日本語の面白い語源・由来(さ-①)参議院・五月雨式・笹・石榴・爽やか・差し出がましい・刷新

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参議院

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.参議院(さんぎいん)

参議院本会議

参議院」とは、衆議院とともに国会を構成する一院です。通常選挙で選出した全国民を代表する議員で組織されます。衆議院で可決した法案を再度審議し、衆議院の行き過ぎを抑制する役割を建前上は持っています。

ただし、お世辞にも政治家と呼べないような元芸能人などの「タレント議員」も多く、現状では衆議院で決められたことの追認をしているだけで、存在意義・存在価値・存在理由は限りなく低いと私は思います。

最近では、当選後一度も登院しない参議院の「ガーシー議員」が話題になりましたが、結局除名されて失職しました。しかし「比例代表候補」であったため、旧NHK党(現在の「政治家女子48党」)の名簿上位者が繰り上げ当選するそうです。

参議院の語構成は、「参議+院」で「参+議院」ではありません。
参議は、国家の政治上の議事に参与することで、参議の「参」には、参加し相談を受けることの意味が含まれています。

参議院の院は、 国家機関や公共施設などの名に添える語で、少年院や国土地理院などの「院」と同じです。

余談ですが、「参議院廃止・政党交付金廃止・議員定数削減・公務員給与引下げを今こそ実現を!」という記事も書いていますので、ぜひご覧ください。

2.五月雨式(さみだれしき)

五月雨式

五月雨式」とは、物事が一度で終わらず、だらだらと続くこと。また、そのやり方のことです。

五月雨式は、梅雨の時期に、途切れながらも長い期間だらだらと降り続く「五月雨」にたとえた語です。

元々は「五月雨戦術」や「五月雨スト」のように、名詞の前に「五月雨」をつけて、その物事が断続的に行われることを表しました。

「五月雨式」の形での使用はビジネスシーンからと思われ、後から後から追加情報を送るメールや、製品を順次納品する際などに多く使われます。

3・笹/篠(ささ)

笹

」とは、イネ科の多年生植物です。竹との明確な区別はありませんが、一般にタケ亜科に属する植物のうち、丈が低いものの総称です。

笹の語源には、風に吹かれて葉が触れ合うの「ササ、ササ」に由来する説と、「ササダケ(細小竹)」の下略説があります。

古事記』にも「小竹を訓(よ)みて佐佐(ササ)と云ふ」とあるように、古くから、笹は竹の小形のものと認識されています。

竹は「丈」や「高い」などが語源と考えられており、「小さいもの」「細いもの」「狭いもの」は「S音」で表現されやすいことを考慮すると、「ササダケ(細小竹)」の下略のように、「ササ」は小さいものを表した名と考えられます。

漢字の「笹」は、日本で作られた国字です。

由来は明らかではありませんが、「竹」に「ササ」という擬声音を合わせたものか、「竹」に「葉」の省略形といわれます。

4.石榴/柘榴(ざくろ)

柘榴ザクロ

ザクロ」とは、ミソハギ科のザクロ属の落葉小高木、また、その果実のことです。6~7月頃、新枝に朱赤色の花を開きます。果実は球形で、9~10月に熟すと外果皮が裂けて種子が現れます。果実の外種皮を食用、樹皮を駆虫薬に用います。じゃくろ。

ザクロは漢名「石榴」の呉音「ジャクル」が日本で訛った語です。

現在では「石榴」が正式名となっていますが、中国では元々「安石榴」と呼んでいました。
安石榴の「安石」は安石国(イラン)から漢の張騫が持ち帰ったという故事に由来し、「榴」はザクロの実を「」に見立てたものといわれます。

また、ザクロの原産地はイランの西方にあるザグロス山脈辺りで、ザグロスを音写して「石榴」とし、これにイランの名前「安息」を冠して「安石榴」になったとする説もあります。

「柘榴」は秋の季語で、次のような俳句があります。

・さと割らは 迸(ほとばし)りけり ざくろの実(三宅嘯山)

・石榴くふ 女かしこう ほどきけり(炭 太祗)

・若長が 机のうへの ざくろかな(与謝蕪村

・鉢植の 柘榴少き 実を持ちぬ(寺田寅彦)

5.爽やか(さわやか)

爽やか

爽やか」とは、気分が晴れやかで、さっぱりしているさま、すがすがしいさまのことです。

爽やかの語源には、以下の通り諸説あります。

①風が通り過ぎる擬音語「サハサハ」の「サハ」を語根とし、「ヤカ」は接尾語。
②「サハ」が清らかではっきりしていることを表す「サヤ(清亮)」に通じ、副詞を作る「ヤカ」。
③「サハ」が「サユ(冴)」の意味で、「ヤカ」は付字。
④「爽」の別音「Sawo」が「Sawa」と転じ、それに形容詞「ヤカ」が付いたもの。

爽やかの漢字「爽」の由来についても、以下の通り諸説あります

①「大」が盛んであることを表し、4つの罰点はいくつも穴が空いていることか、窓の格子をかたどったもので、明るいさまを表したとする説。
②左右の手に灯りを持つ姿の象形文字説。
③「大」は人の正面形で、4つの罰点は胸の左右に加える文身(入れ墨)の文様で、女性の屍に邪悪な霊が憑くことを祓うため、乳房をモチーフとする朱の文身を加えたことに由来するとする説。

雑学の世界では、「爽やか」と「入れ墨」という異なるイメージの組み合わせから、最後の文身説が取り上げられやすいですが、ひとつの説に過ぎません。

6.差し出がましい(さしでがましい)

差し出がましい

差し出がましい」とは、度を越えて他人のことに関わろうとすること、出しゃばった感じのことです。

差し出がましいの「差し出」は、動詞「差し出る」の名詞形です。
差し出るは、「でしゃばる」「出過ぎた行動」を意味します。

差し出がましいの「がましい」は、「おこがましい」「押し付けがましい」「恩着せがましい」などの「がましい」と同じで、「いかにも〜のように見える」という意味の接尾語です。

7.刷新(さっしん)

政治刷新本部

「刷新」とは、弊害を除き去って、全く新しいものにすることです。

「刷」の「拭い取る」と、「新」の「あたらしい」の意味が合わさり、「はらい清めて新しくする」という意味になります。

<2024/1/11追記>

自民党の裏金問題」で、「政治刷新本部」が発足しましたが、メンバーに疑惑の渦中にある安倍派が10人も入っており、果たして「刷新できるのか?」と疑問の声も上がっています。