「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」とは?わかりやすくご紹介します。

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メネメネテケルウパルシン

皆さんは「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」という呪文のような不思議な言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?「どこかで聞いたような・・・」という人が多いのではないかと思います。

そこで今回は「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」についてわかりやすくご紹介したいと思います。

1.「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」とは

「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」(Mene, Mene, Tekel, Upharsin.)とは「数えたり、量れり、分かれたり」という呪文の言葉です。

これは旧約聖書「ダニエル書」にある言葉です。「ダニエル書」とは、古代ユダヤの予言者ダニエルの言行を伝えたものです。

紀元前6世紀、カルデヤの王ネブカドネザルはイスラエルの都エルサレムを包囲してその王エホヤキムを捕らえ、神殿にあった金銀の器を略奪したうえ、イスラエルの民を奴隷としてカルデヤの都バビロンに連れ去りました。

若きダニエルもその中におり、選ばれてカルデヤの言語や学問を学び、たちまち諸学に熟達して、さらに諸々の前兆や夢の解明ができるようになりました。そして、ネブカドネザル王が不可解な夢を見た時、それを解明して王国や王個人の未来を正しく予言したので、王から大いに信頼され高い官位を与えられました。

2.「ベルシャザル王」の驕慢と没落

レンブラント・ベルシャザル

<「ベルシャザルの酒宴(壁の言葉)」(レンブラント作)>

ネブカドネザルの息子ベルシャザル王の治世、王は臣下を集めて盛大な酒宴を催していました。宴が進むと興に乗り、父王がエルサレムの神殿から奪ってきた金銀の器を取り寄せ、それで酒を飲みながら、金銀銅鉄木石などの偶像を讃え始めました。

その時、空中に人の手が現れ、宮殿の壁に「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」という謎めいた言葉を書きつけました。

王の顔はにわかに青ざめ、恐怖に駆られました。王はカルデヤの法術師や占い師を呼び、「この謎の言葉を解き明かした者には紫の衣を着せ、国の第三の宰相にする」と言いましたが、誰も答えられませんでした。太后はダニエルの予言能力を信じていて、王にダニエルを勧めました。

ダニエルは王の前に出て次のように述べました。

「ベルシャザル王よ。あなたの父ネブカドネザル王は、心が高慢で驕っていたため、一時は王位を追われ、野馬とともに暮らし、牛のように草を食べて生きておられましたが、とうとう神がいと高い所にあって人の世を治めているのだと知るようになられました。

あなたはあの方の子で、そのことをよくご存じなのに、へりくだることもなく、高慢にも神の家の器で酒を飲みながら、金銀銅鉄木石などの偶像を褒め称えておられます。それゆえ、あなたの全てを司っておられる神がこの言葉を書かれたのです。

『メネ』とは『数えた』という意味で、あなたの治世が数えられておしまいになったということです。『テケル』とは『量った』という意味で、あなたが秤にかけられて目方が足りないことがはっきりしたということです。『ウパルシン』とは『分かれた』という意味で、あなたの国が分かたれてメデアとペルシャとに与えられるということなのです。」

この予言は速やかに的中し、カルデヤの王ベルシャザルはその夜のうちに殺されて、王国はペルシャ王ダリウスのものとなったということです。

ライオンの穴の中のダニエル

<「ライオンの穴の中のダニエル」(ルーベンス作)>

蛇足ながら、予言者ダニエルはバビロン滅亡後、ペルシャ王ダリウスに仕えて重用されさるうち、同僚に妬まれ、悪計によって獅子の穴に投げ込まれましたが、神の恩寵によって助かり、天寿を全うしたということです。

3.現代への教訓

このような由来から、「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」という言葉は、かつて繁栄を誇った国歌や組織、個人がまさに没落しようとしていることを示す前兆という意味で、西欧では広く用いられています。

歴史は繰り返す・殷鑑遠からず」の記事を前に書きましたが、「懲りない王」は古代バビロンにもいたということですね。

現代でも、軍事大国の独裁者であるロシアのプーチン大統領、中国の習近平主席、北朝鮮の金正恩委員長のように、ひたすら権力の座にしがみついている指導者がいます。

彼らこそ、この「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」という箴言(しんげん)を拳拳服膺(けんけんふくよう)すべきではないかと私は思います。

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