知られる彼女ですが、芯の強さは並ではありません。

ツアーで見せる、迷いのないリズムから放たれるショットは、自信に満ちています。今後ますます強くなりそうです。

彼女の最大の武器は決してぶれない安定感です。

それは、スイング軸からショットのルーティン、ゴルフに対する思いから試合での精神面まで、彼女のすべてにおいて共通しています。

(4)大里桃子(おおさとももこ)

大里桃子

生年月日:1998年8月10日

出身地:熊本県玉名郡南関町

優勝回数:2回(日本ツアー2回、米ツアー0回)

彼女にゴルファーとして鳥肌が立つほどの感動を与え、競技に目覚めさせたのが勝みなみ選手でした。

高校一年生の時、ボランティアに行ったKKT杯バンテリンレディスで、アマチュアの勝みなみが、並み居るプロを破って優勝してしまうのを目の当たりにしたのです。しかも、自分と同じ15歳でした。

その後中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンでローアマを獲得するなど、力をつけて行きました。

しかし、2017年のプロテストでは、合格ラインに1打及ばず落選。それでも、くじけることなく挑戦し続け、12月のファイナルQTで16位に入賞し、翌年の単年度ツアー参加資格を獲得。

2018年には見事3位でプロテストに合格しました。

そしてプロ転向後わずか23日しか経たない3試合目のCAT Ladiesでツアー初優勝しました。

(5)新垣比菜(あらかきひな)

新垣比菜

生年月日:1998年12月20日

出身地:沖縄県具志川市(現:うるま市)

優勝回数:1回(日本ツアー1回、米ツアー0回)

彼女は同じ沖縄出身の宮里藍に憧れ、8歳からゴルフを始めました。

12歳の小学6年生で2011年のプロトーナメントダイキンオーキッドレディスに出場して注目を浴びました。当時としては、金田久美子に次ぐ2番目の年少記録でした。

具志川中学校時代は、沖縄県内のアマチュア大会、ジュニア大会を総なめするほど強さを発揮しています。

興南高等学校進学してからは、2014年のニトリレディス7位タイなど、プロツアーでも上位に名を連ねるようになりました。

高校卒業後の2017年7月末に行われたLPGA最終プロテストで一発合格を果たし、NEC軽井沢72でプロデビューを果たしました。

そして2018年4月グランフィールズカントリークラブで行われた『サイバーエージェントレディス』でプロ初勝利を飾っています。

(6)淺井咲希(あさいさき)

淺井咲希

生年月日:1998年6月13日

出身地:兵庫県尼崎市

優勝回数:1回(日本ツアー1回、米ツアー0回)

彼女はスナッグゴルフをきっかけに6歳でゴルフを始めました。

中学生の時、試合で出会った勝みなみ選手に触発され、プロを目指すようになったのだということです。

名門・滝川第二高でゴルフの腕を磨きましたが、その高校時代にかかったパットイップスは深刻で一時は『ゴルフをやめようと思った』ほど苦しんだそうです。

しかし、2017年にはプロテストで一発合格。プロ入り後は、「クロウグリップ」(*)に変更するなど試行錯誤を繰り返し、2019年CAT Ladiesでツアー初優勝を飾りました

(*)「クロウグリップ」とは、パターのグリップラバーは通常よりも長いタイプを使い、左手はグリップの末端を握るようにします。 左手の上腕(肘から手首まで)にパターを添えるような握り方です。(下の画像)ちなみに、クロウ (Claw) とは 鷹や鷲の鋭く曲がったカギ爪、また、蟹のはさみ などを意味する言葉です。

クロウグリップ

黄金世代9人目の優勝者としてさらなる活躍が期待されます。

(7)河本結(かわもとゆい)

河本結

生年月日:1998年8月29日

出身地:愛媛県松山市

優勝回数:1回(日本ツアー1回、米ツアー0回)

河本選手がプロを目指すきっかけになったのは、9歳の時に観た大王製紙エリエールレディスオープンです。

2007年の地元愛媛県松山市で行われた大会で優勝した上田桃子プロの姿を見て、『自分もこの舞台で活躍したい!』と思ったのだと言う。

(8)畑岡奈紗(はたおかなさ)

畑岡奈沙

生年月日:1999年1月13日

出身地:茨城県笠間市

優勝回数:10回(日本ツアー5回、米ツアー5回)

彼女がゴルフを始めたのは11歳と最近のプロ選手としては少し遅めです。

中嶋常幸主宰のトミーアカデミーに入ってレッスンを受けました。それまでやっていた野球が役立ったこともあり、アッという間に上達する。

高校3年生だった2016年に、史上初となるアマチュアでの日本女子オープン優勝を果たし、トミーアカデミーの名を一躍全国に知らしめました。

同年10月10日にプロ転向を表明。LPGAに『単年登録』の手続きを行い承認され、ツアープロとして優勝した翌日から1年間のツアー出場資格を獲得しました。

17歳271日でのプロ転向は、宮里藍の18歳110日を上回る日本女子ツアー史上最年少でした。

さらに同年、米国女子ツアーのQスクールで14位タイに入り、2017年シーズンの出場権を獲得しました。最も活躍が期待される女子ゴルファへと一気に昇り詰めました。

そして2017年は米国を主戦場に戦いましたが、日本との環境の違いに苦戦し、これと言った結果を残せず、2018年の出場権を獲得には至りませんでした。

一方で、2017年に参戦した国内女子ツアーのミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンに勝利し、翌週に開催された日本女子オープンゴルフ選手権2連覇を達成し、圧倒的な強さを見せつけました。

同年に出場した米国ツアーのQスクールでは見事にトップ通過を果たし、2018年の出場権を獲得。ウォルマートNWアーカンソー選手権で、悲願の米国ツアー初優勝を飾りました。

現在、世界ゴルフランキングでは日本女子のトップです。

ちなみに、名前の奈紗はアメリカ航空宇宙局・NASAに由来し、「前人未到のことをするように」との思いを込めて両親が命名したそうです。

(9)勝みなみ

勝みなみ

生年月日:1998年7月1日

出身地:鹿児島県鹿児島市

優勝回数:6回(日本ツアー6回、米ツアー0回)

黄金世代の幕を切って落としたのが、彼女です。

2014年のKKT杯バンテリンレディスオープンで日本LPGA史上4人目となる、アマチュア優勝を達成しました。

まだ高校一年生になったばかりの15歳293日で、これは今も破られていない日本LPGAツアー史上最年少での快挙でした。

その後不振の時期もありましたが、今年5月に『リゾートトラストレディス』で2019年『中京テレビ・ブリヂストンレディース』以来、2年ぶりのツアー通算5勝目を飾り、10月には日本女子オープンで、悲願の国内メジャー初制覇を成し遂げ、輝きを完全に取り戻しました。

4.「プラチナ世代」(ミレニアム世代)の女子プロゴルファー

プラチナ世代とは、2000年4月2日~2001年4月1日生まれの2000年度に生まれた女子プロゴルファーのことを指します。

(1)古江彩佳(ふるえあやか)

古江彩佳

生年月日:2000年5月27日

出身地:兵庫県神戸市

優勝回数:7回(日本ツアー7回、米ツアー0回)

彼女は2019年の「富士通レディース」では、ツアー史上7人目となるアマチュア優勝を成し遂げ、堂々のプロ転向宣言をしました。

プラチナ世代の顔とも言うべき存在です。

(2)西村優菜(にしむらゆな)

西村優菜

生年月日:2000年8月4日

出身地:大阪府堺市南区

優勝回数:4回(日本ツアー4回、米ツアー0回)

彼女は2018年には2度のローアマを獲得し、プロトーナメントでも大変優秀な成績を収めています

今年3勝するなど、メキメキ実力を上げてきました。

(3)吉田優利(よしだゆうり)

吉田優香利

生年月日:2000年4月17日

出身地:千葉県市川市

優勝回数:2回(日本ツアー2回、米ツアー0回)

彼女は2018年に「日本女子アマ」「日本ジュニア」を制してアマ2冠を達成と、アマチュア時代から輝かしい成績を収めてきました。

昨年の海外メジャー「全米女子オープン」にも予選を経て出場しました。

(4)安田祐香(やすだゆうか)

安田祐香

生年月日:2000年12月24日

出身地:兵庫県神戸市

優勝回数:0回(日本ツアー0回、米ツアー0回)

彼女は2017年の「日本女子アマ」での優勝、2018年のナショナルチームの一員として挑んだ「トヨタジュニアゴルフワールドカップ」で女子団体優勝、個人優勝タイと高校時代から目覚ましい活躍をあげています。

プロのツアーでもローアマに何度も輝き、勝負強さを見せています。

(5)澁澤莉絵留(しぶさわりえる)

澁澤莉絵留

生年月日:2000年12月24日

出身地:群馬県太田市

優勝回数:0回(日本ツアー0回、米ツアー0回)

彼女はなんと2024年から使用される新一万円札の肖像に選ばれた渋沢栄一の子孫なのです。

「日本資本主義の父」と言われた渋沢栄一を先祖に持つ彼女の今後の活躍には目が離せません。

5.稲見萌寧(いなみもね)は黄金世代とプラチナ世代に挟まれた「はざま世代」

稲見萌寧

今年、東京五輪で銀メダルを獲得しただけでなく、国内ツアーでも2020年~2021年9勝で「賞金女王」を2位の古江彩佳と最後まで争う(*)などその実力を見せつけた彼女は、黄金世代とプラチナ世代に挟まれたはざま世代」です。

(*)日本女子プロゴルフの2020年~2021年獲得賞金ランキング(2021/11/27時点)

日本女子プロゴルフ賞金獲得ランキング

生年月日:1999年7月29日

出身地:東京都豊島区

優勝回数:10回(日本ツアー10回、米ツアー0回)

「萌寧」の名前は印象派の巨匠、クロード・モネとは無関係で、母・直子さんが「有名になったときに世界中で覚えやすいように」と響きを考えて名付けたそうです。

憧れのプロは韓国のチョン・インジとキム・ハヌルだそうです。9歳から競技を始め、2度目のプロツアー挑戦となった2015年「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」で10位に入り、ベストアマチュア賞を獲得しました。18年のプロテストを合格ラインギリギリの20位で突破しています。

19年はQTランキング103位のスタートから出場権をつかみ、7月の「センチュリー21レディス」で初優勝しました。同年は賞金ランク13位に食い込み、新人賞を受賞しています。

21年の「中京テレビ・ブリヂストンレディス」2日目にツアー記録となる13バーディを出し、同大会でツアー通算7勝目を挙げました。

21年東京五輪ではリディア・コーとのプレーオフを1ホール目で制し、銀メダルを獲得。同年9月「日本女子プロ選手権大会」でメジャー初優勝し、11月「伊藤園レディス」でツアー通算10勝目をマークしました。

来年も彼女の大活躍を期待したいものです。



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