日本語の面白い語源・由来(う-⑫)占い・うつらうつら・転寝・馬の骨・有頂天

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占い師

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.占い(うらない)

占い

占い」とは、将来の運命や物事吉凶などを判断・予言すること、またそれを職業とする人のことです。

おみくじ」も占いの一種ですが、「血液型占い」や「星座占い」など日本人は今でも占い好きな人が多いようですね。有名な占い師と言えば、細木数子さん宜保愛子さんがいますね。私は個人的には占いを全く信用していませんが・・・。

昔は、単に「占(うら)」と呼ばれていました。
その「占」に、接尾語の「なう」が付いて動詞「占う」となり、その名詞形で「占い」となりました。

占いの「占(うら)「心(うら)」です。「心(うら)」は「表に出さない裏の心」「外面に現れない内心」の意味で、「うらさびし」といった言葉も、占いと同様に「心(うら)」に由来する言葉です。

2.うつらうつら

うつらうつら

うつらうつら」とは、ぼんやりしているさま、うとうとしているさまのことです。

うつらうつらは、近世から使われている言葉で、「うつ」に状態を表す接尾語「ら」がついた「うつら」を重ねたものです。
「うつら」の元となる「うつ」の語源には、二通りの説があります。

ひとつは、「うつろな目」など「空虚」を意味する「うつ」です。

もうひとつが、「夢うつつ」や「うつつを抜かす」など「現実」の意味の「うつつ」です。

一般的には前者の説が有力とされていますが、後者の「うつつ」は中世から近世にかけて「夢見ごこち」の意味を持つようになったため、後者のほうが有力との見方もあります。

3.転寝/うたた寝(うたたね)

うたた寝

うたた寝」とは、寝るつもりはなく、ついうとうとと眠ること、浅く眠ることです。

小野小町の歌に「うたた寝に 恋しき人を 見てしより 夢てふものは 頼みそめてき」(*)とあるように、うたた寝は古くから使われている言葉です。

(*)「うたた寝の夢で、恋しいあの人を見てからといものは、はかない夢というものでさえ    頼りに思い始めるようになってしまいました」という意味です。

漢字で「転寝」と書きますが、「転(うたた)」という副詞は「どんどん進行して甚だしくなるさま」を意味し、「うたた寝」の「うたた」とは意味が掛け離れているため、語源であるとは考えられません。

また、「夢うつつ」や「うつつを抜かす」などと使われる「現(うつつ)」が語源で、「現寝(うつつね)」が変化したとも考えられますが、「うつつ」が「夢心地」の意味を持つのは後世のことであるため、「うたた寝」が使われ始めた時代を考えると不自然な説です。

4.馬の骨(うまのほね)

馬の骨

馬の骨」とは、素性のわからない者をあざけっていう言葉です。「どこの馬の骨かわからない」などと使います。

私は高校生の時、歴史の教師から、「今の天皇は、どこの馬の骨かわからない」という話を聞いて衝撃を受けた記憶があります。明治天皇は即位直後に暗殺されて、長州出身の大室寅之祐にすり替わったという話です。

これについては、「大室寅之祐は本当に南朝の末裔だったのか?嘘だとすれば今の天皇家の祖先は?」「「明治天皇すり替え」を告白した田中光顕とはどんな人物だったのか?」「岩倉具視は賭博開帳のほか、孝明天皇暗殺や明治天皇すり替えにも関与した!?」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

馬の骨の語源は、中国で役に立たないものの代表として言われていた言葉「一に鶏肋(けいろく)、二に馬骨」です。

「鶏肋」とは、ニワトリの肋骨のことで、小さ過ぎて役に立ちません。「馬骨」とは、馬の骨のことで、役に立たないうえ、大き過ぎ処分にも困ります。

ここから、誰にも必要とされず役に立たない者の意味で、「馬の骨」と言うようになりました。

さらに、馬の骨は「大人であるが成長過程や職業がわからない」といった意味も持つようになり、現代では主にこの意味で使われます。

この意味の変化は、「人品骨柄(じんぴんこつがら)」という言葉もあるように、漢字の「骨」に「人柄(ひとがら)」の意味もあるためと思われます。
身近にいた動物として、他に牛もいたため、古くは「牛の骨」という言葉もありました。

5.有頂天(うちょうてん)

有頂天

有頂天」とは、喜びで舞い上がること、ひとつのことに夢中になり上の空になることです。

有頂天の語源は、仏教語で「天の中の最上にある天」を意味するサンスクリット語「bhavāgra」の漢訳「有頂天」です。

この意味が「天の最上にある天に登りつめる」「絶頂を極める」の意味に転じ、近世以降、喜びで舞い上がることや、夢中になって我を忘れる意味で「有頂天」は使われるようになりましたた。

ちなみに、仏教語最上の「有頂天」に対して、最下位は「阿鼻叫喚」の四字熟語で用いられる「阿鼻地獄」です。

なお仏教語に関しては、「五蘊・三科・三界とは何か?わかりやすくご紹介します。」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。