日本語の面白い語源・由来(は-⑦)判官贔屓・伯仲・バンガロー・跣・羽根・八丁味噌・萩・鉢合わせ

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判官贔屓

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.判官贔屓(はんがんびいき)

判官贔屓

判官贔屓」とは、「不遇な身の上の人や弱い者に同情して肩を持ったり、応援すること」です。

判官とは平安時代に置かれた検非違使の尉のことですが、判官贔屓の「判官」は「九郎判官」と呼ばれた源義経を指します。

平家討伐に功績のあった義経は、人々から賞賛されましたが、兄の頼朝に憎まれました。
奥州平泉に逃げた義経は藤原秀衡に助けられたが、秀衡の死後、秀衡の子である泰衡に襲われ自ら命を絶ちました。

あえない最期を遂げた義経に人々が同情し、贔屓したことから、「判官贔屓」という言葉が生まれました。

2.伯仲(はくちゅう)

伯仲

伯仲」とは、「力などが接近していて、優劣のつけがたいこと」です。

中国では兄弟の年齢を上から順に、「伯」「仲」「叔」「季」といいます。
伯仲の「伯」は兄弟の序列で最年長の人、「仲」は中にあたり、本来、伯仲は長兄(長男)と次兄(次男)を意味した言葉です。

この二人には大きな差がないことから、力が接近し優劣のつけがたい状態を「伯仲」というようになりました。

3.バンガロー/bungalow

バンガロー

バンガロー」とは、「キャンプ場などに設けられた木造の簡易な宿泊施設」です。

バンガローは、英語「bungalow」からの外来語です。

英語の「bungalow」は、「ベンガル地方風の」という意味のヒンディー語「bangla」に由来し、インド・ベンガル地方の民家の建築様式をいいました。

そこから、軒が深く、正面にベランダを持つ、ベンガル地方の民家と似たような形式の小屋を「バンガロー」と呼ぶようになり、キャンプ場などに設けられる簡易宿泊施設を指すようになりました。

なお、キャンプ場などの宿泊施設を指す場合、英語では「cabin(キャビン)」「cottage(コテージ)」「hut(ヒュッテ)」などを使い、「bungalow(バンガロー)」は使われません。

4.跣/裸足(はだし)

裸足

はだし」とは、「足に靴や靴下など何も履かないこと。また、素足のまま地面を歩くこと」です。

はだしは漢字で「裸足」と表記するため、「はだかあし」の変化した語と思われがちですが、はだしの語源は「はだあし(肌足)」の略です。

現代では、足に履物を履かない「素足(すあし)」と同様の意味でも用いられますが、本来「はだし」は、素足のまま歩くことに関して用いられました。

5.羽根/羽/翅(はね)

クジャクの羽根

」とは、「鳥の全身を覆う羽毛。鳥・昆虫類の飛ぶための器官。翼状のもの」のことです。

羽の語源には、「ハヤノヘ(速延)」の反や、跳ねるところからとする説もありますが、漢字で「羽根」とも表記するように、「ハネ」は「ハ」という不安定な一音節を避けるため、接尾語「ネ」を付けたものです。

「ハ」の語源には、「ヒラ(平)」「ハル(張・発)」「ハ(葉)」などの意味とする説があります。

一音節からなる言葉の由来を特定する事は難しいですが、広がりのあるものを表す語には「h」の音で始まる語が多く、擬態語に似た表現が元になっていると考えられます。

6.八丁味噌(はっちょうみそ)

八丁味噌

八丁味噌」とは、「愛知県岡崎市で産する大豆と食塩を主原科とした豆味噌」です。

八丁味噌は、岡崎城下の八丁村(現在の愛知県岡崎市八帖町)で作られたことに由来します。
八丁村は、岡崎城から西へ八丁(八町)の距離にあることから付いた名です。

八丁味噌の別名「三州味噌」の「三州」は三河の異名で、三河地方の味噌を意味します。

7.萩(はぎ)

萩

ハギ」とは、「山野に生えるマメ科の落葉低木」です。ミヤギノハギ・マルバハギ・キハギなどあり、ふつうはヤマハギを指します。「秋の七草」のひとつ。

ハギの語源には、毎年古い株から芽を出すことから「ハエキ(生芽)」の意味。
茎が這うように伸びることから、「ハクエキ(延茎)」の意味。
養蚕の時に用いる雑木小枝を束ねたものを「ハギ」といい、それに似てることから。
葉が早く黄色くなることから、「ハヤクキバム(早黄)」「ハキ(葉黄)」の意味。
「アキ(秋)」が転じたなど多くの説がありりますが、『万葉集』では「芽」「芽子」を「ハギ」と読ませていることから、「ハエキ(生芽)」の説が妥当です。

漢字の「萩」が見られる最古の文献は『和名抄』で、秋の草花の代表であることから、「秋」に草冠を付けた国字です。

中国で「萩」は、キク科のヤマハハコやヤハズハハコを指し、「ハギ」は「胡枝子」と表記します。

「萩」は秋の季語で、次のような俳句があります。

・白露も こぼさぬ萩の うねりかな(松尾芭蕉

・行々て たふれ伏すとも 萩の原(河合曽良)

・小狐の 何にむせけむ 小萩はら(与謝蕪村

・萩散りぬ 祭も過ぬ 立仏(小林一茶

8.鉢合わせ(はちあわせ)

鉢合わせ

鉢合わせ」とは、「思いがけなく、ばったり出会うこと」です。

鉢合わせの鉢は、その形状から「頭蓋骨」、さらに「頭」も表すようになった語で、はちまきの「はち」も「頭」のことです。

合わせは「ぶつける」の意味で、元々、鉢合わせは出会いがしらに頭と頭がぶつかり合うことを言いました。

そこから、偶然にばったり出会うことを「鉢合わせ」と言うようになりました。