「ファン」や「追っかけ」の心理とは?

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ファン心理

私が子供の頃昭和30年代はまだ映画の全盛期で、「映画スター」がもてはやされていました。ファンからのプレゼントやファンレターが毎日山のように届けられるという話を聞いたことがあります。また、映画のロケ地や空港にも大勢の人が詰めかけたようです。

また、歌謡曲やロカビリーの流行歌手も似たようなもので、ロカビリー歌手が握手攻めにあって公演中の舞台から落ちそうになったり、女性ファンが失神するなどの騒ぎもありました。

宝塚歌劇のファン(いわゆる「ヅカファン」)もこれと同じかそれ以上のものがあるようです。

ちょっとニュアンスが違いますが、最近は「〇〇推し」という言葉もよく聞きます。

この「推し」とは、「一推しのメンバー」の略語「推しメン」をさらに短縮させた言葉です。

以前から使われていましたが、AKB48が一世を風靡した際に、一般にも広く知られるようになりました。最近ではアイドルだけではなく、アニメキャラクターやゲームのキャラクター、球団などのチーム、そして食べ物に対しても使われるようになりました。現在では、そのジャンルの中で「特に好きな」ものを指す言葉として使われています。

私は個人的には「醒めたタイプ」なので、なかなか理解しにくいのですが、今回は「ファン」や熱狂的なファンが高じた「追っかけ」の心理について考えてみたいと思います。

1.「ファン」「追っかけ」とは

(1)ファンや追っかけの心理

私は、スポーツ選手で言えばイチローや大谷翔平、錦織圭などが好きで、歌手では美空ひばりや谷村新司、小田和正などが好きですが、「ファン」というほどではありません。

ところが、その人に対する「憧れ」や「共感」がもっと強くなると「ファン」になり、さらに高じると「追っかけ」になるのでしょう。

このファンや追っかけの心理は、「流行を追う心理」とよく似ています。

①承認欲求

これは「他者からの承認を求める欲求」で、「相手に認められたい」「相手から声をかけられたい」「相手に喜んでもらいたい」というものです。

②自己満足

その一方で、「相手を喜ばせることができる自分の存在がある」「相手に声をかけられたり、振り向かれるのは自分に魅力があるからだと思う」「相手が有名になったのは、自分に先見の明があったから」「相手を育てたのは自分だという優越感に浸りたい」という感情があります。

つまり、「相手に奉仕している」「相手に自分の人生を捧げている」ように見えて、実は「自尊心を満足させたい」「自分自身の存在理由・存在価値を確認したい」という自分自身の欲求を満足させようとしているのです。

③不安心理・集団心理

ワールドカップラグビーでの「にわかラグビーファン」がその典型です。もともとラグビーに関心がなく、知識もないけれども、多くの人が熱くなっている「ラグビー」に無関心でいると「取り残されるのではないか?」という不安心理から「にわかファン」になるものです。

私が子供の頃、プロ野球は水原監督率いるセリーグの王者・巨人と三原監督率いるパリーグの王者・西鉄の全盛期で、小学生の男子の大半は「巨人ファン」か「西鉄ファン」でした。もちろん大阪には熱狂的な「阪神ファン」もいましたが・・・

私は、稲尾和久投手や強打者の中西太選手や豊田泰光選手のいる西鉄のファン(一応)でした。どちらかのファンでないと「肩身が狭い」ような感じでした。

④疑似恋愛の対象とする心理

異性の映画スターやタレント、アイドル歌手の場合は、このケースも多いのではないかと思います。

(2)「王様思考」と「乞食思考」

別の観点ですが、ファンについて、「王様思考」と「乞食思考」という二つのタイプがあるという考え方もあります。

前者は、施しが快楽のタイプで、後者は、所有欲に満ちたタイプです。

相撲のタニマチや、完全に赤字の芸能を協賛するのは前者で、逆に最後は見返りを求めてしまうのは後者です。後者はストーカーなどの事件を起こしたりする「破滅型」に陥る危険がありますが、前者も度を越すと自分は粗末な暮らしをしてスターには高価な贈り物を贈り続けるような「破滅型」になるリスクをはらんでいます。

(3)宝塚ファン(ヅカファン)の心

映画スターや流行歌手とは少し異質なのが、宝塚歌劇ファン(ヅカファン)ではないかと思います。

「男役」のトップスター(女性)に女性が憧れるというパターンが多いようです。「スタイルがよく八頭身」「ロマンチックでたくましくかっこいい」「品があり紳士的」という「男役」に、「白馬に乗った王子様」「理想の男性」を見るような「夢見る乙女」なのでしょうか?かなり年配のファンもおられますが、心だけは「清く正しく美しい乙女」ということでしょうか?「夢の世界に遊ぶ楽しみ」というのでしょうか?

私には、正直よくわかりません。

5.映画スターが「ファン」を窘(たしな)めた話

大川橋蔵だったか、それとも別の人だったか忘れましたが、少年雑誌に「ファンからのプレゼント攻勢」について苦言というか説諭する話を載せていたことがあります。

「小学生がわずかなお小遣いを使ってプレゼントを贈ることはもうやめてほしい。お小遣いは自分のために、おもちゃを買ったりお菓子を買ったりするのに使ってほしい」

6.「追っかけ」が自ら悟った話

新聞の投書欄だったか、あるいは雑誌の読者欄だったかどこで読んだのか忘れましたが、もう一つ、印象に残っている話があります。

その「追っかけ」の人は、ある流行歌手の熱狂的なファンで、公演のある全国各地を追っかけて回っていました。しかしある時、「いったい自分は何のためにお金や労力を費やして、こんなことをしているんだろう?」とふと思ったそうです。そして、たった一度の自分のためにある人生を「追っかけ」に費やしていることの愚かさに気づいたそうです。その時は「憑(つ)き物が落ちた」ような感覚だったそうです。

「追っかけ」に夢中になっている時は、他人がいくら説教してもかえって頑なになるばかりで、自ら気付くしか解決方法はなさそうです。「追っかけも、その人が楽しければ、それが生きがいになっているのであればそれでよいではないか?」というのも一つの考え方ではありますが・・・



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