私が子供の頃は、正月になると「百人一首」のカルタ取りもやりましたが、トランプをして遊ぶことが多かったように思います。
トランプと言っても、ポーカーなどの難しいものはやらず、もっぱら「七並べ」「神経衰弱」「ババ抜き」をして楽しみました。
この「ババ抜き」の「ババ」が「ジョーカー」ですが、これは一体何なのでしょうか?そしてまた一体誰のことなのでしょうか?
七並べの時は、ジョーカーを自分が持っているカードの前のカードとして使える強力な武器になる反面、最後まで残ると負けになります。ババ抜きの時も最後まで残ると負けになる不思議なカードです。
今回はこの疑問についてわかりやすくご紹介したいと思います。
1.「ジョーカー」とは
(1)「ジョーカー」とは誰か
「ジョーカー(joker)」の札に描かれているのは「道化師」です。前に「アルルカンと道化師」「ピエロとクラウン」の記事を書きましたが、このジョーカーの道化師は、「宮廷道化師」です。
中世ヨーロッパでは、王様や貴族たちを楽しませる仕える人々がいました。これが「宮廷道化師」です。愉快な言動と悪ふざけで周りの人々を楽しませる芸人です。ジョーク(joke)を言って楽しませる人(joker)ですから、まさにそのままです。
(2)「ジョーカー」のもう一つの役目
しかしジョーカーは周りの人を楽しませる一方、「王様や貴族を批判し、他の人が言えないことを口にする役目」も持っていました。
古今東西を問わず、上の立場の人に逆らうのは勇気がいります。まして中世ヨーロッパでは、王様に逆らえば殺されかねない時代です。それができるのは「死を恐れない愚か者(The fool)」だけです。道化師が英語で「The fool」とも呼ばれるのはそのためです。
宮廷道化師の役目は、シェイクスピアの「リア王」など中世英国を描いた劇や文学作品に描かれています。
(3)「ジョーカー」の威力
道化師でも王様を批判すれば処罰される可能性があり、追放された道化師もいたようです。しかし王様は「器の大きさを見せたい」という打算もあり、簡単には処罰されませんでした。
そのため「トランプ」では「キング」よりも強い札になると言われています。
(4)怖い絵の「ジョーカー」
ジョーカーの絵は、宮廷道化師を描いたものが多いですが、怖い顔をしていたり、怪物か怪人のようなものもあります。
ジョーカーが怖い理由は諸説ありますが、代表的なものを2つご紹介します。
①王様には怖い
前記の通り、道化師には王様を批判する役目があります。その意味で王様にとって道化師は時にとても厄介で怖い存在です。そのため、怖い絵で描かれているという説です。
②平民には怖い
普通の人(平民)から見ると、王様はとても怖い存在です。機嫌を損ねれば簡単に殺されてしまうので、普通の人は王様を批判できません。
しかし道化師は平然とそれをやってのけるので、普通の人から見ると王様よりも怖い存在だったのです。そのため、怖い絵で描かれているという説です。
また、道化師は悪魔や神様と取引した人とも言われています。ゲーテの「ファウスト」のメフィストフェレスのように、中世ヨーロッパでは人間と悪魔が取引すると信じられていた時代です。「魔女狩り」が行われるほど、人々は悪魔を恐れていました。
そのため、王様より強い力を持つ道化師は、悪魔や怪物の姿で描かれると言われています。
2.トランプについて
(1)トランプ大統領
アメリカの次期大統領はバイデン氏に99.99%決まりの情勢です。しかしトランプ大統領は潔く敗北を認めず、先日行われた「大統領選挙に不正があった」として法廷闘争を継続する姿勢を崩していませんが、徐々に外堀を埋められつつあるようです。
私から見ると「いかにも往生際が悪い」という印象です。ゴルフでも平気でインチキをするトランプ氏のことですから、「さもありなん」という気もしますが・・・
もはや「王様」たるトランプ氏には「切り札(trump)」はなく、愚か者の「ジョーカー(joker)」たるジョー・バイデン(Joe Biden)氏に引導を渡される日も遠くないことでしょう。
(2)トランプのカード
「トランプ」は、スペード・クラブ・ハート・ダイヤの4種類各13枚の合計52枚セットのカードのことです。1~10までの数字のカードと「ジャック(家来・召使い)」「クイーン(女王)」「キング(王様)」ですが、このほかに1~2枚の「ジョーカー」が入っています。
「ジャック」は王子(プリンス)か人名と思っている人も多いと思いますが、家来・召使いのことです。16世紀半ば頃には、このカードはイングランドでは「ネイヴ(Knave)」(宮廷に仕える男の召使い)として知られており、「ジャック」という言葉も「ネイヴ」を意味するものとして一般に使われていたそうです。
トランプはさまざまなカードゲームに用いられるほか、「占い」や「手品(カードマジック)」の小道具としてもよく使われます。
ところで、英語で「トランプ(trump)」というと「切り札」という意味で、日本語でいう「トランプ」のことは、英語では単に「カード(card)」(またはplaying card)と言います。
(3)トランプの歴史
起源については諸説ありますが、中国で発祥したものがイスラム圏に伝わり、さらにヨーロッパに伝わったとする説が有力です。
日本には16世紀にポルトガルからラテン系のカードが伝来しましたが、明治以降は英米式のカードが普及しています。
(4)トランプの数字の読み方(呼び名)
7から10が英語読みなのに対し、1から6が独特な読み方なのは古いフランス語が由来になっているためです。
ちなみに「エース」や「デュース」は、テニスの試合でも使われていますね。
1:エース(ace)
2:デュース(deuce)
3:トレイ(trey)
4:ケイト(cater)
5:シンク(cinque)
6:サイス(sice)
7:セブン(seven)
8:エイト(eight)
9:ナイン(nine)
10:テン(ten)
11:ジャック(jack)
12:クイーン(queen)
13:キング(king)