宇宙はどこまで続いているのでしょうか?また宇宙の果てはどうなっているのでしょうか?
「空」については、前に「空はどこまで続いているのか?わかりやすくご紹介します。」という記事を書きましたが、「空の果て」から続く「宇宙の果て」は我々の想像をはるかに超える遠い遠い距離です。
1.宇宙の広さと形
宇宙の広さを表す単位としては、「光年」という言葉を使います。
我々がふだん使う長さの単位で、一番大きいのは「キロメートル」ですが、これは宇宙の広さを表すには不十分です。
「1光年」というのは「光が1年かかって進む距離」のことをいいますが、これをKmに直すと、なんと9兆4600億Kmにもなります。
しかも、宇宙では1光年は一番小さい単位です。たとえば、宇宙には、地球のある「太陽系」を包み込んでいるいる「銀河系」というものがあります。この銀河系は渦巻の形をしているのですが、直径は約10万光年もあります。
またこの銀河系を突き抜けたはるか先に、星のように見える「クエーサー」というものがあります。これは、現在最も高性能の望遠鏡で見える、宇宙の一番遠い所なのですが、そこまでは約150億光年もあります。
しかも、このクエーサーが宇宙の果てではありません。実は、クエーサーも、またほかの遠くの銀河も、銀河系から常に遠ざかっていることがわかったのです。
つまり、宇宙は風船のように膨らんでいて、今も宇宙はどんどん大きくなっているのです。ですから宇宙の形というのはわかりませんし、宇宙の大きさもだいたい150億光年まではわかっていますが、それ以上先は今のところ全くわかっていないのです。
「宇宙」には「広大無辺(こうだいむへん)」という四字熟語がぴったりしますね。ちなみに、宇宙の「宇」は元々「軒」や「屋根」を表した漢字で、四方に葺き下ろした部分のことから、上下四方で「空間」を意味します。「宙」は「時」を意味する漢字です。
現在知られているクエーサーで最も遠くにあるものは、光速の約91%の速度で我々から遠ざかっています。このクエーサーより外側は、ほぼ光と同じ速度で遠ざかっているために私達はそれより遠くを観測することはできません。
地球から見るすべての銀河は地球から遠ざかっているのですが、決して地球が宇宙の中心であるわけではありません。銀河の後退は、どの銀河から見ても全く同じように見えるのです。このため宇宙は膨張していることがわかるのです。
2.「クエーサー」とは
「クエーサー(Quasar)」は、非常に離れた距離に存在し極めて明るく輝いているために、光学望遠鏡では内部構造が見えず、恒星のような点光源に見える天体です。クエーサーという語は準恒星状(quasi-stellar)の短縮形です。
強い電波源であるQSS(準恒星状電波源) (quasi-stellar radio source)と、比較的静かなQSO(準恒星状天体) (quasi-stellar object)があります。最初に発見されたのはQSSですが、QSOの方が多く発見されています。日本語ではかつて「準星」などと呼ばれていました。
クエーサーは、銀河の中心の非常に狭い領域が明るく輝いている天体です。X線から紫外線・可視光、赤外線や電波まであらゆる波長で明るく輝き、放射エネルギーが太陽の明るさの1兆倍以上にも達する全宇宙で最も明るい天体のひとつです。
その中心部には太陽の1億倍以上の質量をもつ巨大な「ブラックホール」が存在し,そこにガスが落下するのに伴って解放される重力エネルギーが莫大な放射の源となっていると考えられています。
実は銀河のうち約1~10%ではその中心部において,クエーサーほど極端でないにせよ特徴的な放射がみられることから,同じく巨大ブラックホールへのガス落下を起源とする現象が起きていると理解されます。これらはまとめて「活動銀河核」と呼ばれます。
しかしクエーサーは見かけでは星と区別がつかないため、それが遠方のきわめて明るい天体であると「発見」されたのはわずか50年ほど前のことで、宇宙膨張の発見よりも後です。
それ以来、莫大なエネルギーを放射する特異な天体として、また明るいがゆえ遠方の宇宙を探査する有力なツールとして注目された「新天体」の研究は急速に進展しました。
全波長的な観測や理論的な考察によって基本的な放射機構や内部構造が明らかになりました。また精力的な捜索によりこれまでに知られているのは約14万個、宇宙誕生からわずか8億年後の宇宙にもクエーサーが発見されました。
さらに最近では近傍の普通の銀河の中心部にも普遍的に巨大ブラックホールが存在すること明らかになり、さらにその質量と母銀河の星質量とが相関していることが発見されました。
このためクエーサーと銀河が互いに影響し合いながら進化すると考られるようになり、現代天文学における新しい重要課題となっています。