日本語の面白い語源・由来(か-26)川獺・神・カラオケ・頑張る・河童の屁・顔役・嵩にかかる

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カワウソ

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.川獺/獺/カワウソ(かわうそ)

カワウソ

カワウソ」とは、イタチ科の哺乳類で、川や湖などの水辺に棲みます。イタチに似ていますが指の間に水掻きがあり、主に水中で活動します。

カワウソの歴史的仮名遣いは「カワヲソ」です。
「カワ」はそのまま「川」のことですが、「ヲソ」の語源には「恐ろしい」の意味人を襲うことから「襲う」の意味人を騙すところから「嘘」や「嘯く」に由来するなど、諸説ありますが未詳です。

カワウソには、キツネやタヌキのように人を化かす、河童の原型や川天狗の正体といった言い伝えがあり、昔から、得体の知れない恐ろしい生き物と考えられていました。

そのため、「恐ろしい」の説が有力といわれることもありますが、これらの伝承は「襲う」「嘘」「嘯く」の意味にも通じるため、語源を特定できるものではありません。

「獺魚を祭る(かわうそうおをまつる)」は、春の季語で、次のような俳句があります。

・獺の 祭見て来よ 瀬田の奥(松尾芭蕉

余談ですが、「獺祭(だっさい)」とは、次のような意味があります。

①《「礼記」月令から》カワウソが自分のとった魚を並べること。人が物を供えて先祖を祭るのに似ているところから。獺祭魚。おそまつり。うそまつり。

② 《晩唐の詩人李商隠が、文章を作るのに多数の書物を座の周囲に置いて参照し、自ら「獺祭魚」と号したことから》詩文を作るとき、多くの参考書を周囲に広げておくこと。

なお、「獺祭忌(だっさいき)」とは、《子規が「獺祭書屋 (だっさいしょおく) 主人」と号したことや、子規初の単行本「獺祭書屋俳話」から》正岡子規の忌日(9月19日)のことで、秋の季語になっています。

・うち晴れし 淋しさみずや 獺祭忌(久保田万太郎)

2.神(かみ)

神

」とは、人間を超えた存在で、信仰・崇拝の対象となるもののことです。

神は上の方にいる尊ぶべき存在であるため、「上(かみ)」を語源とする説が多いですが、奈良時代には、「神(かみ)」の「み」の発音と、「上(かみ)」の「み」の発音は違っていました。
古い文献の中には、神を「虎」や「蛇」と称しているものもあり、上の方にいる存在とは限りませんでした。そのことから、「上(かみ)」の説は間違いと考えられ、語源は未詳です。

余談ですが、私は個人的には神や仏を全く信じておらず、宗教も信じません。前に「キリスト教の歴史は横暴の歴史?中世は宗教裁判(異端審問・魔女裁判)の暗黒時代!」「仏教伝来以降の僧侶の歴史は横暴の歴史?白河法皇や織田信長も大変手を焼いた!」「京都の花街は僧侶で持っているというのは本当か?」「お金を欲しがる神や仏のいる宗教団体は詐欺集団。非課税措置は即刻廃止すべき!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

3.カラオケ/KARAOKE(からおけ)

カラオケ

カラオケ」とは、歌唱またはメロディパート(主旋律)を担う楽器を演奏する際に、事前に制作された伴奏を再生して歌唱・演奏する行為を言います。対語として生演奏を「生オケ(なまおけ)」と言います。また、事前に制作された伴奏の録音も「カラオケ」と呼びます。

カラオケの語源は、「空(から)」と「オーケストラ」を組みわわせた「空オーケストラ」の略です。

元々はバンドマンの俗語で、「空オケで練習しよう」などと「歌手抜き」の意味で使われていました。

この「空オケ」が、一般にも「カラオケ」として広まりました。

カラオケは、1970年、素人が歌いやすいようにアレンジした「8トラックカラオケテープ(通称8トラ)」を太洋レコードが発売したことに始まります。

翌71年、クレセント創業者の井上大佑が、スプリングエコー、コインタイマー内蔵のマイク端子付き8トラックプレーヤーを手作りで製作し、弾き語りの伴奏テープ10巻をセットにして、スナックなどにレンタルしたのが、現在のカラオケの原型になったとされます。

海外でもKARAOKEとして通用する言葉です。

現在のカラオケ形態の出現以前の1950年代から1960年代には、一部の喫茶店において、店主や専属の生バンドが楽器を演奏して客がロシア民謡・唱歌・童謡・労働歌などを歌う「歌声喫茶」(下の写真)という業態がありました。

歌声喫茶

ただ、当時の社会運動や左翼運動(特に日本共産党が中心となって主導したうたごえ運動)との連動が強く、現在のカラオケのように時節の流行歌を歌うものではありませんでした。

飲食店などにカラオケ装置が設置され始め、社会運動などが退潮した1970年代には、ほとんどの「歌声喫茶」が姿を消しました。

4.頑張る(がんばる)

頑張る

国際スポーツ大会で中国の応援団が「加油」(頑張れ)と書いた幕を掲げているのを見かけたことがあります。

加油

頑張る」とは、困難に耐え、努力してやり通すこと、自分の意志や考えを通そうとすることです。

江戸時代から見られる語で、漢字の「頑張る」は当て字です。

がんばるの語源には、二通りの説があります。

一つは「眼張る(がんはる)」が転じて「がんばる」になったとする説
これは、「目をつける」や「見張る」の意味から、「一定の場所から動かない」という意味に転じ、さらに転じて、努力してやり通す意味になったというものです。

もう一つは、自分の考えを押し通す意味の「我を張る(がをはる)」が転じ、「がんばる」になったとする説です。

上記のうち「眼張る」の説が有力とされますが、東北地方の方言「けっぱる」は「気張る」に由来し、「じょっぱり」は「情張り」に由来するため、「我を張る」の説が間違いとは断定できません。

5.河童の屁(かっぱのへ)

河童の屁

河童の屁」とは、取るに足りないこと、簡単にやってのけることです。「屁の河童(へのかっぱ)」とも言います。

河童の屁の語源には、「木っ端の火(こっぱのひ)」が転訛したとする説と、河童が水中で屁をしても勢いがないことから、取るに足りないことの意味になったとする説があります。

木っ端の火は、取るに足らないことや、たわいもないことなど、河童の屁と同様の意味で使われており、その語源も定まっているため、「木っ端の火」の転化説が妥当です。

後者の説は、河童が水中で屁をしたことを想定し、その勢いがないことまで考え、取るに足りないことの意味に繋げている点で無理があります。また、簡単にやってのけるという意味には繋がりません。

河童の屁を「屁の河童」と反転させる言い方は、江戸時代後期頃、言葉を反転させるのが流行したことによります。

6.顔役(かおやく)

顔役

顔役」とは、その地域や仲間の間で勢力があったり、よく知られている人のことです。博徒の親分や幹部などにも言います。

顔役は、顔を利かせる役の人の意味です。

元は、歌舞伎役者の間で、頭として統率する人をいったものが、一般に広まったと言われます。

7.嵩にかかる/嵩に懸かる(かさにかかる)

嵩に懸かる

嵩にかかる」とは、優勢に乗じて攻める、威圧的な態度に出ることです。「笠に着る」と混同し、「笠にかかる」と書くのは間違いです。

嵩にかかるの「嵩(かさ)」は、物の分量や大きさを表す語で、「かさばる」の「かさ」などと同じです。

かかる」は、「もたれかかる」や「よりかかる」の意味から、ここでは「すがる」「頼りにする」を表します

鎌倉時代、多さや大きさに頼る意味から、勢力の大きさに頼って敵を攻める意味で用いられるようになりました。

嵩にかかるが、威圧的・高圧的な態度に出ることを表すようになったのは江戸時代からで、優勢な立場であることから派生した用法です。