1.ツバメの帰巣本能
私が子供の頃からお世話になっている「かかりつけ」の医院の土間にツバメが巣を作り、毎年やって来ます。
「ツバメ返し」という言葉がぴったりの素早い飛行には驚かされます。親鳥はさっと外から戻って来ると雛に餌を与え、すぐにさっと飛び去ります。
ツバメは春に日本に飛来し、秋には越冬のため南方(台湾・フィリピン・ボルネオ・ジャワなど)へ帰って行きます。ごく一部は日本で越冬し「越冬ツバメ」と呼ばれます。
ところで、ツバメの帰巣本能はどの程度あるのかと調べてみると、帰還率は雄が47%、雌が33%だそうです。意外と低いですね。
帰巣本能の仕組みは、「体内時計」と「太陽コンパス」「磁気コンパス」のようなものを使って自分の位置を正確に知り、巣の方向を認識しているようです。
ツバメは、穀物を食べずに害虫を食べる益鳥として親しまれて来ました。私は、ドバトやカラスはあまり好きではありませんが、ツバメは昔から愛着があります。
2.イヌの帰巣本能
私が子供の頃、近所の老人から聞いた次のような話があります。
その老人が雑種の中型犬を飼っていて、家の土間に放し飼いにしていました。ところが、見知らぬ人が家の前を通りかかると、飛び出して行って、噛みつくことがあったそうです。
「自分の主人を外敵から守ろう」という主人思いの気持ちがあったのか、それとも単に「見知らぬ人間が自分に危害を加えるのではないかと考え、威嚇しただけ」なのかわかりません。
狂犬病の予防注射はしていましたが、通行人にケガをさせては大変と思い、電車で1時間以上離れた知り合いの家に引き取ってもらうことにしたそうです。
しかし、1カ月ほど経ったころの明け方に、門口でイヌが吠えるので出てみると、その老人が家で飼っていたイヌが戻って来たのでした。
私が2018年6月18日に大阪北部地震で体験した「帰宅困難」→「徒歩帰宅」以上の困難が伴ったのではないかと思います。
綱を噛み切って、迷いながら戻って来たのでしょう。それで愛おしくなって、以後は放し飼いにせず、犬小屋に入れ鎖を付けて家で再び飼うことにしたそうです。
ツバメほどの遠距離ではありませんが、イヌも嗅覚が発達しているので、匂いを頼りに戻って来たのではないかと思います。あるいは、匂い以外にも、ツバメのように「太陽コンパス」や「磁気コンパス」のような機能も持っているのかもしれません。