「盆栽」や「盆梅」の魅力は何か?

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盆栽各種

1.かつて老人の趣味の定番だった「盆栽」

テレビアニメの「サザエさん」を見ていると、お父さん(磯野波平さん)も「盆栽」の趣味があったようで、カツオ君が盆栽の鉢を落として、お父さんが雷を落とすシーンがありました。

磯野波平さんに限らず、昔は老人の趣味と言えば「囲碁」か「盆栽いじり」というイメージがありました。

しかし、私などは72歳を過ぎても、盆栽を始めようとしないのはどうしてでしょうか?私と同年代の団塊世代でも「盆栽ブーム」は起きていないようです。

皐月盆栽藤盆栽

2.盆栽界のマドンナ

山田香織さん

以前NHK教育テレビの「趣味の園芸」のキャスターに、実家が盆栽業の山田香織さん(1978年~ )が出演(2008年~2011年)していました。

彼女は「素人目線」でゲストの園芸専門家に質問してくれました。語り口もアナウンサーのように滑舌がよくて、聞きやすかったです。爽やかで明るい笑顔が私は気に入っていました。

彼女は埼玉県さいたま市にある嘉永年間(1848年~1855年)創業の盆栽園「清香園」の一人娘(跡継ぎ)で、「盆栽界のマドンナ」と呼ばれています。

盆栽山田香織

現在は清香園5代目家元の「盆栽家」として、「わかりやすい・楽しいを多くの方へ」をモットーに「彩花(さいか)盆栽教室」を主宰するなど、「盆栽の伝道師」を使命として精力的に活動し、女性や若年層にも盆栽の裾野を広げた第一人者として知られています。

3.盆栽について

桜盆栽黄花盆栽紅葉の盆栽

(1)盆栽とは

「盆栽」とは、「木のほか、草、苔を鉢(盆栽鉢、盆器)に植えて、枝ぶり・葉姿・幹の肌・根および鉢、もしくはその姿全体を鑑賞する趣味のこと」です。

盆栽には、最もポピュラーな「松柏盆栽」のほか、「花もの盆栽」「実もの盆栽」「雑木盆栽」「草もの盆栽」など様々な種類があります。

また、これら複数種類を集めて作る盆栽を「寄せ植え」と言います。この「寄せ植え」は難易度の高い盆栽です。

「自然の風景を模して造形」するのが特徴です。海外でも人気があり、日本語の発音を基にした「BONSAI」で通じることが多いようです。

盆栽の歴史は、中国で唐の時代に行われていた「盆景」が平安時代に日本に入って来て始まりました。古くは「盆山」「鉢木」「作りの松」などとも呼ばれました。

謡曲に「鉢木(はちのき)」の演目があるように、鎌倉時代には武士階級の趣味として広く普及していました。

謡曲鉢木

江戸時代になると、盆栽の栽培や園芸が盛んになり、盆栽を描いた浮世絵もあります。

盆栽の浮世絵

明治時代以降も、盆栽は粋な趣味でしたが、管理や育成には手間がかかり、長い時間・年月が必要なため、愛好者は次第に時間的余裕のある熟年層が多くなりました。

第二次大戦後から1980年代までは「年寄り臭い趣味」と見られていました、私もそのように感じていました。

(2)盆栽の魅力

私は自分で盆栽を育てようとは思いませんが、「凝縮した小宇宙」のような盆栽の奥深い魅力はあると感じています。

「盆栽」は、「単なる植木鉢への鉢植え」と異なり、「自然の風景を植木鉢の中に切り取って創り出すこと」が特徴です。

その植物の、野外で見られる大木の姿を、鉢の上に縮小して再現し、一つの世界観を作り上げること」を目指すものです。

名品と言われる盆栽には、樹齢100年~300年のものがあり、「青龍」と命名された五葉松(ごようまつ)は樹齢350年と推定されています。

青龍五葉松

「単なる植木鉢への鉢植え」の場合は、木が成長するに従って根がとぐろを巻くようになって根詰まりを起こすので大きめの鉢に植え替えますが、「盆栽」の場合は、ミニチュアに仕立てるために、小さな植木鉢(盆)のままです。

かつて中国で行われた女性の纏足(てんそく)のようで、私のようなド素人には「根にとって窮屈極まりないのではないか?」「そんな根の状態で水や養分を十分に吸収できるのか?」と疑問を感じますが、それでも立派に花を咲かせ、枯れずに100年とか200年の寿命を保っているのは驚異的です。

小さく仕立てて、自分の好みの形の盆栽にするために、幹や枝を曲げて針金で固定したり、頭抑えや枝の選定を行い、その木の凝縮した姿を人工的に創り出します。

(3)海外で「BONSAI」の人気が沸騰

1980年代までは、「年寄り臭い趣味」と見られていた盆栽ですが、1990年代以降に海外に盆栽が紹介されると、「ジャポニスム」の流れでしょうか、「芸術的な植物の栽培方法」として海外で一気に人気となり、注目を集めるようになりました。

今や海外でも「BONSAI」で通じるほど人気が沸騰しています。イタリアには年商3億円の盆栽卸売業者もいるそうです。

「浮世絵」「琳派」「工芸品」「茶道」「日本庭園」「寺院」「仏像」「禅」などに対する「評価→軽視ないし無視→再評価」と同様、昔からの日本人の悪い傾向ですが、海外での評価が高まると、また日本でも盆栽が再評価されるようになるかもしれません。

4.盆梅について

長浜盆梅盆梅

(1)盆梅とは

「盆梅」とは、「盆栽に仕立てた鉢植えの梅のこと」です。俳句で「春」の季語です。

夏目漱石の俳句に次のようなものがあります。

盆梅の一尺にして偃蹇(えんけん)す

「一尺」は約30.3cmです。「偃蹇」とは、物が伸び広がったり高く聳えたりしている様子のことです。盆梅の小宇宙をよく表しています。

(2)長浜盆梅展

近畿地方では、「長浜盆梅展」が大変有名です。毎年1月10日頃から3月10日頃までの期間で開催されています。

「長浜盆梅展」は1952年から始まり、歴史・規模ともに「日本一の盆梅展」です。関西の新春の風物詩として親しまれています。

会場となる「慶雲館」は、明治天皇・昭憲皇太后の行幸啓のために建てられた長浜の迎賓館で、初代総理大臣・伊藤博文の命名です。

長浜盆梅展長浜盆梅展(夜)


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