日本語の面白い語源・由来(こ-⑭)暦・牛蒡抜き・こじつけ・御幣担ぎ・木っ端の火・厚顔無恥・護摩の灰

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暦

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.暦(こよみ)

暦

」とは、一年の月・週(七曜)・日・祝祭日・干支・月齢・吉凶などを、日を追って記したものです。カレンダー。

暦は「日読み(かよみ)」が転じた言葉です。
」を「か」と読むのは、「二日(ふつか)」「三日(みっか)」などと同じ、「ひ」の交替形です。

読み」は「数える」を意味し、「日読み」で「日を追って数える」ことを意味します。

「かよみ」から「こよみ」の転は、「よ」の母音が「か」の母音に影響を与えたことによります。

720年の『日本書紀』には、朝鮮半島から渡来した暦博士によって暦が初めて作られ、持統四年の勅令で暦法が公式に採用されたと記されています。

2.牛蒡抜き/ごぼう抜き(ごぼうぬき)

ごぼう抜き

ごぼう抜き」とは、棒状のものを一気に引き抜くこと大勢の中から一人ずつを引き抜くこと競走で数人を一気に追い抜くことです。

ごぼう抜きの意味は大まかに分けて三種類ありますが、棒状のものを抜くことや、排除したり人材を引き抜く意味で用いられる「ごぼう抜き」は、「ごぼうを抜くように」といった形容の意味からと考えられます。

マラソンや駅伝で数人を一気に追い抜く意味で使われる「ごぼう抜き」の語源には、二通りの説があります。

①ごぼうは他の野菜に比べ細くまっすぐ伸びているため、長い割に容易に抜くことが出来ることから。
②ごぼうは抜きにくく大変な作業であることから、抜きにくいものを一気に抜く意味。

この二説は全く正反対な語源となり、一般には「①」の説が多くみられます。

実際にごぼうを抜く作業が容易なのか困難なのかですが、これはごぼうの栽培地や品種によって異なります。

砂質壌土や火山灰地であれば容易に抜くことができ、一般の畑の土で育ったごぼうは抜きにくいものです。

堀川ごぼうのような関西ごぼうは短根で抜きやすく、主流となっている滝野川ごぼうのような関東ごぼうは長根で抜きにくいものです。

つまり、一般的な栽培地や品種では、ごぼうは抜きにくいものと考えられます。

「①」の説は「実際にそれほど難しいものではない」といったニュアンスを含むため、難しいことを容易にする表現にはならないため、競走などに用いられる「ごぼう抜き」の語源は「②」の説が有力です。

3.こじつけ

こじつけ

こじつけ」とは、無理に理屈をつけたり、無理に関係づけて言うことです。

こじつけは、「こじつける」の名詞形です。
こじつけるは「故事付ける」で、昔から伝わる「いわれ」や「物語」に無理やり関連付けることからです。

馬鹿の語源を「鹿をさして馬となす」の故事に関連付けたものが、典型的なこじつけの例です。
その他、「故実付ける(こじつつける)」とする説もありますが、「故事付ける」の説に比べ関連性に乏しいものです。

4.御幣担ぎ(ごへいかつぎ)

御幣担ぎ

御幣担ぎ」とは、必要以上に縁起を気にすること。また、その人のことです。

御幣担ぎの「御幣」とは、紙や布を細長く切って細長い木に挟み、神前に供えたり神主がお祓いする時に用いる祭具で、本来は「御幣帛(ごへいはく)」や「御幣束(ごへいそく)」と言います。

御幣

御幣を担いで不吉なものをお祓いすることから、「御幣担ぎ(御幣を担ぐ)」と言うようになりました。

「御幣担ぎ(御幣を担ぐ)」から「縁起担ぎ(縁起を担ぐ)」という表現も生まれ、さらに「験担ぎ(験を担ぐ)」という言葉も生まれました。

5.木っ端の火(こっぱのひ)

木っ端の火

木っ端の火」とは、あっけないこと、たわいもないことのたとえです。

木っ端とは、用材を切った際に残る木の切れ端、木屑のことです。
木屑は、火を起こす時には早く燃え上がりますが、燃え尽きるのも早いものです。

そこから、「あっけないこと」や「たわいもないこと」のたとえとして、「木っ端の火」と言うようになりました。

6.厚顔無恥(こうがんむち)

厚顔無恥

厚顔無恥」とは、あつかましく恥知らずなことです。

厚顔無恥の「厚顔」は、単独でも、あつかましく恥知らずなことを意味します。

中国最古の詩集『詩経』に「巧言くわうの如く、顔の厚きや」とあり、「厚顔」は言葉巧みに乗り切り外面を良く見せ、内面の恥を隠すことを意味しました。

日本には平安時代頃、漢文を通して「厚顔」が伝わり、内面の醜さをさす言葉として用いられ、明治時代以降には、日常語として「厚顔」が用いられるようになりました。

やがて、知識や知恵がないことを意味する「無知」が付いて、「厚顔無恥」という四字熟語の形での使用が増えていきました。

7.護摩の灰(ごまのはい)

護摩の灰

護摩の灰」とは、昔、旅人の姿に扮して旅客の金品をまき上げた泥棒のことです。ごまのはえ。

護摩の灰は、密教で護摩木を焚いて仏に祈る「護摩」で燃やす木の灰のことです。

護摩の灰

高野聖(こうやひじり)のいでたちで、「弘法大師の護摩の灰」と偽って押し売りをして歩いた者がいたことから、騙して売る者や押し売りをする者を「護摩の灰」と呼ぶようになりました。