「警視庁」と「警察庁」と「検察庁」の違いとは?「特捜部」もあわせて紹介。

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警視庁と警察庁と検察庁の違い

ニュースやドラマなどを見ていると、「警視庁」や「警察庁」などの言葉を耳にする機会がよくあります。これらは警察組織に関わる言葉であることは分かるものの、詳しい内容についてはよく知らないという人も多いのではないでしょうか。

また、「特捜部」というのも政治家がらみの犯罪でよく聞きます。

そこで今回は「警視庁」と「警察庁」と「検察庁」の違いと、「特捜部」のことをわかりやすくご紹介します。

1.「警視庁」とは

警視庁」とは、東京都を管轄する警察組織、もしくはその本部の名称です。

日本の警察機構では、47の都道府県それぞれに「県警」や「府警」などの本部が置かれ、各地域をまとめる役割を果たしています。「警視庁」はその中の1つで、東京都全域を管轄とする組織になります。そのため、東京都内で発生した犯罪事件は、「警視庁」が担当することになります。

「警視庁」は日本最大の職員数を誇っており、10の方面本部と102の警察署を擁しています。組織のトップは「警視総監」です。

2.「警察庁」とは

警察庁」は日本の行政機関の1つで、警察組織全てをまとめる機能を持ちます。内閣府の外局として、内閣総理大臣の下に置かれる国家公安委員会によって管理されています。いわゆる「特別の機関」にあたる機関です。

「警察庁」と「警視庁」は名前こそ似ていますが、役割にははっきりした違いがあります。「警視庁」は上記のように、東京都内で起こった事件を実際に捜査する機能を持ちますが、「警察庁」は個別の事件を捜査することはありません。「警察庁」は、警察制度の企画立案や、国の公安に関わる事案についての警察運営などを司る機関となっています。「警察庁」を統括する「警察庁長官」は、同時に警察組織全体のトップでもあります。

3.「検察庁」とは

検察庁」とは、法務省の機関の1つで、検察官の行う事務を統括する官署になります。最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁の4つに分けられます。

検察官は、犯罪の捜査、公訴の提起、公判の維持、裁判の執行といった、主に刑事司法に関する権限を持ちますが、こうした検察官の権限は司法権ではなく、一種の行政作用にあたります。検察官はいずれかの検察庁に所属し、固有の権限としての職務を行いますが、具体的な職務執行については、各検察庁の長や上席検察官の指揮命令に服することになります。検察官のトップである「検事総長」は、最高検察庁の長でもあります。

このように、「検察庁」は「警察庁」とは違い、検察官が所属する官署となっています。

4.「特捜部」とは

特捜部」とは、特別捜査部(とくべつそうさぶ)の略称で、日本の検察庁の一部門です。東京・大阪・名古屋の各地方検察庁に設置されています。

「隠退蔵物資事件」を契機にGHQ主導で設立された「隠匿退蔵物資事件捜査部」が前身です

独自の捜査権限を有している検察庁の中でも、大規模事件など、集中的に捜査を行う必要がある案件に取り組む機関として存在しています。検事(副検事)のほかに検察事務官により構成されています。

政治家汚職、大型脱税、経済事件を独自に捜査します。一般的な刑事事件は警察による捜査および被疑者の逮捕が行われますが、この類の事件では最初から特捜部が捜査・摘発する場合が多いです。

ただし、経済犯罪のうち独占禁止法違反の罪については、公正取引委員会に専属告発権限があります。

「特捜部」は、1976年(昭和51年)2月に明るみに出た世界的な大規模汚職事件「ロッキード事件」(アメリカの航空機製造大手のロッキード社による、主に同社の旅客機の受注をめぐる汚職事件)で名を馳せました。この事件は「総理の犯罪」の異名で知られ、田中角栄元首相が逮捕されました。

しかし、最近では「郵便不正事件」で逮捕された村木厚子厚労相局長(後に厚労次官)や、「プレサンス事件」で逮捕された山岸忍社長(後に社長を辞任)など、検察の描いたストーリーに沿った自白の強要や恣意的な見込み捜査による「重大冤罪事件」が続発しており、特捜部の捜査のやり方に批判も高まっています。

5.韓国における「検察」から「警察」への権限大幅移管

「警察」と「検察」の関係と言えば、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が任期切れ直前の2022年4月に、「検察」の捜査権限を大幅に縮小して「警察」に権限を移管する法案を成立させましたが、これに反対する検事総長をはじめとする検察幹部が、一斉に辞表を提出する異例の事態となりました。

韓国の検察は、強大な権限を背景に、パク・クネ(朴槿恵)前大統領やイ・ミョンバク(李明博)元大統領といった歴代の大統領を逮捕・起訴してきましたが、その力を削ごうとする政治主導の動きに抗議した形です。

文在寅氏には不正土地投機、娘の大学不正入学、妻の巨額投資疑惑、最側近・曺国氏(チョ・グク)の相次ぐスキャンダルなど多くの疑惑があります。「検察」から「警察」への捜査権限移行は、自分が大統領を退任した後に、韓国の歴代大統領と同じように訴追されることを防ぐ狙いがあると見られて、批判を浴びたのです。

後任の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、これに反発しており、今後どうなるかわかりません。

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