4000年の歴史を持つ中国には、多くの故事やそれに由来する「四字熟語」がたくさんあります。これは人類の叡智の結晶と言っても過言ではありません。
「自然」「風景」を表す四字熟語もたくさんあります。そこで5回に分けてご紹介したいと思います。
今回は、「さまざまな自然・風景」を表す四字熟語(その4)です。
1.白砂青松(はくしゃせいしょう)
海岸の美しい景観の形容。白い砂浜と青々とした松林の続く海岸線の意から。
「砂」は「沙」とも書き、また、「さ」とも読みます。
2.亭亭皓皓(ていていこうこう)
遠くはるかに浮かび上がって光り輝くさま。はるかかなたから降り注ぐ光のさま。月光の形容。
3.洞天福地(どうてんふくち)
この世のものとは思えないほどの美しい風景。
「洞天」は天に通じている場所。「福地」は幸福が生まれる場所。
どちらも仙人が住んでいるとされている場所のこと。
道教では、十大洞天、三十小六洞天、七十二福地のことを言います。
4.突兀磽确(とつこつこうかく)
高く険しくそびえ立つ山や岩、石の多い痩せ地。
5.万頃瑠璃(ばんけいるり)
青く、どこまでも広がっている様子。
「万頃」は限りなく広いこと。「瑠璃」は紺青色のこと。または、紺青色の宝石のこと。
空や海がどこまでも青く広がっている様子を言います。「万頃琉璃」とも書きます。
6.風月無辺(ふうげつむへん)
自然の眺めがこの上なく美しいこと。
「風月」は自然の風景。「無辺」は限りのないこと。
7.紛紅駭緑(ふんこうがいりょく)
美しい花が咲き乱れ、風に揺れている様子。
「紛」と「駭」はどちらも入り乱れるという意味。
「紅」は赤い色の花。「緑」は青い色の花。
8.壁立千仞(へきりつせんじん/へきりゅうせんじん)
壁のような険しい崖が高く立っていること。
または、仏教語で真理を得るための道のりが非常に険しいことのたとえ。
「仞」は古代中国の高さや深さをあらわす単位のこと。
9.名山勝川(めいざんしょうせん)
景色のいい山と川。
「名勝」と「山川」を組み合わせた言葉。「名勝」は景色がよいことで有名な場所のこと。
10.名所旧跡(めいしょきゅうせき)
美しい景色や由緒ある場所のこと。観光に適した場所のこと。
「名所」は、美しい景色や古跡などで有名な場所。「旧跡」は、歴史的な事件や建造物などがあったあと。
11.茂林修竹(もりんしゅうちく)
青青と生い茂っている林と長く伸びている竹のこと。「修竹」はよく伸びている竹のこと。
「茂林脩竹」とも書きます。
12.溶溶漾漾(ようようようよう)
水が静かにゆっくりと流れる様子。
「溶溶」はたくさんの水が流れる様子。「漾漾」はゆっくりと流れる様子。
13.落英繽紛(らくえいひんぷん)
花びらが散り、乱れ舞う様子。
「落英」は散り落ちる花びらのこと、「繽紛」は乱れ散ること。
14.落花啼鳥(らっかていちょう)
自然の趣や詩情。花は散り、鳥は山中で鳴いているという、晩春の寂しげな自然の風景のこと。
「落花」は、花が散ること。「啼鳥」は、鳥の鳴き声。
15.嵐影湖光(らんえいここう)
山水の美しい景色の形容。山の新鮮な精気と湖面の輝きのこと。
「嵐影」は山に立ち込める精気、「湖光」は湖に日の光りが当たって輝くこと。
16.柳暗花明(りゅうあんかめい)
春の野が花や緑に満ちて、美しい景色にあふれること。また、花柳界・遊郭のことを指すこともあります。
「柳暗」は柳が茂って、その陰がほの暗くなること、薄暗い様子。「花明」は花が咲いて明るい色があふれること。春の山水の美しい景色を表現したもの。
17.竜飛鳳舞(りゅうひほうぶ/りょうひほうぶ)
山々が連なっていて立派な様子。または、文字の書き方や筆の勢いが生き生きとしていて、自在なこと。
伝説上の存在である竜が飛び上がって、鳳凰が空を舞う様子から。
「竜飛び鳳舞う」と訓読します。