「一」から「万」の数字を含むことわざ・慣用句(その6)「六」

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六馬和せざれば造父も以て遠きを致す能わず

数字を含むことわざ・慣用句と言えば、「三人寄れば文殊の知恵」とか「三つ子の魂百まで」などたくさんあります。

前回は「人数・年齢・回数・年月や時間・距離・寸法」を表す数字を含むことわざ・慣用句を紹介しました。そこで今回は、その他の「一」から「万」までの数字を含むことわざ・慣用句をまとめてご紹介したいと思います。

なお面白い数字の単位についての話は、前に「数字の単位は摩訶不思議。数字の不思議なマジック・数字の大字も紹介!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧下さい。

6.「六」を含むことわざ・慣用句

(1)六馬和せざれば造父も以て遠きを致す能わず(りくばわせざればぞうほももってとおきをいたすあたわず):どんなことでも、人々の気持ちが一つにならなければ、最後までやりとげることはできないことのたとえ。

「六馬」とは、天帝の息子が乗る六頭立ての馬車のこと。
「造父」とは、優れた御者で、周繆王に仕えていた人物。

車を引く六頭の馬の気持ちがうまく合っていなければ、優れた御者の造父であっても、遠くまで馬車を走らせることは不可能であることから。

思想家の荀子が説いた言葉に由来します。

(2)一の裏は六(いちのうらはろく):悪いことの後には良いことがあり、善悪は循環するものであること。

さいころの目の「一」の裏は「六」であることから。
良いことと悪いことが表裏一体であることを言いますが、主に、悪いことの後には必ず良いことがあると、不運な人を励ます際に使います。

英語では、次のようなことわざがあります。

Every cloud has a silver lining.(どの雲にも銀の裏地がついている)

(3)後生願いの六性悪(ごしょうねがいのろくしょうあく):来世の安楽を願っていながら、たちの悪いことをするたとえ。

「後生願い」は、来世の極楽往生を願うこと。「六性悪」は、喜・怒・哀・楽・愛・悪の六つの感情の「六性」と「性悪」をかけていったもの。

(4)総領の甚六(そうりょうのじんろく):長男は甘やかされて大事に育てられるので、おっとりとした世間知らずの者が多いということ。「甚六」は愚か者のこと。

(5)朋友は六親に叶う(ほうゆうはりくしんにかなう):親友は肉親に匹敵するほど大切だということ。「六親」は父・母・兄・弟・妻・子または父・子・兄・弟・夫・妻の称。

(6)宿六(やどろく):妻が自分の夫を軽んじたり、また親愛の意を込めていう言葉。
「宿のろくでなし」の意。

(7)六国を滅ぼす者は六国なり(りっこくをほろぼすものはりっこくなり):国が滅びるのは、国の内部に原因があるということ。また、悪い結果の原因は、自分自身にあることが多いことのたとえ。

「六国」は中国、戦国時代の斉(せい)・楚(そ)・燕(えん)・韓(かん)・魏(ぎ)・趙(ちょう)のこと。

六国が滅びたのは六国相互の争いの結果によるもので、他の国に滅ぼされたわけではないとの意から。