「杮落とし(こけらおとし)」の「杮」と「柿の木(かきのき)」の「柿」の違いとは?

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こけらとかきの違い

1.「杮落とし(こけらおとし)」の「杮」と「柿の木(かきのき)」の「柿」の違い

新しい劇場ができると、「杮落とし公演」が行われますが、この「杮(こけら)」と「柿の木」の「柿(かき)」の漢字は非常に似ているため、同じ漢字だと思っている方や「かきおとしこうえん」と誤読する人もおられます。

しかし、上の画像の字を見ていただければ違いがわかります。「柿(かき)」は、右側の旁(つくり)の部分は「市」で、上部は「鍋蓋(なべぶた)」(横棒の上に点が乗っている)で下部は「巾」です。

一方「杮(こけら)」は1本の縦棒が横棒を突き抜ける形で、上から下までつながっているのです。

2.「杮(こけら)」の意味

ちなみに「杮(こけら)」の意味ですが、『新明解国語辞典』(三省堂)によると

「材木を削った木片。けずりくず。[狭義では、屋根をふくのに使う薄い板を指す。]」とあります。

そして「こけらおとし」の項目には「[建築工事が終わって足場などの杮(こけら)を払い落とすことから]新築の劇場や映画館で行われる最初の興行」と記されています。

また、『日本語源大辞典』(小学館)には、参考項目の2番目に「木片を意味する語は、次第に『こっぱ(木っ端)』に代わられ、『こけら』は屋根の葺板をさすことが多くなっていった。劇場の新築落成を祝う初興行の『こけら落とし』もこの語に由来する」と記されています。

「柿(かき)」と「杮(こけら)」。一見すると同じ字に見えますが、意味はまったく違います。パソコンやスマートフォンなどで打ち込む際には、字体(フォント)によってはまったく同じ字と勘違いしてしまいますので、字体による見え方にも注意してください。

2.「柿の木(かきのき)」の「柿」の漢字の由来

もともと「柿の木(かきのき)」の「柿」という字は「柹」というふうに書き、旁(つくり)の部分は「シ」という音読みで、「一番上」という意味を持っている字です。

「かき」は、皮を水につけて、その上澄みから渋(しぶ)をとっていたためこの字になりました。その後、形が変化して「柿」という字になったのです。

これと似たようなものに「姉」があります。これも「あね」が一番上のため「姊」という字になり、「姉」に変化したのです。

3.「杮落とし(こけらおとし)」の「杮」の漢字の由来

「こけら」という言葉自体なじみのないものですが、こけらというのは木の切りくずのことです。

旁(つくり)の部分は双葉が左右に開くことを意味しており、「ハイ」という音を持ちます。(市場の市と似ていますが別物です)

それに木偏がつき、左と右とに削り取った木の皮という意味になり、木の切りくずの意味になりました。

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