前に「九という漢字の由来」の記事を書きましたが、今回は「一」から「八」の漢字の成り立ちをご紹介したいと思います。
私は長男が小学生の頃に、漢字学習に参考になる良い本だと思い、偕成社発行の「下村式小学漢字学習辞典」を買い与えました。
ただ、私の期待に反して「本棚の飾り」に終わったようで、あまり活用されずに新品同様の状態で学習机に備え付けの本棚に暮れ残っていました。
パラパラとページを繰ると、漢字好きの私には興味深い記述が随所にあり、私が貰い受けて(買戻して?)参考書として使うことにしました。
この本の中に「一」から「八」の漢字の成り立ちを説明する記述がありましたのでご紹介します。いずれも人の手の指を使った「象形文字」との説明です。
1.「一」の漢字の成り立ち
人差し指を伸ばして「一」を表しました。この形から、「ひとつ・はじめ・いちど」などの意味を持つようになりました。
2.「二」の漢字の成り立ち
チョキの形に指を出して「二」を表しました。一にさらに一を重ねて「ふたつ・つぎ・ばい」などの意味になりました。
3.「三」の漢字の成り立ち
指を三本伸ばして「三」を表しました。同じものを三つ集めた形は、ものが多いことを表し、「おおい・あつまる」などの意味も表しました。
4.「四」の漢字の成り立ち
両手の指を二本ずつ伸ばして「四」を表しました。
余談ですが、私の母校の大阪府立茨木高校の「校章」は、前身である「旧制大阪府立第四中学校」の「四」にちなんだものです。
なお、別の説では、「指事文字」で、甲骨文・金文は「4本の横線」から数の「よつ」の意味を表しました。篆文では「口の中に歯・舌の見える」象形となり、「息」の意味を表しましたが、借りて(同じ読みの部分に当て字として使って)、「よつ」を意味する「四」という漢字が成り立ったとしています。
5.「五」の漢字の成り立ち
片手の指を全部広げて「五」を表しました。
なお、別の説では、「指事文字」で、「上」・「下」の棒は天・地を指し、「×」は天・地に作用する5つの元素(火・水・木・金・土)を示します。この5つの元素から、「いつつ」を意味する「五」という漢字が成り立ったとしています。
6.「六」の漢字の成り立ち
両手の指を三本ずつ出して「六」を表しました。
なお、別の説では、「象形文字」で、「家屋(家)」の象形から、転じて数字の「むつ」を意味する「六」という漢字が成り立ったとしています。
7.「七」の漢字の成り立ち
五本の指と二本の指を重ねて「七」を表しました。
なお、別の説では、「指事文字」で、「縦・横に切りつけたさま」から、「切る」の意味を示しましたが、借りて(同じ読みの部分に当て字として使って)、「ななつ」を意味する「七」という漢字が成り立ったとしています。
8.「八」の漢字の成り立ち
両手の指を四本ずつ向い合せた形で「八」を表しました。
「八」は二つに分けやすい数のことで、「わける・わかれる」という意味もあります。
なお、別の説では、「象形文字」で「二つに分かれている物」の象形から「わかれる」を意味する「八」という漢字が成り立ったとしています。