日本語の面白い語源・由来(く-⑦)薬玉・玄人・草分け・グル・口裏を合わせる・グレる

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薬玉

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.薬玉/くす玉(くすだま)

薬玉

くす玉」とは、造花や折り紙などを球状に束ね、飾り糸を垂らしたものです。多くは垂らした糸を引くと二つに割れ、紙吹雪や紙テープなどが降るものです。

くす玉は、魔除けの縁起物として平安時代から存在し、無病息災の願いが込めらたものでした。
元は、麝香・沈香・丁子など、種々の薬を束ねて作られていた玉だったことから、「薬玉」と呼ばれるようになりました。

やがて、ショウブやヨモギなどを飾った華やかなものとなり、現代のくす玉に変わっていきました。

平安中期に清少納言が書いた『枕草子』には、中宮定子で5月5日の端午の節句に、くす玉が飾られていたことが記されています。

「薬玉」(「長命縷(ちょうめいる)」「続命縷(しょくめいる)」「五月玉(さつきだま)」)は夏の季語で、次のような俳句があります。

・薬玉や 灯の花の ゆるぐまで(池西言水)

・薬玉や 五色の糸の 香に匂ふ(三宅嘯山)

・玉の緒の そのしだり尾や 長命縷(吉田冬葉)

2.玄人(くろうと)

玄人

玄人」とは、その道に熟達した人、専門家、本職のことです。

玄人は「素人」の対義語として生まれた言葉です。

素人の語源である「白人(しろひと)」の対は「黒人(くろひと)」で、「くろひと」が音便化して「くろうと」になりました

玄人のふりをする意味の動詞「くろがる」は、「玄がる」のほか「黒がる」とも書くきます。

漢字に「玄」の字が使われた由来は、「玄」は「黒」よりも奥深く、容易ではない意味合いが強いことから当てられたものです。

玄人の語源には、一芸に苦労した人の意味で「苦労人(くらうと)」からとする説もありますが、「黒人」が玄人の意味で使われた例があるのに対し、「苦労人」が玄人の意味で使われた例は見られません。

3.草分け(くさわけ)

草分け・自動車

草分け」とは、ある物事を初めてすること(また、その人のこと)です。創始者。

草分けは、未開の土地を切り開き、村や集落の基礎を築くことが本来の意味です。

草深い土地を切り開くことから意味が派生し、未開の分野を切り開くことや、創始者の意味で「草分け」が使われるようになりました。

4.グル(ぐる)

グル

ぐる」とは、悪だくみをする仲間、一味、共謀者のことです。

ぐるの語源は諸説あり、同じ輪の中に入る意味で「グルグル」や「包(ぐるめ)」などの略
江戸時代には着物の帯を「ぐる」と言っていたため、帯のイメージから連想したとする説があり、どちらも輪になる意味を持つため有力と考えられます。

その他、馴れ合いを意味する隠語「とち狂ふ(とちぐるう)」の略とする説もあります

江戸末期の歌舞伎では「共謀」を「ぐる」と読んだ例があるため、グループの略「グル」とする説は明らかな俗説です。

また、「グルグル」の説の中には、子供の遊戯「かごめかごめ」で鬼を取り囲むことから、共謀して苛めることを言うようになり、悪だくみをする仲間の意味に転じたとする説もありますが、江戸末期以前にかごめ遊びが「ぐる」と呼ばれたたり、「グルになる」などと言われた例は見当たりません。

5.口裏を合わせる(くちうらをあわせる)

口裏を合わせる

口裏を合わせる」とは、表向きに言うことが矛盾しないよう示し合わせることです。

「口裏」の語源は、人の言葉を聞いて吉凶を占うことで、本来「口占」と書きます。

「口占」の意味が派生し、言葉や話し方に隠されているもの(本心)の意味となり、「本心=裏」で「口裏」と書かれるようになりました。

「口裏を合わせる」は、本心や本当のことを推測されないよう、あらかじめお互いの発言を合わせておくことからといわれます。

しかし、単に「裏で口を合わせる」の意味で使われ始めたとも考えられ、単語の「口裏」と関係ない可能性もあります。

6.グレる(ぐれる)

グレる

グレる」とは、少年や青年が、反社会的・反抗的な行動をとるようになること、不良になることです。

グレるは「ぐれはま」の「ぐれ」に活用語尾「る」を付けて動詞化した語です。
ぐれはま」は、「ハマグリ」をひっくり返して成った語「ぐりはま」の転です。

これらの語は、ハマグリのを貝殻ひっくり返すと合わなくなることから、物事が食い違うことを意味していました。

食い違う意味から、社会と合わない反対の行動をとることを「グレる」と言うようになりました。

現代の「グレる」に近い意味では、江戸時代末期の歌舞伎『青砥稿花紅彩画』に見られる「それから、島で窮屈な勤めが嫌さにぐれ始め」の例が古いものです。