日本語の面白い語源・由来(こ-①)昆虫・言葉の綾・後悔先に立たず・ゴリ押し・五徳

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樹液に集まる昆虫

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.昆虫(こんちゅう)

昆虫

昆虫」とは、昆虫類に分類される節足動物の総称です。体は頭・胸・腹の3つの部分からなります。

チョウ・トンボ・セミ・バッタなど、種類は全動物の中で最多です。また、虫類の総称。

「昆」の漢字の由来が以下のように二説あるため、昆虫の語源も解釈が分かれます。

「昆」の漢字は「日(太陽)」と「比(並ぶ)」からなり、日光のもとに群がり集まるというのが原義とする説です。

転じて、「多くの種類」「群がっている」を意味するようになりました。この説で昆虫は、「多くの種類の虫」を表しているといわれます。

「昆」は象形文字で、足を連ねた虫の形をかたどったものとする説です。この説では、同じ「虫」を表す漢字を重ねて「昆虫」になったとされます。

また、象形文字説にはもうひとつ、足が多くあるところから「昆」は「多くの種類」を表し、「多くの種類の虫」の意味で「昆虫」になったという解釈もあります。

2.言葉の綾(ことばのあや)

言葉の綾

言葉の綾」とは、巧みな言葉の言い回し、いく通りにも解釈できるような複雑な表現のことです。

(あや)」は、斜めに交差している絹織物の模様のことです。
そこから、綾は様々な形や模様、いろどり、見事さ、おもむきなども意味するようになりました。

さらに、模様や色彩の美しさの意味から、綾は文章や言葉の飾り、言葉を美しく巧みに用いて効果的に表現することも意味するようになりました。

比喩を使った絶妙な表現は、聞く人によって誤解が生じることがあります。そのような時に、聞き手の解釈が自分の本意ではないことを伝えるため、「それは言葉の綾だよ」などと用いることが多くなっています。

3.後悔先に立たず(こうかいさきにたたず)

後悔先に立たず

後悔先に立たず」とは、既にしてしまったことを、いくら後で悔やんでも取り返しがつかないことです。

後悔は、してしまったことを後になって悔やむことです。
何かをするより先に後悔することはあり得ないため、後で悔やんでも取り返しがつかないことを「後悔先に立たず」と言います。

「後悔先に立たず」は、名言や故事に基づくことわざではないため、言い出した人物や由来を特定することはできません。

古い例としては、『金刀比羅本』(1220頃)の「しからば果して天下の大事出来なん。後悔さきにたつべからず」や、『日蓮遺文』(1277年)の「只今国土破れなん。後悔さきにたたじ。不便々々」がありますが、これらが由来という訳でもありません。

洒落て、「後悔と槍持ちは先に立たず」や「後悔先に立たず、提灯持ち後に立たず」などとも言います。

余談ですが、宮本武蔵の「我、事において後悔せず」という有名な言葉があります。

4.ゴリ押し(ごりおし)

ゴリ押し

ゴリ押し」とは、物事を強引におし進めたり、自分の要求を無理に押し通すことです。

ゴリ押しの「ゴリ」は、「ゴリゴリ」という擬態語・擬音語に由来します。

「ゴリゴリ」は、かたい物を噛んだり、かじったりする時に出るや、そのさま。表面がなめらかでない様子。強い力で無理に壊すさまなどを表す際に使う語です。

そこから、強引に事を行うさまを「ごりごりと向かっていく」や「ごりごりと押す」と言い、「ごりごり押す」が名詞化されて「ゴリ押し」となりました。

ゴリ押しの語源には、川魚の「ゴリ(鮴)」に由来する説が多く見られます。
この説は、川底に置いたむしろにゴリを追い込み、むしろごと持ち上げて捕らえる漁獲方法が強引で、「鮴押し(ごりおし)」と呼ぶことからというものです。

しかし、「鮴押し」の呼称を知っている人が沢山いなければ、「ゴリ押し」の語の成立もありませんが、どちらかと言えばゴリはマイナーな魚で、その漁法はさらにマイナーです。
しかも、この漁法が盛んに行われていた時代と、「ゴリ押し」の語が使われ始めた時代には大きな開きがあり、漁法自体も特別強引なものではありません。

この説は「ごりおし」に「鮴押し」という言葉があることを知り、強引に「ゴリ押し」の語源とした俗説です。

その他、ゴリ押しの語源には、五里(約19.6km)も押し続けることに由来する説もあります。
おそらく、「五里霧中」の「五里」から類推したものでしょう。

5.五徳(ごとく)

五徳コンロ

五徳」とは、囲炉裏・火鉢・七輪・コンロなどに置き、やかんや鍋をかける器具です。

五徳は「クトコ(火所)」か「コトコ(火床)」の転訛と考えられています。
五行・儒教・仏教・俳諧など、さまざまな分野に「五徳」という言葉はありますが、これらと関係するものではありません。

江戸時代、数字に「徳」が付く物は多く、「三徳(紙入れや燭台)」「八徳(俳諧師や画工が着た着物)」「十徳(儒者や医者の外出着)」などがあります。

これらの「徳」には、重宝する物の意味が含まれています。

「五徳」の漢字表記は、重宝する物の意識から当てられたかものと思われます。

五徳

ガスコンロの五徳は固定式のため分かりづらいですが、火鉢などに使う五徳は、輪を上にして置く方法と、爪を上にして置く方法があり、さまざまな物を火にかけられ重宝する物です。