不自由を楽しむ?バリア・階段、十二進法、8%消費税などには不自由の効用も!

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バリアアリー

江戸時代などは、現代社会に比べて大変不自由な時代だったと思いますが、江戸時代の人々は意外とそのような生活を楽しんでいたようです。これについては前に「江戸時代の庶民は案外幸福だった」という記事で詳しく書きました。

最近は老人に優しいと言われるバリアフリーが定着し、階段や段差を嫌う傾向がありますが、「体を鍛える」「注意力を働かせる」という観点から再考したいと思います。また、十進法と違ってややこしい計算法の十二進法や8%消費税(2019年10月から10%になってしまいましたが)についても「頭の体操」「認知症予防」という観点から考えてみたいと思います。

1.バリアフリーは本当に老人に優しいのか?

最近の新築住宅やリフォームにおいては、高齢化社会を反映して「バリアフリー」を最優先に考えるのが一般的になっています。

「バリアフリー」とは、「障害者や高齢者がより快適に暮らすために、階段ではなくスロープを付けたり、いろいろな所に手すりを付けたり、段差をなくして車椅子でも通りやすくするようなこと」です。つまり、いろいろな障害(バリア)を取り除く(フリー)よう努力するものです。

しかし一方で、「バリアリー」という「バリアリー」と相反する考え方が登場して来ました。「バリアアリー」とは、わざと階段や段差を付けて障害(バリア)を残す(アリー)ことです。

既に障害者であったり車椅子生活の高齢者には当てはまりませんが、これから高齢者になる人や現在高齢者でも車椅子に頼らない生活をしている「アクティブシニア」については、日常生活においても「バリア」を残しておく方が、足腰を鍛えることになったり、注意力を働かせる訓練にもなるのです。そして、災害が発生した場合の避難の際にも、「バリア」への対応力が身に付いているので、様々な自然の「バリア」から自分の身を守るのに役立つというわけです。

「老人を甘やかしてはいけない。甘やかすことは実は老人のためにならない。」という話をきいたことがありますが、このことを言っているのだと思います。

若い人でも「階段よりエスカレーター」を使用する人が多い(駅の狭い昇降口などではエスカレーターしかない所もありますが)と思いますが、足腰を鍛える意味では、階段を利用する習慣を付けた方が長い目で見て絶対に良いと私は思います。

なお、「バリアアリー」の高齢者施設の中には、物理的なバリアアリーで体を使うだけでなく、「一日のスケジュールを自分で決める」「食事はバイキング形式で、自分で好きな物を取りに行く」ようにして、頭も使えるように工夫しているところもあるそうです。

また、あるデイサービス施設では、階段に手すりの代わりに不安定なロープを張っています。作業療法士でもある施設の代表者の話では、「手すりに依存し過ぎると、手すりがないと行動できなくなる。ロープだけで歩けるようになったら、どこでもちょっと何かに触れたら移動できるようになる」「必要なところには必要な手を出す。そうでないところは自分でやってもらう。人間は基本的に自分で自立する、自分でできることが幸せ」とのことです。

「できることは自分でやる」というのがこのデイサービス施設の方針で、入居者は「ここでは自分でやらないと誰も助けてはくれないが、自分でやろうという気が起こる」と話しています。

2.十二進法という計算法はややこしいだけなのか?

「十二進法」と言えば、鉛筆などの「1ダース(12本)」でおなじみですが、それ以外ではあまり使いません。

現在「EU離脱問題」で揉めているイギリスの現在の通貨は「ポンドとペンス」です。ペンスはペニーの複数形で1ポンド=10ペンスです。

しかし、1971年以前は「シリング」という単位がありました。当時は1ポンド=20シリング、1シリング=12ペンスで、1ポンド=240ペンスという「十二進法」でした。

当時のイギリス人や、イギリスとの貿易のに携わっていた日本の商社の人々は、便利な電卓もなく大変苦労したのではないかと想像しますが、その分「計算能力」はずいぶん高くなったのではないでしょうか?

また2019年10月からは日本の消費税率が、8%から10%に引き上げられましたが、一部品目で「軽減税率」の8%が残ることになりました。この8%の消費税込みの価格を暗算で計算できる人は少なかったと思いますが、大半が10%の消費税率となった現在は、計算しやすくなりました。

しかし、イギリスの通貨のポンドの例と同様に、消費税率が10%になったことで「暗算能力」が落ちるのではないでしょうか?ただ、現実には8%の時代から暗算で計算している人はほとんどいなかったので、大勢に影響はないかもしれませんね。

最近は「脳の活性化」ということが盛んに言われて、「脳トレ」「ナンプレ」などの本がたくさん出版されていますが、日常生活で十二進法を使っていたかつてのイギリスでは、自然と「脳トレ」「ナンプレ」ができていたと言えるでしょう。

いずれにしても、ややこしいことや面倒なことを避けてばかりいないで頭を使うことは、「不自由の効用」とも言うべきもので「認知症予防」にもなり、「心身の健康寿命」を伸ばす上で重要なことだと思います。

前に「自動化と人間の退化」という記事も書いています。興味をお持ちの方はぜひご一読下さい。

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