日本語の面白い語源・由来(か-25)合点・カツ・刀・駆け引き・我楽多・鎌を掛ける

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合点

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.合点/ガッテン(がってん)

ためしてガッテン

NHKの人気番組に「ためしてガッテン」というのがありますね。

合点」とは、承知・理解・納得・同意することです。

合点は、和歌・連歌・俳諧などで、優れた作品に「〽」「○」「・」などの印をつけることを「合点」と言ったことに由来します。

和歌に点をつけることを「点を合ふ」と言い、それを変体漢文で「合点」と書かれて出来た言葉であるため、和製漢文と思われます。

また、回覧文書などを見た時に、自分の名前の上に承知の意味として「合点」と同じように印をつけていたため、「承知」や「同意」の意味として一般で使われるようになりました。

腑に落ちない意味の「合点がいかない」は、「がってん」の転で「がてん」と言います。

2.カツ

豚カツ

カツ」とは、牛・豚・鶏などの肉の切り身に、小麦粉・とき卵・パン粉をつけて油で揚げた料理のことです。

カツは、英語の「cutlet(カツレツ)」が略された語です。
「cutlet」は肉の切り身そのものを意味し、その語源は「骨付き背肉」を意するフランス語「cotelette(コートレット)」です。

日本にカツレツが入ったのは、近世末から明治初期といわれ、福沢諭吉の『華英通語』には「cutlet(吉列)」とあります。

当時のカツレツは、牛肉の「ビーフカツレツ」や鶏肉の「チキンカツレツ」でした。
明治28年(1895年)、銀座「煉瓦亭」の木田元次郎が、豚肉を使った「ポークカツレツ」を売り出したのが、「トンカツ(とんかつ)」の起源とされます。

昭和初頭、上野「元祖とんかつぽん多」の創業者である島田信二郎が、豚肉を使ったカツレツを「豚カツ」として売り出し、少しずつ「カツ」と略された呼び名が定着していきました。

3.刀(かたな)

刀

」とは、武器として用いる細長い片刃の刃物のことです。

刀の語構成は「片(かた)」+「刃(な)」で、「かたな」と呼ばれるようになりました。
日本は刀剣類の中でも片刃が発達して使われていたことから、両面に刃が付いている「諸刃(もろは)」の太刀ではなく、片方のみ刃が付いた「片刃(かたな)」から「刀」になったと考えられます。

また、片刃の「」は刀を表す古語で、「薙ぐ(なぐ)」と同系の語です。

4.駆け引き(かけひき)

駆け引き

駆け引き」とは、相手の出方や状況に応じて、自分に有利になるように事を運ぶことです。

駆け引きは、戦場における作戦上の言葉で、隊の進退のタイミングをはかる意味でした。
戦場用語で「駆け」は馬に乗って駆けることから敵に向かって攻め進むこを意味し、「引き」は馬の手綱(たづな)を引くことから退却を意味しました。

商売や交渉の戦略的な意味で「駆け引き」が用いられたのは、江戸時代になってからです。

5.我楽多/ガラクタ(がらくた)

我楽多

ガラクタ」とは、用途のない品物、値打ちのない品物のことです。

ガラクタの「ガラ」は、「ガラガラ」という物が触れ合うを表し、「クタ」はゴミを意味する「芥(あくた)」の略か、「朽ち(くち)」が訛ったものとされます。

江戸時代には粗悪な物をさす以外に、人をこけにする言葉として「ガラクタ」が使われることもありました。

ガラクタを漢字では「我楽多」や「瓦落多」と書くきますが、ともに当て字です。

ちなみに私のこのブログの名前「団塊世代の我楽多(がらくた)帳」にも、「我楽多」という文字が入っていますが、「雑多なジャンルの記事(しかし、皆さんのお役に立つ面白い記事)」が入っているという気持ちを込めたネーミングです。

自分としては決して「ガラクタ」のような値打ちのないものとは考えておりません。

読者の皆さんに「現在多くの日本人が正しいと思っている常識の中にはたくさんの誤りがあること(たくさんの「嘘」があること)」に気付いてもらったり、「面白くて役に立つ有益な情報」を提供しているものと自負しています。

私が記事で「嘘」と書いているものの中には、皆さんにとって俄かには信じがたい事柄もあるでしょう(例えば「明治天皇が即位直後に暗殺されて、長州出身の大室寅之祐という人物にすり替わったという話」「GHQの闇・天皇制の闇・国際連合の闇の話」など)が、私は真面目に調べて書いているつもりです。

直接の由来は、1885年(明治18年)に尾崎紅葉や山田美妙らが中心となって創刊した硯友社の機関誌『我楽多文庫』です。これは近代日本文学初の文芸雑誌で、同人雑誌の先駆です。

我楽多文庫

6.鎌を掛ける(かまをかける)

鎌を掛ける

鎌を掛ける」とは、知りたいことを自然にしゃべらせるよう、それとなく相手を誘導することです。

かまをかけるは、鎌で引っ掛けるようにして、相手を引き寄せる意味からと考えられます。

かまをかけるの語源には、このほかに二説あります。

一つは、やかましい意味の「囂し(かまし)」に、「ひっかける」の「かける」を加え、相手にやかましくしゃべらせ、うまく聞き出す意味で「かまをかける」になったとする説

もう一つは、「甑(こしき)」や「桶(おけ)」を作る時に、寸法を計る道具を「かま」と呼びますが、その「かま」で寸法を確認することを「かまをかける」と言っていたため、自分の思い通りにする誘導の意味だけ残り、現在の意味になったとする説です。