「儲」という漢字にまつわる面白い話。人の話を信じる者は儲かるのか?

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儲という漢字の成り立ち

躾(しつけ)は「身を美しくするから『しつけ』だ」という解釈を聞いたことがあります。

この「躾」という漢字は、「礼儀作法を身に付けさせること」を意味し、また、「それによって身に付いた礼儀作法」という意味でも用いられる「国字」です。また、「だしなみをしくする」という意味もあります。「しさをに付ける」とは、よく考えて作った漢字ですね。

ところで、かつて「ペーパー商法」(現物まがい取引。金(きん)などの現物を売るとして代金を受け取り、現物の裏付けのない預かり証を渡す詐欺商法)と呼ばれる詐欺商法で、孤独な老人に近づいたセールスマンがあくどい契約を取り付けようとして、なかなか首を縦に振らない老人に「私の話を信用し、言う通りにすればきっと儲かりますよ。ほら儲かるという字は『人』の『言』うことを『信』じる『者』と書くじゃないですか・・・」と言葉巧みに騙したという事件がありました。

これは最初にご紹介した「躾」という漢字の解釈と同様に、一応もっともらしく聞こえますが、正しい解釈なのでしょうか?

1.「儲」という漢字の成り立ち

「儲」は「形声文字」(人+諸)です。「信」+「者」という組み合わせではないのです。

「横から見た人」の象形と「取っ手のある刃物の象形と「口」の象形(「謹んで言う」の意味)と「台上に柴を集め火をたく」象形(「集まって多い」の意味)で、「儲」という漢字が成り立ちました。

「諸々の(多くの)」の意味から「貯」に通じ、「蓄えておく」の意味になります。ここから、「跡継ぎとして備えておく人」「皇太子」を意味するようになりました。

以上の説明でおわかりのように、最初にご紹介した悪徳セールスマンの「儲」という漢字の解釈は全くのデタラメです。

2.「儲」を含む言葉

(1)皇儲(こうちょ)

天皇の世継ぎ(よつぎ)。「皇嗣(こうし)」「皇継(こうけい)」とも言います。

3.「儲」を含む四字熟語

(1)九年之儲(くねんのたくわえ/きゅうねんのたくわえ)

国が豊かなこと。「儲」は食料の貯蓄のこと。国民の一人一人に、九年分の食料の貯蓄があるという意味から。
「九年之蓄」とも書きます。

4.信じる者は救われる?

聖書に「信じる者は救われる」という言葉の語源になったと思われる個所があります。

なぜなら、もしあなたの口でイエスを主と告白し、あなたの心で神はイエスを死者の中からよみがえらせたと信じるなら、あなたは救われるからです。【ローマ人への手紙10章9節】

主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます。【使徒の働き16章30節】

神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。神が御子を世に遣わされたのは、世をさばくためではなく、御子によって世が救われるためである。【ヨハネの福音書3章16-17節】

出典:新日本聖書刊行会『聖書 新改訳2017』(いのちのことば社、2017年)

私のような宗教を全く信じない人間から見ると、これは詐欺商法である「ペーパー商法」の悪徳セールスマンの言葉と同様、「洗脳」以外の何物でもないと思います。

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