熟語の読み方・どちらが正しいか(その3)大安・大舞台・古文書・手数・木の実

フォローする



大安

皆さんは熟語の読み方で、二つの読み方が行われていて、どちらが正しいのか、あるいはどちらも正しいのか迷ったことはありませんか?

前に「熟語の読み方・どちらが正しいか(その1)早急・施行・依存・世論・面目」「熟語の読み方・どちらが正しいか(その2)御用達・発足・博士・幕間・大地震」という記事を書きましたが、まだまだありますので、今回も引き続きいくつか具体例をあげて解説したいと思います。

1.大安

六曜」のひとつで、民間暦の「たいあんにち」の略で、旅立ち、移転、結婚など万事に良いとする日で、特に婚礼には、この日が好んで選ばれる慣習が今日まで続いています。

「たいあん」と「だいあん」の二つの読み方が行われていますが、正しい読み方は「たいあん」です。

「大~」の読みには、漢音の「たい」と呉音の「だい」、それに和語(やまとことば)の読み方の「おお」があります。このうち「大安」は、漢音読みで「たいあん」です。

また「大安吉日」には、(1)たいあんきちにち(2)たいあんきちじつ(3)たいあんきつじつの3通りの読み方があります。

2.大舞台

「大舞台」も、「大地震」と同様に、「おおぶたい」と「だいぶたい」の二つの読み方が行われています。

「大舞台」の従来の慣用的な読みは「おおぶたい」で、歌舞伎などの古典芸能ではこの読み方が定着しています。しかし、放送で多く使われる「晴れの場」「活躍の場」という意味の「大舞台」は、「だいぶたい」という人がかなり多くなってきています。

このため、NHKの放送での読みは、古典芸能の場合は、 「おおぶたい」は○で「だいぶたい」は×とし、スポーツなど晴れの場、活躍の場では(1)「だいぶたい」(2)「おおぶたい」としています。

一般に、音読みの語(漢語)の上に、「大」が付いた場合、おおかたは「だい」と読みます。

「だい」と読む例: 大家族、大規模、大自然、大車輪、大人物、大多数、大部分、大本山、大震災

「おお」と読む例:大げさ(袈裟)、大げんか(喧嘩)、大御所、大火事、大騒動、大時代、大道具、大所帯、大入道、大ぶろしき(風呂敷)、大掃除

3.古文書

「こもんじょ」と「こぶんしょ」の二つの読み方が行われていますが、正しい読み方は「こもんじょ」です。

歴史学の一分野に「古文書学」がありますが、これも「こもんじょがく」と言います。

4.手数

「てすう」と「てかず」の二つの読み方が行われていますが、どちらも正しい読み方です。

「手数料」の場合は「てしゅうりょう」と読むのが一般的ですが、「NHK放送用語ハンドブック」では、「手数」について、「てすう」と「てかず」の両方を認めています。

5.木の実

「きのみ」と「このみ」の二つの読み方が行われていますが、どちらも正しい読み方です。

里の秋」という童謡では、「静かな静かな 里の秋 おせどに木(き)の実の 落ちる夜は♪」とあります。

春に木から新しく生えた芽(特に山椒の木のもの)を意味する「木の芽」も同様に、「きのめ」と「このめ」の二つの読み方が行われていますが、どちらも正しい読み方です。

ただし、俳句で春の季語である「木の芽時」は、「このめどき」と読みます。

余談ですが、木の芽時の体調不良は「気象病」と呼ばれています。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村