日本語の面白い語源・由来(み-④)水入らず・巳・乱れる・ミノ・三つ葉・蓑・嬰児

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水入らず

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.水入らず(みずいらず)

水入らず

水入らず」とは、「内輪の者だけで集まり、他人をまじえないこと」です。「夫婦水入らず」「親子水入らず」と用います。

水入らずは、質が違っていてしっくり解け合わないさまを「油に水」というのに対し、親しい者だけが集まった状態を、油に水が入っていないとたとえた言葉です。

つまり、「水入らず」で水が混じっていないといっているものは油で、油が「内輪の者」「親しい者」、水が「他人」を表しています。

水入らずの語源には、酒の飲み方に由来する説もあります。
この説は、日本では、他人が口をつけた盃で酒を飲む、「献杯」「返杯」「お流れ頂戴」といった習慣があり、相手に盃を渡す際に礼儀として水で洗いますが、受け取る側が「洗わなくていい」とそのまま盃に口を付けることで親愛の情を示したところから、親しい関係を「水入らず」と言うようになったというものです。

しかし、水入らずは「親しい間柄」ではなく「他人を交えないこと」が主たる意味です。
対象となる間柄も夫婦や親子であり、上下関係には使わない言葉です。

おそらく、同じ盃で酒を飲むこと自体が「親愛の証」であることから、雑学の世界で作られた説でしょう。

2.巳(み)・巳年(みどし)

巳

」とは、「干支(十二支)の6番目。年・日・時刻などにあてる。方角の名で南南東(南から東へ30度の方角)。旧暦4月の異称」です。前は辰、次は午。

巳年」とは、「西暦年を12で割った際、余りが9となる年。へび年」です。

漢字の「巳」の原字は、頭と体ができかけた胎児を描いたもので、子宮が胎児をつつむさまを表す「包」の中と同じです。

そのため、十二支の「巳」は、植物に種子ができはじめる時期と考えられます。
『漢書 律暦志』では、「止む」の意味の「已」とし、草木の生長が極限に達して次の生命が作られはじめる時期と解釈しています。

この「巳」を「ヘビ」としたのは、無学の庶民に十二支を浸透させるため、動物の名前を当てたものですが、順番や選ばれた理由は定かではありません。

3.乱れる(みだれる)

乱れる

乱れる」とは、「整っていたものがばらばらになる。秩序や規律が崩れる。平和でなくなる。心が平静でなくなる。入り混じる。紊れる」ことです。

乱れるは、動詞「みだる(乱る)」の下二段活用です。
乱れる(みだる)の語源は未詳ですが、「みだる」の「み」は「水」のことで、「だる」は動詞を作る接尾語とする説があります。
「ゆだる(ゆでる)」は「湯」を活用した言葉であることや、水は固体のように形が一定でないことから、「水のようになる」の意味とすれば考えられます。

漢字の「乱」の旧字「亂」は、左の部分が糸を上下から手で引っ張るさまを表し、右の部分は乙印で押さえる・あしらうといった意味を表しています。

つまり、「乱」の漢字は、すでに乱れている状態や、まとまっているものをほぐす行為を表すと同時に、もつれた状態に手を加えるといった意味から、「おさえる」「まとめる」という意味も含んでいます。

4.ミノ

ミノ

ミノ」とは、「焼肉で、牛の第一胃。白肉。豚でいうガツに相当するもの」です。

切って広げたときの形が、肩からかけて着る雨具の「(みの)」に似ていることから、「ミノ」と呼ばれるようになりました。

ミノは純白に近い白色をしていることから、「白肉」とも呼ばれます。

5.三つ葉(みつば)

三つ葉

三つ葉」とは、「山野に自生し、野菜としても栽培されるセリ科の多年草」です。葉の柄は長く、三枚の小葉からなります。三葉。

三つ葉は、三枚の小葉からなるセリなので「ミツバゼリ(三葉芹)」と呼ばれており、その下略で「ミツバ」となりました。

現代では一般的に「三つ葉」の名が用いられますが、広い範囲で「ミツバゼリ」の名も用いられています。

6.蓑(みの)

蓑

」とは、「茅(かや)・菅(すげ)のや茎、藁(わら)などで編んだ、肩からかけて着る雨具」です。

「みの」の「み」は体の「身」と思われますが、「の」については特定が困難です。
代表的な語源説には、「ミニ(身担)」や「ミニ(身荷)」「ミヌ(身布)」の転、「ミニナフ(身荷)」や「ミオホ(身覆)」の意味、「ミノカサ(身笠)」の下略などがあります。

「み」を「身」の意味としない説には、蓑を着た姿と巻貝のカワニナの形がよく似ていることから、カワニナの別名「ニナ」の古名「ミナ」を語源とする説もあります。

7.嬰児/緑児(みどりご)

嬰児

みどりご」とは、「生まれたばかりの子供。赤子。赤ん坊。赤ちゃん。3歳くらいまでの幼児」のことです。

現在では「嬰児」が一般的な表記となっていますが、本来は「緑児」と書き、古くは「みどりこ」と末尾が清音でした。
赤ん坊を「みどりご(みどりこ)」と呼ぶのは、大宝令で三歳以下の男児・女児を「緑」と称するといった規定があったことに由来します。

大宝令で「緑」と称するようになったのは、生まれたばかりの子供は、新芽や若葉のように生命力溢れていることからたとえられたものです。

漢字「嬰児」の「嬰」の成り立ちには、「貝」が首飾りを表し、首飾りをつけた女の子とする説と、「えんえん」と泣く赤ん坊の泣き声を表す擬声語といった説があります。