キュウリのぶつぶつ(イボ)やトゲは何のためにあるのか?

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キュウリ

先日、「ポツンと一軒家」(テレビ朝日)という番組を見ていると、秋田県山奥で100ヘクタールの広大なキュウリ畑を50年にわたって管理している86歳の老人が登場しました。

その老人が「キュウリのイボにあるトゲは、キュウリが呼吸するために必要なもので、トゲが取れると出荷できない。トゲがないとすぐに傷むので」と話していました。

そもそもキュウリのぶつぶつ(イボ)やトゲは何のためにあるのでしょうか?

今回はこれについてわかりやすくご紹介したいと思います。

1.キュウリにぶつぶつ(イボ)やトゲがある理由

キュウリ

日本のキュウリは、かなり早く収穫して、小型で未熟な果実が出荷されるのが特徴です。

現在では全国的に重さが100g、大きさが21cm程度のものが求められ、農家ではこのサイズを維持するために、夏場には午前、午後と1日2度収穫する必要があり大変です。キュウリはイボがしっかりしている方が新鮮だとされていますが、調理・加工にはイボが邪魔なため、最近はイボなしキュウリも作られています。

キュウリ

上の写真はキュウリの雌花ですが、この時期の幼果はイボが明瞭で、中心部にトゲがあるのがわかります。キュウリのイボはトゲが生えていた名残りなのです。それではイボ(トゲ)は何のためにあるのでしょうか?

野生のキュウリはトゲの強いものが多く果実も苦いのが一般的です。はっきりとはわかりませんが、トゲや苦味キュウリの果実が小さなうちに動物などに食べられなくするためだと考えられています。

果実が充分熟し、内部の種子が充実する頃になると、苦味が消えイボ(トゲ)も目立たなく、食べ易くなります。それで動物たちに種子を遠くに運んでもらえるようになるのです。

2.問題のないぶつぶつ(イボ)と注意すべきぶつぶつ

キュウリのぶつぶつがあるのは普通の場合が多いですが、病害虫が原因であることもあります。

キュウリに出てくるぶつぶつには、どのようなものがあるのでしょうか?

(1)「実」のぶつぶつ(イボ)

キュウリ

実についているぶつぶつは、キュウリの特徴の一つです。

蔓(つる)にくっついて実が育っている時は、トゲのようなものがぶつぶつから出ていて、触ると痛いほどです。

しかし、収穫して少し経つと、このトゲが徐々にはずれていき、表面から突出しているイボ部分だけが残り、ぶつぶつになります。

キュウリ

キュウリのトゲやイボは硬くて鋭い方が新鮮と言われています。スーパーで売られているキュウリの表面がぶつぶつで、触った時に痛いと感じるものは、鮮度が良い証拠です。

キュウリの中には、このぶつぶつがほとんどないものや、反対にぶつぶつが多いものなどがあります。

ブルームレスの「フリーダム」などは、ぶつぶつがほとんどありません。「四葉系キュウリ」と呼ばれる、パリパリの食感が特徴の品種には、実の表面にたくさんのぶつぶつが出ます。

キュウリは、品種によってもぶつぶつの出方や数に差が出ます。ぶつぶつ自体は、食べる時にあまり気になりませんが、トゲが残っている時には、食感が悪くなります。

調理をする前の下準備として、塩を使って板ずりをすると、簡単に表面のトゲを取り除くことができます。

(2)蔓(つる)のぶつぶつ

キュウリ

キュウリは、蔓(つる)にもぶつぶつが出ることがあります。これは、つるの途中から根が出ようとしている時に、よく見られます。

キュウリは意外と発根しやすい植物で、つるの途中からでも根が出ることがあります。摘心した部分を挿し木して、新しい苗を作るという方もいます。また、つるの途中を土に触れさせておくことで、その部分から発根することもあります。

地這い栽培では、地面につるを這わせて育てます。本来は、ヨシズやスダレ、敷きワラなどをつるの下に敷きますが、何も敷かずに土に触れたままにしておくと、いつの間にか発根していることがあります。

これも特に問題ではありませんが、妙なところから根が出ると、予想外の生長の仕方をすることがあり、整枝が難しくなるので、必要な時以外は避けた方が良いでしょう。

土につるが直接触れないよう、敷きワラなどをきちんと敷いておきます。支柱に誘引して育てる場合でも、株元につるが垂れて溜まっていると、地面に触れて発根します。つるがずり落ちないよう、誘引もしっかりと行いましょう。

(3)葉のぶつぶつ

キュウリ

キュウリの葉の表面にぶつぶつができた時は、要注意です。単純に老化による枯れの場合もありますが、病害虫が原因であることも多いです。

病気の場合は、斑点細菌病という病気の可能性が高いです。最初は小さな病斑がいくつか出るだけですが、症状が進むにつれて病斑の数が増え、表面がぶつぶつになります。その後、病斑が出た部分に穴があいていきます。

アブラムシも繁殖力が強いので注意しますアブラムシやアザミウマといった害虫による被害でも、葉がぶつぶつになります。アブラムシもアザミウマも、吸汁するタイプの害虫です。
葉の裏などに寄生し、汁を吸うことによって、葉が傷んでぶつぶつになります。

数が少ないうちは被害も小さいですが、繁殖力がとても強いので、少しの期間放置しただけでも、あっという間に蔓延し、被害が大きくなります。また、他の病気を媒介することもあるので、注意が必要です。

病気でも害虫でも、被害が広がれば葉は枯死していき、光合成をして養分を作る大切な器官を失うことになります。

斑点細菌病も、アブラムシやアザミウマといった害虫も、早期の発見と対処によって、防除することが可能です。

畑はこまめに見回るようにして、葉に病斑などの異変がないかどうか、葉の裏に小さな虫がついていないかなどをチェックする必要があります。