日本語の面白い語源・由来(ま-②)真似・全く・丸で・前頭・真魚鰹・前・麻雀

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まね

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.真似(まね)

まね

真似」とは、「他の人や物と同じように似せること」です。模倣。

まねは、動詞「まねぶ・まなぶ(学ぶ)」と同源です。
「真に似せる」の意味から「まね」や「まねぶ」が生じた後「まなぶ」となったものか、「誠に習う」の意味から「まなぶ」が生じ、名詞形として「まね」、動詞形として「まねぶ」が生まれたと考えられます。

ただし、これらの語形は同じ時代(平安初期)に見られるため、その前後関係はわかっていません。

2.全く(まったく)

全く

全く」とは、「完全に。すっかり。決して。全然。まるっきり。本当に。実に」ということです。

全くの語源は、「完全である」「完璧である」という意味の形容詞「まったい(全い)」です。

その連用形が副詞として使われ、「まったく(全く)」となりました。
まったいは、形容詞の「またい(またし)」が中世に促音化した語です。

元々は、命や肉体が「完全」「健全」であるという意味で使われていました。
「まどか(円か)」が古くは「まとか」と清音で、欠けるところがないさまを表していることから、「まったい」の語源は「まどか」、もしくは「まどか」と同根と思われます。

3.丸で(まるで)

まるで

まるで」とは、「あたかも。ちょうど。さながら。まったく。全然」ということです。

まるでは漢字で「丸で」と書くように、円を表す「丸」に由来します。
丸は欠けたところが無いことから、「完全」「全部」の意味を表すようになりました。

江戸中期から、完全に似ているさまを表した「まるで」の形が現れ、「あたかも」を意味するようになりました。

明治時代に入ると、「まるで違う」「まるで駄目だ」など、下に否定的な意味の語を伴い、まさしくその状態である事を表す「まるで」の用法が生じました。

4.前頭(まえがしら)

前頭・舛の山

前頭」とは、「相撲で幕内力士のうち、横綱と三役(大関・関脇・小結)を除いた力士」です。小結の次位、十両の上位。平幕。

前頭の「前」には、まだ番付に載らない力士が取る「前相撲」の略で、前相撲の頭という説があります。

そのため、本来は、十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口など全力士が「前頭」であり、平幕を指す「前頭」は狭義であるといえます。

また、「幕内」と呼ばれる上位力士に対し、それより下の力士を通称「前」といったことから、その頭の意味で幕内力士を「前頭」と呼ぶようになったとする説もあります。

5.真魚鰹/鯧(まながつお)

マナガツオ

マナガツオ」とは、「全長約60センチのスズキ目マナガツオ科の魚」です。体は菱形で側扁し、鱗は小さくはげやすいのが特徴です。

マナガツオの「マナ」の語源は諸説ありますが、「食用の魚」を意味した「真魚」の説が有力です。

「マ」は「本当」「真実」を意味する「真」、「ナ」は副食物を意味した「菜(肴)」で、「真魚」は最も価値のある副食物の意味が語源。つまり、マナガツオは「真にうまい魚(カツオ)」の意味と思われます。

ただし、1597年(慶長2年)刊の『易林本節用集』には、「学鰹 マナガツオ」とあります。
「学」が当て字ではなく「まねる」の意味とすれば、カツオが捕れない瀬戸内海でカツオに見立てられたとする「真似鰹(マネガツオ)」の説が有力となります。

「真魚鰹」は冬の季語です。

6.前(まえ)

前

」とは、「顔や視線の向いている方向。おもて。事物の前方」のことです。

前は目の向いている方向の意味で、「ま(目)」と「へ(方・辺)」からなる語です。

「目」が「ま」となるのは、「まぶた」「まつげ」などと同じく複合語の中で用いられる形です。

前の「へ(え)」のように、「へ(方・辺)」が、そのあたりを意味する語には、場所や方向を表す「ゆくへ(行方)」「うみべ(海辺)」。その頃を表す「いにしへ(古)」や「ゆうべ(夕べ)」などがあります。

7.麻雀/マージャン

麻雀

麻雀」とは、「136個の牌を用いて行う室内遊戯」です。東・南・西・北の場に着いた4人が、13個の牌をもとに牌の取捨を繰り返し、より早くルールにある牌の組み合わせを作った者が点を得ます。

麻雀は中国の「馬弔(マーチャオ)」というカードゲームが変化した遊びです。
「マーチャオ」から「マーチャン」と呼ばれるようになり、日本やアメリカで「マージャン」と呼ばれるになりました。

「麻雀」の表記の由来は、カードゲームの「馬弔」と区別するためや、一索に施されている「孔雀(鳳凰)」の図柄が、昔はスズメであったためといわれます。

牌をかき混ぜる時の音が、スズメの鳴き声に似ていることからともいわれますが、「麻雀」の表記に合わせて作られた俗説と思われます。

中国では「麻雀」のほか、「馬弔」「馬将」「麻将」などの表記がありましたが、現在では「麻将(マーチャン)」が一般的です。

なお、麻雀については「麻雀にまつわる面白い話」という記事も書いていますので、ぜひご覧ください。