日本語の面白い語源・由来(つ-⑥)津波・梅雨・つまらない・爪弾き

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津波

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.津波(つなみ)

津波

「津波」と言えば、2011年3月11日に起きた東日本大震災が記憶に新しいところです。

津波」とは、海底地震や海底火山の爆発などの際、地殻変動によって生じる周期の長い海水の波動のことです。波が急に高くなり、港や陸地に災害をもたらします。

津波の「津」には「船着き場」「船の泊まるところ」「港」などの意味があり、港を襲う波で「津波」となりました。

万葉集』にも「海上(うなかみ)の その津をさして 君が漕ぎ行かば」と、「津」の使用が見られます。

「津」が港を意味する由来は、出入り口の意味の「と(門・戸)」といわれます。
「強波(つよなみ)」から「津波」になったともいわれますが、有力な説ではありません。

1946年に起きたアリューシャン地震の際、日系移民が用いたことからハワイで「Tsunami」の語が使われるようになり、アメリカでも広く用いられるようになったため、「Tsunami(津波)」は国際語となりました。

英語には「津波」を表す「tidal wave」があるにもかかわらず、「Tsunami」が用いられるのは、上記経緯のほかに、「tidal」は「潮」を意味する言葉であり、津波が満干によって起こる現象ではないためと考えられます。

2.梅雨(つゆ/ばいう)

梅雨

梅雨」とは、6月から7月中旬にかけて、朝鮮南部・長江下流域から、北海道を除く日本列島に見られる雨期、またその時期に降る長雨のことです。五月雨(さみだれ)。

梅雨は、中国から「梅雨(ばいう)」として伝わり、江戸時代頃より「つゆ」と呼ばれるようになりました。

『日本歳時記』には「此の月淫雨ふるこれを梅雨(つゆ)と名づく」とあります。

梅雨の漢字の由来には、次の二説あります。
ひとつは、カビの生えやすい時期の雨という意味で、中国では元々「黴雨(ばいう)」と呼ばれていました。しかし、カビでは語感が悪いため、同じ「ばい」で季節に合った「梅」の字を使い「梅雨」になったとする説。
もうひとつは、「梅の熟す時期の雨」の意味で、元々「梅雨」であったという説です。

日本で梅雨が「つゆ」と呼ばれるようになった由来は、「露(つゆ)」からと考えられます。

しかし、梅の実が熟し潰れる時期であることから、「潰ゆ(つゆ)」と関連付ける説もあります。

なお、梅雨については、「梅雨の語源・由来とは?梅雨をつゆと読む由来とは?梅雨の異称も紹介!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

「梅雨」は夏の季語で、次のような俳句があります。

・梅雨寒の 竹が誘(いざな)ふ 外厠(そとかわや)(斎藤玄)

・正直に 梅雨雷の 一つかな(小林一茶

・梅雨晴れや 手枕の骨 鳴るままに(横光利一)

・考の 二転三転 梅雨豪雨(星野立子)

3.つまらない

つまらない

つまらない」とは、「面白くない。くだらない。馬鹿げている。意味がない。大したものではない」ことです。

つまらないは、動詞「詰まる(つまる)」に打ち消しの助動詞「ない」がついた「詰まらない」です。

「詰まる」は動けなくなる状態のほか、行動や思考が行き詰る状態も意味します。

そこから、「納得する」「決着する」などの意味を持つようになりました。
やがて、「納得できない」の意味で「つまらない」が使われ、現在の意味に変化しました。

4.爪弾き(つまはじき)

爪弾き

爪弾き」とは、ある人を嫌って除け者にすることです。

爪弾きは、仏家で行われた「弾指(だんし)」の風習に由来します。

弾指」とは、曲げた人差し指の爪を親指の腹に当てて弾き、音を出すことで「許諾」「歓喜」「警告」「告知」などの意味を示す行為です。

禅宗では、便所を出た後などに不浄を払うため行われ、「不浄弾指(ふじょうだんし)」と呼ばれました。

この「不浄弾指」が一般的にも行われるようになり、「爪弾き」と呼ばれました。

これが、他人を非難する意味の仕草として使われるようになり、除け者にすることを「爪弾き」と言うようになりました。