オランダ語由来の「外来語」(その2:カ行)カバン・ガラス・カン・クッキー・コック・ゴム・コルク・コンパス他

フォローする



カバン

古来日本人は、中国から「漢語」を輸入して日本語化したのをはじめ、室町時代から江戸時代にかけてはポルトガル語やオランダ語由来の「外来語」がたくさん出来ました。

幕末から明治維新にかけては、鉄道用語はイギリス英語、医学用語はドイツ語、芸術・料理・服飾用語はフランス語由来の「外来語」がたくさん使われるようになりました。

日本語に翻訳した「和製漢語」も多く作られましたが、そのまま日本語として定着した言葉もあります。たとえば「科学」「郵便」「自由」「観念」「福祉」「革命」「意識」「右翼」「運動」「階級」「共産主義」「共和」「左翼」「失恋」「進化」「接吻」「唯物論」「人民」などです。

江戸時代の日本はヨーロッパで唯一オランダとは交易を持っていたため、オランダ語経由で様々な西洋の学問や知識を取り入れて来ました。現在では、オランダ語由来の言葉だとは分からないほど日本語として定着しています。

そこで今回は、日本語として定着した(日本語になった)オランダ語由来の「外来語」(その2:カ行)をご紹介します。

1.カバン(Kabas)

「カバン」の語源は諸説あり、オランダ語で「バッグ」を意味するkabas(カバス)や、中国で「文挟み」を意味する夾板(キャバン)に由来する説があります。

2.ガス(Gas)

「ガス」は、オランダ語のgasに由来します。

17世紀頃にフランドルの化学者ヘルモント(Jan Baptista van Helmont)によって初めて使われました。ガスの発音は、古代ギリシャ語で「混沌、形が決まっていないもの」を意味するchaos(カオス)のフランドル風の発音と言われています。フランドルはオランダ・ベルギー・フランスにかけての地域です。

3.ガラス(Glas)

「ガラス」は、オランダ語のglas(フラス)に由来します。

英語ではガラスもグラスもglassと表記しますが、本来は同じ言葉だったからです。ガラスはオランダ語経由、グラスは英語経由で日本に伝わったため、日本語では違う発音・スペルになりました。

言語学では、このような意味やスペルが違うのに同じ語源を持つ単語を二重語と呼んでいます。

4.カン(Kan)

「カン」は、オランダ語で「水差し、壺」を意味するkanや英語のcanに由来します。

幕末にブリキの缶詰が西洋から日本に伝わった際に、カン(kan, can)という音から「釜」を意味する罐(カン)という漢字が使われるようになりました。その後、簡略化された缶が定着し、戦後の国語改革によって常用漢字として採用されました。

5.クッキー(Koekje)

「クッキー」は、オランダ語で「小さなケーキ」を意味するkoekjeに由来します。似ている言葉にビスケット(biscuit)がありますが、日本では脂肪分が多いものをクッキー、少ないものをビスケットと呼ぶそうです。

アメリカではこのようなお菓子全般をクッキー(cookie)、イギリスでは逆にビスケットと呼ぶそうです。

6.コック(Kok)

「コック」は、オランダ語で「料理人」を意味するkokに由来します。類似語にフランス語由来のシェフ(chef)がありますが、シェフは料理長、コックは料理する人全般を指します。

7.ゴム(Gom)

「ゴム」は、オランダ語で「ガム」を意味するgomに由来します。

ゴムはゴムノキの樹液(ラテックス)から作られる天然ゴムと、人工的に作られる合成ゴムに大別されています。

天然ゴムはメソアメリカの先住民によって使用されていたのが最初と言われ、15世紀にクリストファー・コロンブスによって初めてヨーロッパへ伝わりました。合成ゴムは1914年頃に生産量に限度がある天然ゴムの代用品としてドイツで初めて生産されました。

英語はrubberで、「こするもの」という意味があります。

8.コルク(Kurk)

「コルク」は、オランダ語のkurk、更にはラテン語の「樹皮、皮質(córtex)」という言葉に由来します。弾力性・防湿性・不浸透性が高いため、断熱材や防音材にも用いられています。

9.コンパス(Kompas)

「コンパス」は、オランダ語で「方位磁針」を意味するkompasに由来します。

円を描く道具のコンパスと羅針盤のコンパスは同じ語源です。語源をさかのぼると、ラテン語の「円、回路(compassus)」という言葉に由来します。

英語はどちらもcompassですが、円を描く方のコンパスは、近代オランダ語ではpasserと言うそうです。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村