子供ができると親にとって気になるのは教育費ですね。いったいどのくらいの資金が必要なのでしょうか?
1.教育資金はいくら必要か?
文部科学省が公表している「子どもの学習費調査(2018年度)」を参考に、幼稚園から大学までかかる教育資金の年間金額の目安は次の通りです。
(1)幼稚園でかかる年間の教育費
公立幼稚園では約22万4,000円、私立幼稚園では約52万8,000円かかっています。在園期間は2~3年です。
(2)小学校でかかる年間の教育費
公立小学校では約32万1,000円、私立小学校では約159万9,000円かかっています。在学期間は6年ですが、小学校に入ると塾や習い事のような「学校外活動費」も増えます。
特に自宅学習や学習塾、家庭教師などの「補助学習費」の割合が増える傾向にあります。
(3)中学校でかかる年間の教育費
公立中学校では約48万8,000円、私立中学校では約140万6,000円かかっています。在学期間は3年ですが、公立・私立ともに「補助学習費」や習い事などの「学校外活動費」として年平均30万円ほどかけている家庭が多いようです。
(4)高校でかかる年間の教育費
在学期間3年ですが、公立高校では約45万7,000円、私立高校では約97万円かかっています。
(5)大学でかかる年間の教育費
文部科学省の調査によると、2018年度入学者にかかる初年度学生納付金の額は次のようになっています。
・私立大学:約133万6,000円(入学料+授業料+施設設備費)、在学期間は4年
・私立短期大学:約111万8,000円(入学料+授業料+施設設備費)、在学期間は2年
・国立大学:約81万8,000円(入学料+授業料)、在学期間は4年
幼稚園入園から大学卒業までをトータルで見ると、子ども一人あたり「オール国公立」なら約783万円、「オール私立」なら約2,289万円の教育資金がかかることになります。
2.国の教育資金援助制度
(1)幼稚園
<子ども・子育て支援制度>
2019年10月より、3~5歳クラスの幼稚園・保育所・認定こども園などの施設の「利用料」が無料となっています。
私立幼稚園(私学助成園)など制度対象とならない幼稚園は、月額約2万5,700円(年間30万8,400円)まで無料の対象です。
(2)小学校~中学校
義務教育期間中、国公立学校では授業料や教科書は無償です。
<就学援助制度>
「就学援助制度」とは、「小・中学校への就学にあたり学用品や学校給食、修学旅行費などの支払いが困難な人に対して、自治体がこれら費用を支援する制度」です。
対象は生活保護を受給している人、またはそれに準ずる程度に経済的に困窮していると認められた場合です。
具体的な補助の内容や金額、対象となる所得基準などは、自治体や学年によって異なります。
(3)高校
<高等学校等就学支援金制度>
「高等学校等就学支援金制度」は、教育の機会均等を目的として2010年4月からスタートした制度です。
授業料に充てる支援金を支給することで、国公私立を問わず高校等の教育費の負担軽減を図り、それによって教育の機会均等を実現するために作られた制度です。
2020年3月までは公立高校に通う年収目安910万円未満の世帯に対して、年間約12万円の授業料の支給がありました(実質全額無料)。また私立高校に通う世帯に対しても、保護者の年収によって約12万~約30万円が支給されていました。
2020年4月には、私立高校等に通う世帯への支援が手厚くなり、、年収590万円未満の世帯には平均授業料に相当する額が支給されるようになりました。
なお本制度の支給は、本人ではなく学校に対して行われ、学校は受け取った支援金を授業料として充当する仕組みとなっています。
<高校生等奨学給付金>
「高校生等奨学給付金」は、教科書や教材費など授業料以外の教育費を支援する制度です。金額は、生徒一人あたり年間約3万~14万円、生活保護受給世帯および非課税世帯が対象です。
(4)大学
<授業料・入学金の減免>
すべての国立大学では、授業料及び入学金が免除または減額される制度を設けています。
また2020年4月から、高等教育の修学支援新制度として、私立大学・短期大学・高等専門学校・専門学校などの高等教育全般が減免制度の対象となりました。
住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯の学生が対象となります。実際には世帯の子どもの人数や家族構成によって年収目安が変わります。
減免される金額は、進学先ごとに定められている授業料免除額を上限に、世帯収入に応じて上限額の満額、3分の2または3分の1となります。
<給付型奨学金>
2020年4月から実施されている日本学生支援機構奨学金事業です。
学業に専念することを目的として、返済不要な奨学金が支援されます。授業料以外の学生生活を送るのに必要な学生生活費へ充当することができます。
対象となるのは、授業料等の減免制度の収入目安と同様です。給付型奨学金の金額は、進学先や「自宅からの通学か」「自宅以外からの通学か」などによって異なります。
(5)児童手当(中学校卒業までの児童を養育している世帯が対象)
児童手当は、0歳から中学校卒業までの児童を養育している世帯に対して支給される手当金です。金額は、子どもの年齢によって次のように決まっています。
・3歳未満:一律1万,5000円
・3歳以上~小学校修了まで:1万円(第3子以降は1万,5000円)
・中学生:一律1万円
なお、児童手当の受取口座は、親権者(父親か母親)に限られていますので、未成年者の子供の銀行預金口座を受取口座に指定することは出来ません。